皆さんは「NIE」という言葉を聞いたことがありますか?
NIEとは、「Newspaper in Education」。学校などで新聞を教材として活用することです。
NIE実践指定校は増えつつあり、2018年度全国で544校になりました。NIEとは一体どんなものなのでしょうか。
NIEの活動内容
例えばある小学校では、授業前の朝15分程度をNIEの時間としています。低学年ではみんなで新聞を開いて、興味のある記事を賑やかに読み合っています。読めない漢字や意味が分からない言葉も多いけれど、読めるところだけ拾い読みして、なんとなく記事の内容を理解したり、写真やグラフから何かを読み取る子もいます。
高学年になると、一人ひとり静かに新聞を読んで、気になった記事をスクラップしたり、記事の要約や感想を書いたりします。記事内容についてクラスメイトと意見を交わしたり、テレビ報道と新聞記事の内容の違いに気付く子もいます。
2020年から「新学習指導要領」が実施されますが、そこでも新聞は大きな役割を担っています。具体的には、小学校の国語で重視されるのは「思考力」「判断力」「表現力」などです。
「学校図書館などを利用し、複数の本や新聞などを活用して、調べたり考えたりしたことを報告する」ことや、「説明や解説などの文章を比較するなどして読み、分かったことや考えたことを、話し合ったり文章にまとめたりする」活動が行われるようになります。
小学校の社会では、「映像や新聞などの資料で調べてまとめること」「情報を有効に活用すること」「情報を正しく判断すること」などが重視されます。いずれも、NIEの活動内容と関係性が深いことが分かります。
新聞閲覧頻度と学力の関係
日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司さんが調査した小学校10校の比較によると、新聞の閲覧頻度が高い小学生ほど学力が高いという結果が出ています。国語、算数、理科の各教科で同様の結果です(2018年文部科学省全国学力テストにおいて)。
新聞を日常的に読むことは、ただ読解力や判断力が増すばかりではありません。新聞に載った写真や図、表、グラフなどの資料から要点をつかむことに慣れていれば、算数や理科の学力向上にも当然結びつきます。
無理なくNIEを始めてみよう
学校でNIEを行っていないなら、自宅でNIEを行うこともできます。
まず、毎日10~15分程度で良いので、新聞を読み、文字に親しむ習慣を持ちましょう。時間に余裕がないときや、気分が乗らないときは、パラパラめくって見出しをチェックするだけでもいいです。もしかしたら、興味のある見出しを見つけて読みたい気持ちになるかもしれません。
読んだ記事について親子で話し合うと、コミュニケーション能力のアップに繋がります。論理的な思考も身についていきます。社会の出来事や世界情勢について、いろいろ考えるきっかけにもなるでしょう。
新聞を読むのが好きになったら、記事を切り取ってスクラップしたり、感想を書くのも良いでしょう。もっと頑張りたい子は、自分で身近なニュースを取材して、新聞を書くところまでやってみましょう。読む立場から書く立場になると、物の見方が変わって勉強になります。
NIEは効果が高い学習方法ですが、子供に強制するとやる気をなくしてしまいます。無理強いせず、最初は面白い記事を見つけたら手渡す程度にしておきましょう。興味があれば、子供は自分から記事に目を通します。短時間でも良いので、無理なく習慣にできればいいですね。
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