クリスマスが近づくと街はイルミネーションで美しく飾られ、子供たちはプレゼントを心待ちにしてワクワクそわそわ、華やいだ気分が続きます。
今回は、そんなクリスマスの時期に是非読んでほしい、プレゼントにおすすめの絵本をご紹介します。

ぐりとぐらのおきゃくさま(なかがわりえこ 著、やまわきゆりこ 絵)

ぐりとぐらのおきゃくさま [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集 (1))

大人気の「ぐりとぐら」シリーズの1冊です。
ぐりとぐらの家に、ちょっと変わったお客様がやってきます。勝手に家の中に入って、美味しいケーキを焼いて「クリスマス おめでとう」「では、よい おとしを!」と言って去っていくこのおじいさん、最後まで名乗ることはありません。でも、このおじいさんが誰なのか、たくさんのヒントが絵本の中で描かれています。きっと、早い段階で気付くお子さんもいるでしょう。ちょっといたずらっぽい仕掛けの楽しい絵本です。
みんなで集まってクリスマスケーキを食べる幸せな雰囲気も、「ぐりとぐら」シリーズらしく素敵です。

子うさぎましろのお話(佐々木たづ 文、三好碩也 絵)

子うさぎましろのお話 (おはなし名作絵本 3)

40年以上世代を超えて愛される絵本です。読むと心が洗われるような気持ちになり、長く印象に残る美しい物語です。
子うさぎ「ましろ」が犯してしまう罪は、小さな子供だったら珍しくない悪事かもしれません。実際、この「ましろ」と同じようなことをして、罪悪感に悩まされた子供時代の記憶がある方も多いでしょう。ちょっとしたことですが、悪いことをしたのだと自覚すること、改心することの大切さをこの絵本は伝えています。更に、人のために尽くすこと、与えることの喜びを自然な流れで描いていて、決して教訓的な内容ではありません。
子育てにあり方についても考えさせられる絵本です。

さむがりやのサンタ(レイモンド・ブリッグズ 作、すがはら ひろくに 訳)

さむがりやのサンタ (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

みんながイメージしているサンタクロースとは全然違うけれど、愛さずにはいられないのがこの絵本のサンタです。
ここに登場するサンタは、イギリスにいる普通の、一人暮らしのおじいちゃんという印象です。ブツブツ文句を言いながらも、しっかりサンタクロースの仕事を勤める姿に「お勤めご苦労様!」と声をかけたくなります。仕事を頑張っているお父さんも、このサンタに共感できそうです。
イギリスらしい情景も楽しんで下さい。

サンタさんへ 12のプレゼント(マウリ=クンナス 作、いながき みはる 訳)

サンタさんへ12のプレゼント!

クリスマスといえば、サンタクロースからプレゼントをもらえるのを楽しみにする子供がほとんどでしょう。でも小人のぼうやビッレは逆です。サンタさんに12日間毎日、何かをプレゼントしようと心に決めるのです。
ビッレは一生懸命ですが、実際には失敗ばかりでなかなか思ったようにいきません。でも、サンタさんはビッレの気持ちが嬉しいんですね。優しさに溢れた素敵な絵本です。
アニメのような楽しい絵が魅力です。絵の中からビッレを探して遊んだり、たくさんの登場人物が細部でやっていることに注目するとさらに楽しめます。

まどから おくりもの(五味太郎 作・絵、しかけ絵本 3)

まどから おくりもの (五味太郎・しかけ絵本(3))

ここに登場するサンタクロースは、なぜかヘリコプターらしきものでやってきて、煙突ではなく窓からポイポイとプレゼントを投げ込んでいきます。
そそっかしいサンタさんは、窓から誰のおうちか勝手に想像してプレゼントを決めるのですが、勘違いの連続です。
窓からのぞく絵から想像するものと、次のページで明らかになる事実が全く異なっていて、その仕掛けが大変楽しい絵本です。どこの部分が窓から見えていたのか、前のページに戻って確認したくなります。
作りが楽しいしかけ絵本です。

クリスマスってなあに?(ジョーン・G・ロビンソン 文・絵、こみや ゆう 訳)

クリスマスってなあに?

日本人の多くがクリスマスを祝う習慣を持っていますが、皆さんはクリスマスについてどの程度ご存じでしょう。子供たちにとって、クリスマスは「サンタクロースからプレゼントがもらえる日」という意味だけになっていませんか?
子供たちが意外と知らないクリスマスのことについて、優しく教えてくれるのがこちらの絵本です。イエス様の誕生からクリスマスの祝い方、その風習まで詳しく教えてくれます。3色刷りのイラストが色鮮やかで可愛らしいです。

ちいさなもみのき(マーガレット・ワイズ・ブラウン 作、バーバラ・クーニー 絵、かみじょう ゆみこ 訳)

ちいさなもみのき (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

バーバラ・クーニーの描く春の森、冬の森の情景は、見ていると動物たちの足音や小鳥たちのさえずりまで聞こえてきそうなほどリアルで、美しさに満ちています。
静かに、ゆっくりと展開していく物語が、自然の美しさの中で優しさと喜びを運んできます。
優しい思いやりに満ちた、温かな愛情を伝える絵本です。飾られたクリスマスツリーの鮮やかさが、いつまでも心に残ります。

よるくま クリスマスのまえのよる(酒井駒子 作)

よるくまクリスマスのまえのよる

「いい子にしていたら、きっとサンタさんが来てくれるよ」。――じゃあ、悪い子だったら?
親が思っている以上に、幼い子はこの言葉を重く受け取って、いろいろ心配しているのかもしれないと考えさせられる絵本です。
美しい絵と、流れるように次々と切り替わっていく場面情景に、夢のような気分を味わえる1冊です。優しい気持ちになれる、クリスマスにぴったりの絵本です。

へんしんプレゼント(あきやま ただし 作)

へんしんプレゼント (新しいえほん)

あきやまただしさんの「へんしん」シリーズの1冊です。
同じ言葉を繰り返しているうちに他の言葉に変わってしまうこと、ありますよね。言葉が変わる瞬間、思いがけない言葉に変わってびっくりしたり、新しい発見をしたり……。子供たちは言葉遊びが大好きです。今回は、サンタさんが言葉のマジックでふしぎなプレゼントの数々を贈ります。
3〜4歳から楽しめる絵本です。言葉に興味を持つきっかけになるといいですね。

やかまし村のクリスマス(アストリッド・リンドグレーン 作、イロン・ヴィークランド 絵、おざき よし 訳)

やかまし村のクリスマス (ポプラせかいの絵本)

リンドグレーンといえば、『長くつ下のピッピ』で有名です。
この絵本はリンドグレーンのやかまし村シリーズの中の1冊。雪が深く降り積もる北欧のクリスマスの様子を細やかに描きます。
元気いっぱいの子供たちがクリスマスにわくわくしながら、ビスケットを焼いたりクリスマスツリーの準備をしたり……。読むと、北欧の文化や風習にも親しむことができます。
小学校低学年以上向けです。この絵本を楽しむことができたら、リンドグレーンの文庫本にも挑戦してみましょう。

編集後記

サンタクロースやクリスマスプレゼントに関するお話はもちろん、実は子供たちがあまり知らない「クリスマス」について、具体的に祝い方や習慣について紹介する絵本もここに載せました。この機会に、クリスマスについて親子で学んでみるのも素敵なことですね。

ほっと心が安らぐ絵本や仕掛けが楽しい絵本、思わず笑ってしまう絵本など、様々な絵本を紹介しています。是非気に入った1冊を手に取ってみて下さい。

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