発達障害の子供が落ち着いて暮らすためには、家族による理解と支援が必要です。しかし、サポートを求められる親が育児ストレスで疲れて対応できなかったり、発達障害ではないきょうだいへの負担が著しく大きくなったりしては、問題の改善には繋がりません。
今回は、発達障害児を支える家族に必要なケアとサポートについてまとめます。
家族全体で協力して、家庭環境を整える
発達障害の子がいる家庭では、母親、父親、兄弟姉妹など、家族全員が発達障害の特性を理解し、それに合わせて接し方などを調整する必要があります。そのためには、家族間のコミュニケーションが円滑に行われることが大切です。
しかし、家族がうつ病などにかかっていると子供に十分な対応をすることが難しくなります。親やきょうだいにも発達障害があって、一貫した対応が取れない場合もあります。また、虐待など育て方に問題がある場合には、家族関係の見直しも必要になります。
家族は互いに影響し合う関係性を持っていることを意識しましょう。母親が適切に対応していても、父親やきょうだいの接し方に問題があれば、子供の発達障害の状態は改善が難しくなります。必要な場合は、親やきょうだいも発達相談やカウンセリングを受けましょう。家族関係を改善することが、発達障害の子の症状改善にも繋がります。
発達障害がないきょうだいにも配慮を
発達障害の子にきょうだいがいて、その子が健常児だという場合、親が子供たちに慎重に配慮しないと、家族関係のバランスを崩してしまうことがあります。よくあることが、健常児のきょうだいを大人扱いして負担をかけすぎることです。サポートを強く頼んだり、一方的に健常児のきょうだいばかり我慢させてはいけません。健常児も同様に子供で、親の愛情と支えを必要としているのです。
「サポートする子」と「サポートされる子」にきょうだいが分かれるのは、良い関係とは言えません。きょうだいそれぞれに役割を与えて、発達障害の子にも、できることは自分でやらせましょう。
頑張りすぎない子育て
発達障害の子供には脳機能のかたよりがあり、考え方や感じ方などが大多数の人とは異なり、独特の言動をします。そのために子供の言動が理解できず、ストレスを抱え込むお母さんも少なくありません。
お母さんとお父さんで子育てに対する意見もすれ違いやすく、子育ての悩みが深くなりがちです。思わず子供を叱ってしまって自分自身を責めてしまう経験も多いでしょう。こういったことは、発達障害の子供の特性を知り、接し方を見直すことで改善されていきます。
しかし、子供のサポートに気を遣い、努力や工夫の毎日で、サポートする側が疲れてしまうこともあります。うまく対応できず、自己嫌悪になったり、自信喪失してストレスを抱え込むこともあるでしょう。この状況で無理して頑張りすぎると、うつになってサポートどころではなくなってしまいます。
「疲れているな」と思ったら、意識して休憩の時間を作るようにしましょう。ちょっと外出して一人でゆったり過ごす時間を取るなど、気分転換の時間を作り、自分を労わるようにして下さい。
一人で問題を抱え込まず、相談窓口を活用しましょう。役所の福祉窓口で、地域の発達障害関連の相談窓口を一通り教えてもらうと良いでしょう。発達障害者支援センターや、家族会でもサポート情報を得ることができます。
【参考文献】
※『発達障害の親子ケア』宮尾益和[監修]、講談社、2015年
※『もしかして、うちの子、発達障害かも!?』岡田俊、PHP研究所、2009年
※『子どもの発達障害と情緒障害』杉山登志郎[監修]、講談社、2009年