お腹のトラブル 〜 過敏性腸症候群について

お腹の調子を崩してしまうことって、誰にでも時々ありますよね。「お酒をのみすぎちゃった」とか、「仕事が忙しくて、ちゃんと食事が摂れなかった」
など、理由はいろいろあると思います。でも、いつもと変わらず、普通に生活しているのに、特別何かがあったわけでもないのに、
「お腹の調子がよくないな・・・」
がずっと続いていたら、それは過敏性腸症候群かもしれません。

会議中にトイレに行きたくなった

その日はたまたま、食べあわせが悪かったのか、冷たい飲み物を摂りすぎたのか、お腹がゴロゴロ…。トイレに行こうかな、と思ったけれど、もうすぐ会議の始まる時間です。
「まあ、大丈夫かな。」
そう思って、トイレには行かずに、会議に出席することにしました。

しかし、会議が始まり、しばらくすると…激しい便意が—。冷や汗をかきながら、時計を気にしながら、必死の思いで、なんとか会議が終わるまで持ち堪えました。

−そんなことがあった数日後。

また同じような会議に出席しなくてはいけなくなりました。何ということもなく、会議に参加していたのですが、ふと、この前の会議のことを思い出しました。
「この前の会議の時と、同じ席に座っちゃった。…あの時はトイレに行きたくなっちゃって、大変だったよな。」
と、思い返したりしていたら、さっきまで、なんでもなかったお腹が急に、ゴロゴロし始めたのです。この前の会議の時と同じように…。

それからは、会議の度にお腹がゴロゴロ…、トイレに行きたくなるようになってしまいました。そして、それは会議中だけではなくなっていきました。

通勤の電車内でも、
事務処理をしているときも、
電話中にも、

激しい便意が、頻繁に起こるようになってしまいました。

これが、過敏性腸症候群のはじまりです。過敏性腸症候群になってしまったきっかけは、人それぞれだと思いますが、特にこれというきっかけもなく、症状が出はじめた方もいます。ただ、共通していえるのは、ストレスが関係している、ということです。

過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群(IBS)とは、腸の検査などをしても、潰瘍や炎症等の異常がみつからないのに、下痢や便秘などの便通異常が続く病気のことです。主な原因はストレスといわれています。緊張したりすると、トイレに行きたくなることがありますよね。IBSはそれがひどくなったような症状で、少しのストレスでも、腸が過敏に反応してしまう状態なのです。

症状は、以下の4つに大きく分けられます。

  1. 下痢型(一日に何度も下痢をする。)
  2. 便秘型(便秘。うさぎのウンチの様なコロコロとした便が出る。)
  3. ガス型(お腹にガスが溜まる。おならが頻繁に出る。)
  4. 交替型(下痢、便秘を交互にくりかえす。)

月日が経つにつれて型が変わったり、ガス型、便秘型の、両方の症状をあわせ持っていたり、と人によって様々です。

「一日に何度もトイレに行くので、作業が遅れる。」
「いつもお腹のことが気になって、集中できない。」
「トイレに行きたくなるのでは、と不安になり、外出を控えてしまう。」

など、日常生活に支障が出てくるようになります。授業中や仕事中、何度もトイレに行くことで、いじめの対象になってしまったり、ガス型の人は、「周囲に臭いで迷惑がかかっているのではないか?」「くさい、と思われているかも…。」と心配になってしまったり…精神的に追い込まれて、二次障害でうつひきこもりになってしまうこともあります。

過敏性腸症候群(IBS)の治療方法

一般的に、IBSの治療は投薬、生活習慣の改善や工夫、カウンセリング、心理療法など、「身体」と「心」の両方からアプローチしていきます。

病院に行こう

過敏性腸症候群(IBS)かもしれないと思ったら、まずは消化器内科や胃腸科に行きましょう。IBSを専門的に診てくれる病院も増えました。その中には、心療内科や精神科もあります。ですが、最初は内科的な検査ができる病院の方がいいと思います。IBSに似た症状のある、他の疾患が見つかる場合があるからです。

検査を受けても、

  • 異常がみつからない。
  • 症状が三ヶ月以上続いている

などの条件がそろうと、過敏性腸症候群(IBS)と診断されます。

病院に行くと、整腸剤などの薬を処方されます。そして、カウンセリング心理療法などで治療していきます。処方される薬はどの病院でも同じ様なものだと思いますが、心理療法などは病院によって、していたり、してなかったりと、様々です。最初に、どういう治療法をとっているのか聞いてみましょう。患者によって、その治療法が合う合わないもあると思います。よく検討してみましょう。

心療内科と精神科って?

心療内科心身症を診てくれるところです。心理面は、精神科ほど専門的には診てくれませんが、身体、両方を診てくれます。精神科は精神面のことは、当然ながら専門的です。精神科を受診する時は、IBSを診ることができるかどうかを、最初に確認しておきましょう。IBSの治療経験のない精神科医もいますし、その医師、その病院によって、得意分野も違うものです。精神科ではあまり扱わないであろう整腸剤や下剤などの、お腹関連の薬も出してもらう必要もありますので、IBS治療に慣れている医師の方が安心ですね.「精神的に参ってしまっている」、「うつ気味」…と感じている方であれば、精神科の方がいいのかもしれません。

でも、一番大切なのは、自分と相性のいい医師を見つけることです。精神科、心療内科、胃腸科、…どの科でもいいのです。評判などに囚われず、
・親身になってくれるか、
・一緒に合う薬を見つけようとしてくれるか、
など、信頼できる医師かどうか自分で見極めましょう。IBSの治療は長くかかります。一人でIBSに立ち向かうことは容易ではありません。なんでも相談できる、話しやすい、IBSの知識のある、医師をみつけることが大切です。

IBS治療に使われる薬の種類

便秘型、下痢型、交替型、ガス型など、その人の症状によって処方される薬は変わります。よく使われるものを、いくつか挙げていきます。

  • 腸のぜん動運動を調整するもの : トランコロン、セレキノン、など
  • 腸内環境をよくするもの : ビオフェルミン、など
  • 腸内のガスを排出するもの : ガスコン
  • 便の状態を改善するもの : コロネル、など
  • 下剤、便秘薬 :アローゼン、など
  • 自律神経系に作用するもの :グランダキシン、など

「うつ」の傾向が強い場合は、抗不安薬や、抗うつ剤などが処方されます。薬を自己判断で、飲んだり飲まなかったりするのは、よくないのですが、薬を飲んだせいで「気分がひどく落ち込む」「身体がだるくて起きていられない」などの症状が出る場合や、不調を感じたりしたら、薬の使用を一旦中止して、すぐ医師に相談しましょう。電話での相談にも応じてくれるはずです。

脳内物質が腸内にも

腸は第二の脳といわれるほど、脳と腸は密接な関係にあります。脳が動き始めると(ストレスを感じると)、腸も動き始めるのです。ストレスを感じて、腸が動き出す…IBS症状が起こるのは、脳と腸の密接な関係によるものなのです。また、脳内物質のセロトニンは腸内にも存在していて、腸のぜん動運動に関係しています。そのセロトニンに作用する薬が開発され、IBS治療に用いられていますが、女性には副作用が出ることが多いため、男性のみに処方されています。

生活習慣の改善

食事内容を見なおしたり、睡眠をたっぷりとる、身体を冷やさない、など、自律神経系を乱さない、心身のストレスをためにくいような生活を目指しましょう。野菜を多く摂る、早めに就寝…一つ一つは何でもないような事ですが、その小さな積み重ねの方が、薬よりも効果があったりします。

カウンセリング、心理療法

IBSの悩みを相談したり、生活の中でできる工夫などを医師と一緒に模索しながら、心が楽になる考え方などを身につけていきます。IBSの主な原因はストレスにあるので、心が楽になっていくと、IBS症状も治まってくることが多いのです。カウンセリングの他に、認知行動療法、森田療法、自律訓練法なども有効と考えられています。

IBSと上手に付き合っていく

病院へ行った。薬も飲んだ。カウンセリングも受けてる。
「でも、……全然よくならない!!」
ということは、よくあります。IBSの治療には時間がかかります。症状がよくなった!と思っても、次の日には元通り…。一進一退で、本当に治る日がくるのかな…と不安になることも多いでしょう。カウンセリングを受けている方は、耳にタコかもしれませんが、
「IBSと上手に付き合っていく」
という考え方を身につけると、心が楽になっていきます。「上手に…」ってどういうことでしょうか?一緒に考えてみましょう。

例えば、毎朝、通勤途中でトイレに行きたくなってしまう、という場合。できる工夫はないでしょうか?

  • 途中でトイレに寄れる時間ができるように、家を早く出る。
  • 立ち寄れるトイレをいくつか見付けておく。
  • トイレに行きやすい移動手段に変える(バスから自転車に変える、など)
  • 早起きすることで、トイレに行きたくなる時間をずらす。

など、考えられますね。
IBS症状が起きたらどうするか?最善の策を練りましょう。受けるストレスを最小限にする、ということもポイントです。避けられるストレスは、避けましょう。そして、トイレに行きやすい環境にしていきましょう。職場等で、協力が得られるならば、仕事内容、机の位置など、精神的な負担の少ないものに変えてもらうのもいいですね。

生活の工夫以外でできること

生活の工夫以外でできること、それは心を強くしていくことです。心理療法や、気持ちが楽になる考え方、リラックス方法…自分に合うものをさがしていきましょう。お勧めなのは、シンプルですが、「開き直り」です。開き直る考え方です。

「私、IBSですけど?私も困ってるんですけどね!なにかいい方法、ないですかね?仕方ないですよ、病気なんですから!!」

と逆ギレ(?)してみましょう。そして、自分を責めたり、自分は駄目だ、と思ったりするのはやめましょう。悪いのは、身体(腸)だけなんですから。
 IBSでなければ… とか、
 IBSが治ったら… とか、
 IBSを完治させたい とか、
考えてしまいますよね。それは当然のことなのですが、それよりも、IBSを抱えつつ、今より楽に生活できる方法を考えましょう。それが「IBSと上手に付き合っていく」ということです。

IBSの治療は時間がかかります。IBSを完治させたい、と思えば思うほど、焦ったり、まだ良くならないと絶望したりして、気持ちが浮き沈みします。心が不安定になるのは、IBS症状を悪化させる原因になり、完治させたいと、思えば思うほど、IBS症状に悩まされるでしょう。「IBSと上手に付き合っていく」なんて、最初は悲しすぎて、なかなか受け入れられない考え方かもしれません。しかし、ストレスとIBS症状の悪循環から抜け出すには、「IBSと上手に付き合っていく」という考え方が、ベストなのです。そして、「IBSと上手に付き合って」いけるようになると、時間はかかるかもしれませんが、IBS症状は改善していきます。希望はすてずに、でも、「治らなくてもいいや。」というくらいの気持ちでやっていきましょう。いつかきっと、良くなります!!

カミングアウト

自分がIBSだという事を、周りの人たちにバレないよう必死に隠している人、多いんじゃないでしょうか?やっぱり、恥ずかしいですよね。年齢が若ければ若いほど、そうだと思います。学校のトイレで大なんてしたら、からかわれるのは必然…そういう様な学生気分を引きずっている人たちって、社会人になっても、たまにいます。そういう人たちにIBSであると知られるのは賢明ではありませんが、一般の、普通の大人は、IBS当事者が思うより、意外にもIBSに理解を示してくれることが多いです。お腹の悩みって、みんな多かれ少なかれあるんですよね。

カミングアウトするメリット

カミングアウトすると、気持ちが楽になります。隠れてトイレに行かなくてもいいですし、何回もトイレに立つことを変に思われないかな?と心配することもないのです。また、周りの人たちも、必要以上に身体の心配をしてくれたり、「仕事をサボっているのかな?」とか、「なんで急に席を立つんだろう?」とか、そういう疑問や誤解が解消されるので、お互いやりやすくなります。

カミングアウトを成功させるポイント

トイレに何回も行ってしまう→だって、IBSっていう病気なんだもん→私、悪くない

という、少々、開き直っている態度でカミングアウトすると、カミングアウトする方も、された方も気持ちが楽です。暗い感じで、悩んでいる…と打ち明けるのは、よくありません。どう対応したらよいのかと気を使わせてしまいます。今後、腫れ物にさわるような扱いをされるかもしれません。注意しましょう。そして、この開き直る考え方を身につけると、IBS症状が治まってくることが多いのです。また、人に話すことで、「開き直る考え方」を持つ自分を、再認識できます。完全に開き直る境地に立ててなくても、人に話すことで、「私は開き直っている!」と思い込んじゃいましょう。そうすることで、心も、症状(身体)も、楽になります。

カミングアウトは、1対1で。

カミングアウトは一人ずつ、信用できそうな人からしていきましょう。その人に話たことで、カミングアウトが自分と、周りの人たちにどう影響するのか、わかると思います。大丈夫そうだな、と思ったら、少しずつ、カミングアウトしていって、味方を増やしていきましょう。

カミングアウト、しない方がいい場合も…

職場でのカミングアウトは、配置換えや、昇進などに関わってくるかもしれません。いじめにつながることもあります。開き直る考え方が足りないと、カミングアウトすることで、逆にトイレに行きづらくなったりすることも…。よく考えてから、カミングアウトするかどうか、判断しましょう。

いろいろ対策を練ったり、生活を改善、工夫したりして、つらい時期を乗りきりましょう。IBSと上手に付き合えるようになった頃、良い意味で「あきらめた」ような気持ちになった時、少しずつ、症状が良くなっていきます。希望を捨てずに、がんばりましょう!!

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