子供に食事を無料や低額で提供する「子ども食堂」の開設が全国で広がっています。
背景には「子どもの貧困率」の上昇、格差拡大の問題があります。
「子ども食堂」とはどんなところなのか、その活動内容についてご紹介します。
「子ども食堂」とは?
「子ども食堂」は、2012年頃、東京都内で始まったとされています。もちろん、それ以前にも子供に食事を提供する活動はありました。しかし、「子ども食堂」というネーミングで全国に紹介され、全国的に開設が広がったのはここ数年のことです。
運営者はNPO法人や民間団体、地域住民によるボランティア、個人などです。個人では、レストランの経営者や病院の院長などの例があります。
場所は公民館や地域センター、個人の家やレストラン、病院食堂などさまざまです。運営は寄付金や調理ボランティア、農家から野菜の提供など、さまざまな支援によって成り立っています。ホームページで食材や資金の提供を呼び掛けているところもあります。
2012年、子供の貧困率は16.3%。現在、子供の7人に1人が貧困であるといわれます。
「子ども食堂」は本来、貧困家庭や、家庭の事情で一人で食事をしなければならない弧食の子供を対象に、安心して食事を食べられる場所を提供しようと始まりました。しかし、現在は対象を限定しない食堂が増えています。地域の人が大人も子供も高齢者も幅広く訪れ、交流を楽しむ場になっているところもあります。
料金は子供は無料、大人は200~300円など、食堂によって差はありますが、いずれも低額で利用できます。週1回~月1回の頻度で開催しているところが多いようです。
子ども食堂の多様な活動内容
運営主体は民間や個人であることから、その活動内容は運営者の方針によってさまざまです。
大人も子供も幅広く受け入れ、地域の交流の場にしたい、みんなが集まれる楽しい居場所を作りたいと活動を続けている方がいます。食堂の一部に子供が遊べる場を作ったり、マンガや小説をそろえた図書ルームを併設するなど、利用者の居場所づくりを工夫しているところもあります。
また、食事を提供するでけでなく、子供たちに「自炊の力」をつけるために、利用者に調理に参加してもらうところもあります。塾に通えない子供たちに無料で勉強を教えたり、宿題の時間を設けているところもあります。
子ども食堂の課題
子供の貧困率の高さが問題となり、全国に広がり始めた「子ども食堂」ですが、まだまだ知名度が低く、「子ども食堂」の存在を知らない保護者も多いと思われます。
今後は、本当に支援が必要な貧困家庭の子供たちにどう情報を伝えていくか、伝えた上で、どうやって来てもらうかが課題になります。
貧困で孤立しがちな親子が気軽に利用でき、地域の大人と子供たちを結びつける居場所づくりが求められています。