近年、教員の労働環境の過酷さが明らかになり、教員の大きな負担になっている部活動の在り方を変えようという動きが活発になっています。
これまでは当たり前のように放課後学校で行っていた部活動ですが、今後はどう変わっていくのでしょうか。
教員の長時間労働が問題に
2016年度に公立小中学校教員を対象に実施した「教員勤務実態調査」によると、時間外労働が月80時間を超える過労死ラインを上回る教員が小学校で約3割、中学校では約6割に上るという結果が出ています。特に、中学校教員にとって部活動の指導は大きな負担になっています。
しかも、1971年に制定された「教職員給与特別措置法」の規定により、公立校の教員に対しては給料月額4%に相当する額を支払う代わりに、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない、つまり、残業代が支払われない中での長時間労働です。
教員の労働環境を改善するためにも、これまでの部活動の在り方を考え直す必要があります。
国が進める教員の働き方改革
スポーツ庁は2018年、中学・高校の運動部活動に関して次のようなガイドラインを示しました。
- 部活動の活動時間は平日2時間、休日3時間程度まで。週2日以上休養日を設ける。
- 週末の試合が負担とならないよう、大会を統廃合する。参加できる大会の上限設定。
- 外部指導員を積極的に活用すること。
- 少子化を踏まえ、学校単位の運営から、地域単位の活動への移行も考える。
さらに、2019年度予算では、全国の公立中学校に部活動指導員を1万2000人配置する経費として13億円盛り込む方針が決まっています。吹奏楽部といった文化部活動も対象となる見込みです。
文部科学省は、部活動だけでなく、他の学校業務でも外部人材の拡充を求め、教員の労働環境の改善を目指します。
学校の部活動は今後、どう変化していくのか
近年、公立小学校では部活動を廃止するところが増えています。
地域や民間が運営するクラブへの移行を進める学校があったり、地域住民から指導者を募集して新しくスポーツクラブを作る学校もあります。放課後、小学校の体育館を利用して週1回活動など、活動内容は地域によって様々です。
一方、参加する大会を減らしたり、活動時間を短縮しながらこれまでの部活動を存続している小学校もあります。保護者や学童から存続を熱望する声もあり、難しいところです。
中学や高校の部活に関しても、今後、教員ではなく外部指導員が増えていくことになると思われます。これまで自身の経験がない競技を教えている教員も多くいましたから、その競技に詳しい外部指導員に効率的なトレーニングをしてもらえるとしたら喜ばしいことです。しかし、学校の部活動ですから教育上の配慮も求められます。今後、外部指導員として適切な人材を確保できるかどうか、課題が残ります。