瀬川康男さんは生涯で100冊を超える絵本を発表し、国内だけでなく海外でも高い評価を得ている絵本画家です。

昔話や民話の絵が有名なので、その絵を見たことがある方も多いでしょう。その画風は、日本で古くから伝承されてきた物語の魅力を引き出し、見る者を物語の世界に引き込む力に溢れています。

今回は、瀬川康男さんの絵本の中から、おすすめの絵本をご紹介します。

ふしぎなたけのこ

瀬川康男さんは、この絵本で世界絵本原画展大賞を受賞しています。
ぐんぐん伸びるたけのこに飛びついてしまった「たろ」。空高く雲を抜けて伸びていくたけのこ。さて、「たろ」はどうなるのか?話の意外な展開に驚かされます。
巨大なたけのこを遠くから近くから、様々な構図で描く瀬川康男さんの絵が迫力あります。特に間近で見る巨大たけのこの皮や産毛の細やかなタッチが印象的です。

いないいないばあ

いないいないばあ(松谷みよ子 文、瀬川康男 絵、童心社、1967年)

いないいないばあ(松谷みよ子 文、瀬川康男 絵、童心社、1967年)

松谷 みよ子
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50年以上愛され続けるロングセラー本で、赤ちゃんに読み聞かせる初めての絵本としておすすめの1冊です。赤ちゃんが大好きな「いないいないばあ」を絵本にしたものなので、1歳未満の赤ちゃんでも喜んで見てくれます。
瀬川康男さんの絵は落ち着いた色合いで、決して派手ではありません。しかし、「いないいない……ばあ!」と見開いた目には力があり、思わずその絵に引き込まれます。何度でも繰り返し読みたくなる絵本です。

たべられたやまんば

『三枚のお札』としても有名な昔話です。松谷みよ子さんの文章は、昔話の語りの魅力が存分に発揮されていて、朗読すると耳に心地よく響きます。是非読み聞かせして、日本語の言葉の魅力を感じてほしい1冊です。
瀬川康男さんの絵が見事に物語と合っていて、より物語を素晴らしいものにしています。山姥の迫力のある絵、漫画のようにコマ割りしたコミカルな絵、工夫された構図、どれをとっても素晴らしいです。

やまんばのにしき

やまんばのにしき(松谷みよ子 文、瀬川康男 絵、ポプラ社、1967年)

やまんばのにしき(松谷みよ子 文、瀬川康男 絵、ポプラ社、1967年)

松谷 みよ子
1,100円(05/02 09:41時点)
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この絵本は、秋田県に伝わる民話を、松谷みよ子さんが文章にし、瀬川康男さんが絵にしたものです。
「やまんば」というと、山に住んでいて、人を食ったりする恐ろしいイメージですが、ここに登場する「やまんば」は豪快でどこか憎めない、不思議な人物です。こんな「やまんば」も民話として伝承されているなんて、面白いですね。
弱虫の若者二人と、勇気あるばあさまとの対比にも注目です。

こしおれすずめ

宇治拾遺物語の説話をもとにしたというお話です。有名な昔話「したきりすずめ」に似ていて、勧善懲悪がテーマになっています。
瀬川康男さんはこの絵本を少ない配色でシンプルに描いていますが、それでいて味わい深い仕上がりになっています。どこかコミカルで、笑いを誘うような絵が、この話を親しみやすいものにしています。

かぜのかみとこども

新潟県に伝わる民話の絵本です。初出は1972年ですが、2012年に復刊され再び手に取ることができるようになりました。
気まぐれな風の神によって神隠しに遭ってしまった子供達。親は必死に探しますが……。
子供が神隠しに遭う伝承が各地に残っていますが、これもそのひとつです。親の立場で読むとハラハラしますし、きっと子供も心細いことでしょう。
瀬川康男さんの個性的な絵が読むものを楽しませてくれます。

ふたり

ふたり(瀬川康男 作、冨山房、1981年)

ふたり(瀬川康男 作、冨山房、1981年)

瀬川 康男
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猫がネズミを追いかける「トムとジェリー」のような絵本です。「にやり」、「きらり」、「ばさり」など、3文字の言葉が次々と出てくる言葉遊びの絵本でもあります。
絵は細やかに描かれた石版だそうです。デザインが見事で美しく、大人でも楽しめます。特にネズミと猫が水に入るシーンは躍動的で、映像を見ているような素晴らしい表現力です。

ことばあそびうた

ことばあそびうた(谷川俊太郎 詩、瀬川康男 絵、福音館書店、1973年)

ことばあそびうた(谷川俊太郎 詩、瀬川康男 絵、福音館書店、1973年)

谷川 俊太郎
1,100円(05/02 09:42時点)
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谷川俊太郎さんが詩を担当されていて、圧倒的に面白い言葉遊びの本です。瀬川康男さんの個性的でユーモラスな絵が、更に詩の魅力を引き立てています。
この本は音読してこそ面白さが分かるので、是非親子で声に出して読んでみて下さい。難しい早口言葉のようで、最初はすらすら読めないかもしれません。でも、一息ですらすら言えたときの達成感は素晴らしいです。日本語の響きが楽しく、きっと好きになります。
長年愛されているのも納得の1冊です。

きつねのよめいり

松谷みよ子さんが昔話を再話してできあがった絵本です。瀬川康男さんの初めての作品で、世界絵本原画展でグランプリを受賞しました。
瀬川康男さんは、生涯全く手法の異なる絵を次々と描いた特異な絵本画家です。この絵本は第一作目ということで、こんなに柔らかい優しいタッチの絵も描くのだと知って驚いてしまいました。

ひな

ひな(瀬川康男 作、復刊ドットコム、2015年)

ひな(瀬川康男 作、復刊ドットコム、2015年)

瀬川 康男
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瀬川康男さんの最後の絵本であり、遺作となった作品です。
瀬川康男さんといえば、昔話や民話で日本古来の趣がある絵を描き、「松谷みよ子あかちゃんの本」シリーズでは落ち着いた色合いの心穏やかになる絵が有名です。しかし、この絵本『ひな』は初々しい感情がきらきらしていて、好奇心に溢れ、華やかな画風です。これが遺作であることに大きな驚きを覚えます。晩年の瀬川康男さんの心境とはどんなものだったのでしょう。輝くような魅力のある作品です。

編集後記

瀬川康男さんは国内外で様々な賞を受賞し、長く絵本画家として活躍された方です。その画風は作品によって大きく異なり、生涯変化し続けました。日本を代表する絵本画家の作品をどうぞお楽しみください。

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