近年、「飛び込み出産」という言葉がニュースで聞かれるようになりました。「飛び込み出産」とは、定期的な妊婦健診を全く受けず、かかりつけ医を持たない妊婦が、産気づいて初めて医療機関を受診し出産することです。
飛び込み出産や、医師や助産師が関わらない自宅出産は母子ともに大変な危険を伴います。妊婦健診の必要性、妊娠期からの子育て支援について考えます。
妊婦健診の必要性
妊婦健診では体重測定・尿検査・血液検査・超音波検査などをして母子の健康状態を定期的に確認します。妊娠を疑ったら、早めに診察を受けましょう。子宮外妊娠や流産の恐れもあるので、早めに把握しておくことが大切です。
健診によって、貧血かどうか、糖尿病のリスク、その他様々な感染症に感染していないか調べることができます。妊婦が感染している場合は、赤ちゃんに感染するのを防ぐために、出産時に処置が必要になります。
妊婦の体調管理のためにも、妊婦健診は是非必要です。妊娠高血症候群などの場合は、母親の命にかかわる恐れもあります。早産の恐れがある場合は入院が必要になることもあります。
また、出産は安産とは限りません。飛び込み出産や自宅出産の場合、早産の割合が多くなります。逆子である場合もあります。難産でも薬の投与ができず、帝王切開もできません。子宮破裂や感染症の恐れ、赤ちゃんの喉に羊水が入るなどの様々なリスクがあり、赤ちゃんの死亡率が高まります。母親の命も危険にさらされます。
妊婦健診は、母子の異常を早期に発見し、対策を立てるためにも大切です。出産の経験があっても、毎回何が起こるか分からないのが出産です。侮らず、きちんと妊婦健診を受けましょう。
妊婦健診と出産費用
現在は初回の診察を除く14回分の健診費用を自治体から助成してもらえるようになったため、通常の妊婦健診を受けるならほとんど自己負担はありません。また、出産費用も「出産育児一時金」でほぼカバーできます。
ただし、無料で受けられる妊婦健診の検査項目や上限額などは自治体によって異なるので注意が必要です。また、受診する病院によっても健診や出産費用は変わってきます。
特にトラブルや異常もなく通常の出産をするなら、自己負担は妊婦健診代と出産・入院費トータルで2〜3万円程度で済むことが多いようです。場合によっては完全にカバーできて、収支がプラスになることもあります。
妊娠・出産しても、トラブルがなければほぼ費用はかからないことを知っておきましょう。
困ったときは相談しよう
妊婦が孤立し、一人で悩みを抱え込むことがないようにしなければなりません。
未婚で妊娠した、夫が失業中、パートナーが不在、家族の協力が得られない、経済的に育てられない……。様々な悩みを解決できないまま、出産に至ることがないように、妊娠中から支援が求められます。
行政によっては妊娠中から妊婦と面談し、必要な支援に繋げる動きもあります。
低所得者向けに「助産制度」があり、出産後も母子支援施設に入居できることもあります。自力で育てられない場合は里親による養育という選択もあります。
いずれも出産間近や出産後ではなく、妊娠が分かった時点で早めに相談し、対策を取りましょう。一人で悩みを抱え込まないことが大切です。
【参考文献・参考サイト】
・熊本日日新聞平成26年10月16日・17日総合版「救おう孤立する妊婦 上・下」
・「飛び込み出産」
・妊婦健診はなぜ必要?飛び込み出産が危険なわけ
・妊婦健診の女性で14回分の妊婦健診が無料に