発達障害者支援法が施行されて10年になります。
以前に比べて発達障害に対する認知度は高まっていますが、まだまだ十分理解されているとは言えない状況です。
今回は、発達障害の種類と特性についてまとめます。
発達障害の種類
発達障害には自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)など様々種類があり、これらを総称して「発達障害」と呼んでいます。自閉症と自閉症に近い障害群(アスペルガー症候群など)を連続体として捉え、「自閉症スペクトラム」と呼ぶこともあります。(注:診断名や診断基準は今後も変わる可能性あり)。
発達障害には様々なタイプがありますが、1人で複数のタイプを併せ持っている場合が多く見られます。
発達障害児は生まれ持った脳の機能が通常と異なるために、得意なことと不得意なことの差が大きい、独特の感じ方をする、などの特性が幼い頃から表れます。人の感情の理解が困難だったり、じっとできずに動き回ったりするなど様々な特性があります。
法律で定義された発達障害児とは「発達障害の特性が見られ、かつ生活の困難さ(生きづらさ)がある子供」です。発達障害の特性は誰でも多かれ少なかれ持っているものです。その特性が同年代の子供に比べて著しく、その特性によって周囲とトラブルになったり、コミュニケーションが成り立たずに苦労している場合、周囲の理解と支援が必要になります。
日本の人口の約10%が発達障害に該当するとも言われますが、正確な人数は分かっていません。2012年の文部科学省の調査では、全国の通常学級に通う小中学生の6.5%が発達障害の可能性があるとの推計が出ています。
自閉症・アスペルガー症候群
自閉症は主に社会性、コミュニケーション、想像力の障害があり、これらの特性が3歳までにはっきり認められます。また、知的発達の遅れや言葉の遅れを伴うことがあります。自閉症に近い特性が見られるものの、言語発達の遅れが少ない場合ををアスペルガー症候群と呼びます。
幼い頃から表れる特性は「人の目を見ない」「一人遊びが多く集団行動が苦手」「予定が急に変わるとパニックになる」「相手の気持ちを考えず、自分の好きな話ばかり一方的に話し続ける」などです。社会的ルールになかなかうまく対応できない特性があります。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)
脳神経学的な障害のため、注意力・多動性・衝動性を自分でコントロールするのが苦手です。
注意力の具体例は「忘れ物やケアレスミスが多い」「先生の話を集中して聞けない」「気が散って勉強することができない」などです。
多動性の例は「席に座っていられない」「座っているときに椅子をガタガタさせる」「片時もじっとしていない」などです。
衝動性の例は「相手の質問の途中で話し始める」「急に飛び出す」「順番を待つことが苦手」「叱られると暴れて嫌がる」などです。
その他、整理整頓が苦手だったり、課題を順序立てて行うことが困難で不器用などの特徴があります。
学習障害(LD)
読み、書き、計算、話すなどの基本的な学習能力のうち、どれかに障害があります。
例えば「話すことはできるのに、文章が読めない」「文字を書こうとしても正しく書けない」「足す、引く、掛けるなどの計算の感覚がつかめない」などです。
その性質上、小学校に入学してから分かることが多い発達障害です。
計算は得意でも文章が読めなくては算数の文章問題が解けません。どれか一つが苦手なだけでも、学年が上がるにつれて教科全般の成績に影響が出ます。学習障害(LD)の子供たちの教育には、個別の特性に応じた工夫が必要になります。
【参考文献】
※『もしかして、うちの子、発達障害かも!?』岡田俊、PHP研究所、2009年
※熊本日日新聞総合版平成27年4月25日「発達障害者支援法10年 就労 周りの理解が課題」