子供のおねしょは自然に治るから大丈夫とよく言われますが、小学生になってもおねしょが治らなくて困っている子はたくさんいます。どうすればおねしょは治るのでしょうか?
今回は、おねしょの治療法や、家庭でできる対策についてご紹介します。
おねしょの原因
一般的に子供の多くは、3歳頃には日中のトイレができるようになり、5歳頃にはおねしょもしなくなります。しかし、おねしょに関しては個人差が大きく、小学校入学時で10%前後の子が、高学年でも5%前後の子がおねしょをしているそうです。
おねしょの原因として、しつけやトイレトレーニングのやり方が問題なのではないかと悩まれる親御さんが多いですが、小さな頃から続いているおねしょの場合、あまり関係はないと考えられています。
おねしょの原因として現在考えられているのは、眠りが深くなかなか目が覚めないこと、膀胱の容量が小さいこと、夜間の尿の量が多すぎることなどです。
成長とともに膀胱の容量が大きくなれば、より多くの尿を溜めておけるようになり、おねしょをしなくなります。また、睡眠中に生成される抗利尿ホルモンというものがありますが、これは睡眠中の尿の量を減らす役割があります。これも成長にともなって分泌量が増えていきます。しかし、発達は個人差が大きいため、小学生になってもなかなかおねしょが治らない子もいるのです。
困ったときは医師に相談しよう
小学生になってもおねしょが続く場合は、「夜尿症」と呼んで治療の対象になります。小学校入学時は治療開始のひとつの目安です。思い悩んでいるなら、思い切って小児科医や小児泌尿器科医に相談してみましょう。
膀胱や尿道などの働きや形に異常があったり、何かの病気が原因でおねしょをしていることもありますから、昼間も尿が漏れてしまうなど心配な症状がみられる場合は検査を受けましょう。
病気ではないことが分かったら、まず生活習慣の改善から始めます。抗利尿ホルモンを補ってくれる薬を服用したり、下着が濡れるとアラームが鳴って起こしてくれる夜尿アラームを使う方法もあります。薬による治療は効果が出るまで短くて2週間、長ければ3ヵ月と言われます。修学旅行など心配な学校行事がある場合は、早めに受診しておきましょう。
家庭でできる対策
病気が原因ではない場合、家庭で生活改善に努め、できる限りの対策をしましょう。次のようなことに注意して過ごすことが大切です。
- カフェインを含んでいる飲み物をやめる
- 塩分の取り過ぎに注意
- 昼間水分を十分取り、夕食後は水分を控える(病気の場合は水分制限は行わない)
- 寝る前にトイレに行く
- 寝るときは体を冷やさないように気をつける
- 夜中トイレに起こさない
このような生活改善だけで、2~3割はおねしょが治るそうです。おのしょをするのは、膀胱の発達や抗利尿ホルモンの分泌量の問題なので、子供を責めず、叱らないようにしましょう。布団が濡れてしまうのが大変だと感じるなら、オムツを使ってもおねしょの改善に影響はありません。
抗利尿ホルモンは睡眠中に分泌されます。そのためにはぐっすり寝かせることが必要なので、夜中に無理に起こしてトイレに行かせるのはやめましょう。焦らず、子供の成長を見守る姿勢でいたいものです。
※熊本日日新聞2017年3月2日「おねしょ まず医師に相談」
・小学生のおねしょは簡単に治ります | PRESIDENT Online
・夜尿症について|東京女子医科大学病院 泌尿器科