まど・みちおさんは、日本人で初めて国際アンデルセン賞(作家賞)を受賞した方です。
国際アンデルセン賞とは、児童文学への永続的な寄与に対する表彰として贈られる国際的な賞です。
日本では「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」などの童謡で知られる作者ですが、多くの詩を書き、その一部は絵本として出版されています。
キリンさん
第4回日本絵本賞受賞作品です。
色とりどりの、形も様々な貝がら。海の生き物。コオロギの美しい音色。春の花々、動物たちの生命力……。美しく、懐かしく、慈愛に満ちた詩の数々が、南塚直子さんの描く温かみのある色彩の中で輝いています。まどみちおさんの詩は、世界は美しいと賛美する歌の様です。子供だけでなく、大人にもおすすめの絵本です。
ぞうさん
「ぞうさん」や「やぎさん ゆうびん」などは、大人から子供までみんな知っている有名な童謡です。その詩を書いたのがまどみちおさんですが、この絵本にはその詩を含めて12編が収録されています。
巻頭と巻末に楽譜もついていますので、親子で弾いて歌ってみると楽しいと思います。素敵な童謡ばかりです。書店ではもう取り扱っていないかもしれませんので、図書館で探してみて下さい。
一ねんせいに なったら
まどみちおさん作詞の有名な童謡「一ねんせいになったら」が絵本になりました。この歌はテレビの子供番組で流れたり、幼稚園で歌ったりすることが多いので、ほとんどの子供たちが知っています。明るく元気なメロディで子供たちに人気です。
是非、これから一年生になる子供たちに読んであげたいですね。親子で一緒に歌って、ワクワクドキドキの入学を楽しみに待ちましょう。
くまさん
春が来て、冬眠から目が覚めたこぐまが登場します。ぼんやり寝ぼけた頭で春の草花の中を歩きます。
まどみちおさんの詩はシンプルですが、自然を愛する心、生きる喜びが強く伝わってきます。さらに、ましませつこさんの描く絵が詩とぴったり合っていて、相乗効果で素晴らしい絵本になっています。暖かい春の情景と、こぐまの生き生きとした表情が印象的です。
1歳前後からおすすめです。
せんねん まんねん
まどみちおさんの詩は、悠久の年月に思いを馳せ、壮大な生命のめぐりを感じるものです。そこには、目に見えないけれどある大切なもの、知ろうと思わなければ見過ごしてしまう世界の在り方が表現されています。
まどみちおさんは、世界を賛美しながら、人間誕生以前からずっと続いてきたこの美しい世界を、その在り方を壊すことがないように呼びかけているようにも感じられます。
パパとおはなし
とびきり愉快でへんてこりんなお話です。
日曜日、大好きなパパがタロウに面白おかしいお話を始めます。タロウは時々質問しながらお話を聞いていますが、いつの間にかその話に参加して自分から語り出し、今度はパパが聞き手になります。
親子で物語を自由に創作する面白さ、のびのびとした感性が伝わってくる絵本です。是非真似して、自由に物語を作ってお話してあげて下さい。小さなお子さんならきっと喜んでくれるはずです。
ふしぎなポケット
「ふしぎなポケット」は、まどみちおさん作詞の有名な童謡です。子供番組で歌が流れたり、幼稚園や保育園で歌ったりすることも多いので、知っているお子さんが多いでしょう。
この絵本は赤ちゃんから幼児まで楽しめます。是非、歌いながら、メロディと一緒に親子で楽しみましょう。赤ちゃんは歌が大好きです。初めての絵本としてもおすすめです。
ことり
アリにデンデンムシにイナゴ。たんぽぽにリンゴにシソ。まどみちおさんの感受性豊かな言葉の数々に、憧れに近いものを感じます。まどみちおさんの目から見た世界は、こんなにも輝いて美しい。
世界や、そこに住む生き物ひとつひとつに対する慈しみが溢れ出すようです。南塚直子さんの絵も美しく抒情的で、素敵な絵本になっています。大人にもおすすめです。
ママだいすき
1~2歳前後の小さいお子さんに人気の絵本です。
動物や虫、お魚などの母子が次々登場します。授乳したり、食べ物を子に与えたり、抱っこしたり、母親の愛情たっぷりな姿が描かれています。
読むと安心でき、温かい気持ちになります。
是非、お子さんに読み聞かせしてあげて下さい。絵を見れば内容が分かるので、言葉が分からなくても大丈夫です。
カステラへらずぐち
まどみちおさんと阪田寛夫さんの言葉遊びの詩に、かみやしんさんが抽象的な挿絵をつけた絵本です。是非音読して、言葉の響きやリズムを楽しみましょう。
小さなお子さんには難しいので、小学生以上が対象です。何度も声に出して読んでいるうちにスラスラ読めるようになると気持ちいいです。
日本語の面白さに気付かせてくれる絵本です。
編集後記
まど・みちおさんの詩は、子供から大人まで幅広い世代に訴えかける力があります。
その言葉は世界や自然、そこに生きる生き物たちに対する賛歌であり、生きる喜びに溢れています。
今親になった大人たちが、子供の頃聞いて歌っていたまど・みちおさんの童謡。それを、今の子供たちがまた歌って、さらにその子供達へと受け継がれていったら、とても素敵なことですね。