子育て中のご家庭では、一人っ子、もしくは2人以上と、人数も性別も様々、年の差や性格も様々な兄弟・姉妹を育てています。
仲が良くても、幼いうちはきょうだい間でけんかはつきものです。年が近くてけんかが絶えない兄弟、気が弱いお姉ちゃんを一方的に弟が叩いて泣かせるなど、きょうだい関係にも色々あるでしょう。
今回は、良いきょうだい関係を築いていくために、親にできる心配りについて考えてみます。
きょうだいげんか
けんかは悪いことではありません。幼いうちからけんかをすることで、欲求のぶつかり合いを経験し、自分の感情をコントロールする術を学び、相手の気持ちを推し量ることができるようになります。妥協や我慢も必要になるでしょう。きょうだいげんかは、社会性を身に付け、対人関係を学んでいく良い体験になるのです。
特に、反抗期である2〜3歳の子供がきょうだいのなかにいるときは、毎日のようにきょうだいげんかが起きることも珍しくありません。育児中の数年間はけんかばかり起きても仕方がないと覚悟しましょう。
きょうだい間で体力差があまりなければ、けんかをしても止める必要はありません。むしろ、感情を出し切ってすっきりさせた方が嫌な感情が残りません。ただし、危ないときや怪我をさせそうなときは止めに入りましょう。子供の言い分を聞いて、理解してあげることも大切です。親は、けんかの後に必要なフォローをしてあげましょう。
きょうだいの関係は子供たちの成長とともに年々変化していきます。今はけんかばかりでも、数年後にはぱったりけんかしなくなっていることもよくあります。親は心配しすぎず、見守りましょう。
きょうだいげんかを減らすには?
下の子が1歳になって自分で歩けるようになると、下の子が上の子のおもちゃを手に取って、上の子が「これは僕(私)のだ!」と怒ったり泣いたりすることがよく起きます。これは、年が近いほど起きやすいトラブルです。上の子は2〜3歳で自我が芽生える時期なので、自分のテリトリーを妹や弟に侵害されたと感じます。上の子が5歳にもなると、「また後で返してもらえばいい」と先の見通しがつくようになるので、トラブルも減ってきます。
上の子は下の子にテリトリーを侵され、おもちゃを取られたり壊されたり。いろんな経験を積みながら次第に知恵をつけていきます。例えば、「今大好きなパズルを始めたら弟に邪魔されるから、弟が昼寝中にやろう」とか、「妹の好きなおもちゃを渡して、その間に自分はこれをやろう」とかいった具合にです。
どうしてもけんかが絶えなくて、けんかを減らしたいときはいくつか方法があります。
まず、けんかの種になりそうなおもちゃは、同じものを2つ買うこと。遊びの自由度が高いブロック、レゴ、積み木類はたっぷり用意して、数が足らなくて奪い合うようなことが起きないようにすることです。
追いかけっこやサッカー、一緒に歌う・ダンスするなど、「きょうだいが一緒にいて良かった」と思える、一緒に遊んで楽しい体験をいっぱい作ってあげるのも効果的です。
また、下の子を昼寝させたり、パパに下の子を連れ出してもらったりして、上の子が一人で好きなことをして遊べる時間を作ってあげると、上の子も心のゆとりができます。
きょうだいげんかを止めたいときには、気分をガラリと変えて外に散歩に連れ出すとか、全く別のことをやらせて気分転換させるのも効果的です。
親が注意したいこと
きょうだいげんかが始まると、体が大きく、親の言葉もしっかり理解できる上の子ばかりを叱ってしまいがちですが、上の子ばかり一方的に我慢させるのはよくありません。上の子の下の子に対する嫉妬心や悪感情を助長させてしまうからです。
上の子と下の子を比べてあれこれ言うのもやめましょう。競争意識が強くなって対立関係になってしまう恐れがあります。全く違うタイプに育てるくらいの気持ちで見守っていきましょう。
【参考文献】
※『上の子 下の子 きょうだい育て』プチタンファン企画室、主婦の友社、平成17年