今年はインフルエンザA型とB型が同時に流行し、患者数が過去最多となっています。A型にかかった後、B型にかかったという話も珍しくなく、全国各地で学級閉鎖や休校の措置が取られています。
今回は、娘がインフルエンザにかかった体験をもとに、受診の際注意すべきこと、抗インフルエンザ薬の賢い選び方などについてご紹介します。
タミフル、リレンザ、イナビルの抗インフルエンザ薬、どれを選ぶ?
現在、抗インフルエンザ薬にはタミフル、リレンザ、イナビルの3種類があります。
タミフルは生後2週目~9歳までと、20歳以上が服用できます、10歳以上20歳未満は異常行動による転落事故などの報告があったため、原則用いられません。1日2回、5日間飲み続ける必要があります。
リレンザは吸入タイプの抗インフルエンザ薬で、5歳以上が対象です。1日2回(1回で2吸入)を5日間続けます。
イナビルも吸入タイプの抗インフルエンザ薬ですが、この薬は1回吸入するだけで終了です(10歳未満1容器2吸入、10歳以上2容器4吸入)。5歳未満の吸入が上手にできない子供には処方しません。
いずれも発症から48時間以内に使用すると、発熱する期間を1~2日短縮する効果が期待できます。お子さんがうまく吸入できるかが選択のポイントになります。喘息や乳製品アレルギーの場合は注意が必要な薬もあるので、医師と相談して最善の抗インフルエンザ薬を選びましょう。
インフルエンザのときこそ、信頼できる医師を選ぼう
ここからは筆者の失敗談を書きますので、参考にして下さい。
筆者の娘(6才)が高熱を出したため、近所の病院へ連れて行きました。そこでインフルエンザB型と診断され、医師から「1回吸入する薬と5日間飲み続ける薬どちらが良いですか?」と質問されました。この時、安易に「1回吸入するだけならそちらの方が楽でいいかな」とイナビルを選択。息を吸い込むと音が鳴る笛のようなもので練習し、薬局で薬剤師の指導を受けながら吸入してみました。
ところが、「まずい」と咳き込んで2吸入の1回目で失敗。それからは泣いて嫌がり吸入できませんでした。結果、薬がほとんど効かなかったらしく、その後も高熱が5日以上続いて長引いてしまいました。
あまりに熱が長引くので再度別の病院を受診すると、小さい子向きの抗インフルエンザ薬はどれか丁寧に説明してもらえました。「イナビルは薬剤が苦く、むせやすいので、小さい子には不向きであること」「1回だけの吸入なので、失敗するとそれで終わってしまうこと」などです。ちなみに、たとえ吸入に失敗しても、一度抗インフルエンザ薬を処方したら、2度は処方できないのだそうです(自費の場合はできるが高額。5,000円~8,000円ほど)。
1回目の病院ではリレンザの話は出ませんでしたが、リレンザの場合、5日間吸入を続けるので、失敗しても次があるし、何回もやっているうちにだんだん上手になるとのことでした。
失敗から学び、次に生かそう
6才の娘はイナビルを使える対象年齢ではありますが、結果的に失敗だったと反省しています。2回目に受診した病院は子供を多く診ている小児科だったため、マニュアル対応ではなく、経験からどの薬がどの年代の子に最適か理解していたのだと思います。
抗インフルエンザ薬は新薬が開発され新しいものが追加されていきますが、患者や患者の保護者には詳しい知識がないことが多く、選択を誤りかねません。それぞれの薬の説明をしっかりしてくれて、きちんとその子に合った薬を処方してくれる医師を選ぶことが大切です。
本当は、子供の病状などをしっかり聞いて、親の不安や疑問に丁寧に答えてくれる医師が理想なのですが、そういう医師と出会えるとは限りません。また、気軽に通える距離ではない場合もあります。自己防衛のためにも、親は失敗から学んで、次に生かしていくことが大切だと思います。