今年、5年ぶりに風疹が全国各地で大流行となっています。
風疹は、妊娠初期に感染すると、赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が出る可能性がある病気です。
なぜ今、日本でこれほど風疹が流行しているのでしょうか?
予防や対策についてもご紹介します。
流行の状況
風疹の流行は今年7月に始まりましたが、当初、1週間の患者数は19人でした。それが全国各地に拡大し、11月に入る頃には1週間の患者数が154人まで増加しています。10週連続で100人を超える増加が続いており、まさに緊急事態です。
2018年11月14日現在、今年の風疹の患者数は2032人となり、5年前の流行以来、大流行となっています。
これを受け、アメリカ疾病対策センターは、予防接種や感染歴のない妊婦は日本への渡航を自粛するよう注意喚起しました。風疹の流行は季節にあまり関係がないため、この流行が長引く可能性も考えられます。
年齢によって異なる風疹の予防接種状況
現在風疹は、MR(はしかと風疹の混合)ワクチンとして子供の定期接種の対象となっています。しかし、昔は予防接種を実施していなかった時期があります。以下、年齢別の風疹の予防接種状況です(2018年時点)。
- 0~28歳 男女とも2回接種
- 28~31歳 男女とも1回接種
- 31~39歳 中学生の時に医療機関で1回個別接種
- 39~56歳 男性は接種なし。女性は中学校で集団接種。
- 56歳~ 接種なし
今回の流行は、免疫がない人が多い30~50代の男性が多く感染しているのが特徴です。60代以上の世代は、多くが子供の頃に風疹に罹って免疫があり、新たに罹患する人は少なくなっています。これを見ると、過去の予防接種の制度の在り方が今年の流行に大きく影響していることが分かります。
流行を拡大しないためには、「集団免疫率」を高める必要があります。これは、集団の中でどれほどの割合の人が免疫を持っていれば流行を防ぐことができるかという指標です。風疹では、全体のうち80~85%が免疫保持者であれば流行を抑えられると言われています。30~50代男性の免疫保持者を増やすことが、流行拡大を防ぐためにも必要です。
予防接種を受けよう
流行を受け、風疹の抗体検査や予防接種を無料にしたり、費用の一部を助成する自治体が増えています。ワクチンの費用を全額補助する企業も出てきました。
自治体が助成の対象としているのは、妊娠を希望する女性とそのパートナーなど、条件が決められていることが多いです。対象年齢や風疹の抗体価の数値についても、自治体によって条件が異なっています。予防接種を受ける方は事前に確認しましょう。
風疹に罹ったかどうか記憶があいまいだったり、自分の予防接種の記録が残っていなくて分からないという方は、風疹の抗体検査を受けると免疫があるか判断できます。
ただし、妊婦は接種できません。また、女性は接種後2カ月は避妊が必要です。
※熊本日日新聞2018年11月20日「風疹 全国へ」
・風疹急増に関する緊急情報(2018年) NIID 国立感染症研究所
・風疹ワクチンFAQ(和歌山市の小児科 生駒医院)