少子高齢化に伴う人手不足が深刻化する中、政府は介護や育児など、働き手が個々に抱える事情に応じて多様な働き方を選べるよう、働き方改革を進めています。

多くの女性が子育てと仕事の両立の難しさを実感する現在の日本で、働き方改革はどんな変化をもたらすのでしょうか。
今後の課題についても考えます。

現状

総務省の労働力調査によると、15~64歳の女性の就業率は、30年前は54.8%。それが平成30年には70%に増えています。以前は専業主婦や、出産を機に退職し、子育てが落ち着いてから仕事に復帰する女性が多くいましたが、近年は子育て世代の就業率も以前ほど下がらなくなっています。しかし、拡大しているのは主に非正規雇用で、男性との賃金格差は大きいままです。

特に都市部などでは保育園探しが難しく、子育てと仕事の両立を難しくしています。仕事復帰を目指して内定したものの、子供が保育園に入れず泣く泣く内定辞退、ということもあります。2019年10月から幼児教育・保育が無償化されることが決まりましたが、待機児童問題は解決していません。保育士不足も深刻です。

また、日本では「夫は仕事、妻は家事・育児」という考え方が根強いためか、男性の育休取得率は低く、2017年で5.14%です。日本の男女平等実現状況は2018年、149カ国中110位と低迷しています。職場での男女の待遇差も大きいままです。

変化する「働き方」

近年、在宅勤務や短時間勤務を導入するなど、社員のライフスタイルに合わせて都合の良い勤務形態を選べる企業が増えてきています。背景にあるのは深刻な人手不足です。そこには、育児や介護などの事情で離職する社員を減らし、人材を確保したい企業の思惑があります。

まず、職場に出勤せず、ITを活用して自宅などで働く「テレワーク」を導入する企業が増えてきています。2017年国内企業のテレワーク導入率は13.9%。今後も増えていくでしょう。チャットやテレビ電話などで他の社員ともコミュニケーションを取りつつ在宅で仕事ができます。
通常は会社に出勤し、都合の合せて「テレワーク」の時間を選べる企業も出てきています。通勤時間が不要になったり、子育てや介護との両立がスムーズになったと好評です。

また、子育て中の社員の「子連れ出社」を認める企業もあります。小学生は放課後学童保育に預けることができますが、学童保育は保育所に比べ終了時間が早く、小学校入学時に困る社員が多かったことから考えられた制度です。夏休みなどの長期休暇も子連れで出社できるので安心です。子供はフリースペースで遊んだり宿題したりできます。

企業型の保育園を整備したり、子供が小さいうちは短時間勤務を選べるなど、子育てとの両立を支援する企業は確実に増えています。

今後の課題

2017年、女性の正規社員と非正規社員の割合は、非正規社員が55.8%と、非正規社員の方が多くなっています(男性は21.3%)。厚生労働省のアンケートで「非正規社員に対しては特に育児などとの両立支援を行っていない」と回答した企業が約60%ということから、多くの非正規社員の女性が支援を受けられない環境にいることが分かります。

一方、育児や介護の制度を充実させた結果、恩恵を受けられない独身社員の不満が溜まり、職場の雰囲気が悪くなってしまったという話も聞きます。

今後は、子育てや介護に限らず、社員一人一人の多様な要望に合わせて柔軟な勤務形態を提供できる企業が、より多くの人材を確保できるようになっていくでしょう。女性が子育てをしながら働きやすい環境が整うことを願います。

参考文献
※熊本日日新聞2018年10月22日「働く女性 多数派に」
※熊本日日新聞2018年2月8日「IT駆使して社外で勤務」
※熊本日日新聞2018年8月9日「不公平感 どう解消?」
「働き方改革」の実現に向けて(厚生労働省)
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