新しい生活のスタートや環境の変化などでストレスを感じるのは子供も同じです。しばらくしてストレスが解消されれば問題ありませんが、不安が長引いたり、体調を崩すようなら親の手助けが必要です。
子供がストレスを抱えているときに出しているSOSサインにはどんなものがあるか、ストレスを解消するために親ができることについて考えます。
親子の愛着形成がうまくいっているか
子供と母親との愛着形成は、生まれてから2〜3歳の間でほぼできあがると言われています。「愛着形成」とは、特定の人に特別な愛着を抱き、信頼した関係を築くことです。母親の胸に抱かれたとき、その子が絶対の安心感を持ち甘えられるようなら、親子の愛着形成がうまくいっていることになります。愛着形成がしっかりできている子は心が安定し、のびのびと育っていきます。
一方、この時期に虐待やネグレクトを受けたり、何らかの事情で母親とスキンシップが取れないような環境にあった子は、情緒不安定になりやすかったり、ストレスを抱えやすくなる傾向があるようです。母親となかなか離れたがらなかったり、対人関係がうまく築けないなどのトラブルも起きやすくなると言われます。
幼児期の愛着形成の相手は主に母親ですが、父親でも祖父母でも良いのです。子供が愛し愛され、十分に満足して安心感が得られているか、もう一度家族の関係を見直してみましょう。もし、子供との関わりが少ない、愛情表現が足りないと思ったら、今からでも遅くはありません。子供と信頼関係を築けるように努めましょう。
子供のSOSサイン
2〜3歳まではまだ言葉の表現が難しく、自分の気持ちをうまく伝える手段を持っていません。また、5〜6歳になって会話が達者になっても、子供は自分が無理をしていることに気付かないことがあります。ストレスがかかる生活が日常になっていて、それを当たり前と思い込んでいることも多いのです。
親は、子供が不満や怒りを表現しなくても、子供の様子をよく見て「何か変だ」と気付く必要があります。
以下に、子供が出すSOSサインの例を挙げます。
- いつもより落ち着きがない
- 指しゃぶりしている
- 赤ちゃん返りした
- 連続的なまばたきやチック症がでる
- 吃音がでるようになった
- かんしゃくを起す
- 元気がない。いつもぐったりしている
- 声をかけても反応しない
- 食欲がない
- 夜眠れない。朝起きられない
- 腹痛や下痢を繰り返す
- 自分の髪の毛を抜く
上記のような症状が心配だからと、周囲の大人まで不安がったり大げさな言動を取ると、更に子供の不安やストレスを助長してしまいかねません。そこは気持ちを落ち着けて、笑顔で「大丈夫!」と言ってあげたいところです。
軽いストレスなら、抱きしめてあげたり、親子で楽しい遊びの時間を意識して作るようにすれば自然と解消されることが多いです。
症状が重い場合は、根本から生活環境や家族関係を見直すことも考えて下さい。家族だけで抱え込まず、専門機関へ相談することも必要です。
家庭でできる対処法
生活習慣の乱れがストレスを助長していることがあります。まず、基本となる生活習慣を身に着けるように努力しましょう。「早寝・早起き・朝ごはん」が基本です。
その上で、親子で一緒に楽しめるちょっとした運動を生活に取り入れましょう。ボールを投げて遊んだり、膨らませた風船を親子でポンポン叩いて遊んだり、タオルを引っ張り合っこするのもいいですね。
布団の上でゴロゴロ転がったり、親子でストレッチしたりお互いにマッサージしたりするのもおすすめです。子供が好きな曲に合わせて親子でダンスしたり、一緒にカラオケに行ったり、親子で楽しめるものを何か探してやってみましょう。
【参考文献】
※熊本日日新聞総合版平成28年11月10日「こころノート “サイン”気づきたい」
※子育て情報誌くまにちキャロット2015.Vol.94「見逃さないで!子どものSOS」