近年、日本でも虫歯予防にフッ素を取り入れようという動きが盛んです。
子供の歯の定期健診でフッ素塗布をすすめられることもありますし、幼稚園や小学校でフッ化物洗口を実施するところもあります。
今回は、フッ素による虫歯予防について紹介します。
歯が溶ける原因は2つ
歯が溶ける原因は、虫歯菌が作る酸と、酸性度の高い食品や飲料です。
口の中に砂糖やでんぷんが入ってくると、虫歯菌が酸を作り出し、歯の表面をだんだん溶かします。コーラやミカン、イチゴなど酸性度の高い飲料や食品でも歯が溶けます。この際歯を構成しているカルシウムやリン酸などのミネラルが歯から抜け出すことを「脱灰」といいます。
食事によって「脱灰」した歯は、その後、口の中を中性に保とうとする唾液の働きによって、溶け出したミネラルが歯に戻り、修復されます。これを「再石灰化」と呼びます。口の中では、食事の度に「脱灰」と「再石灰化」が繰り返されています。
つまり、頻繁に間食したりだらだらソーダ飲料を飲んでいると口の中が酸性に傾き、歯が溶けやすくなります。また、唾液があまり分泌されず、働きが弱いと虫歯になりやすくなります。
上手なフッ素ケアとは?
フッ素は、歯の「再石灰化」を促進し、歯を強くし、虫歯の原因菌を抑制する効果があります。虫歯予防の強い味方です。
フッ素ケアは自宅で行うものと、歯科で定期健診を受ける際などに行うフッ素塗布があります。フッ素塗布は一般的に年に3回ほど、継続して行うことが良いとされています。
市販の歯磨き粉にはフッ素が入ったものが多いですが、うがいをすると成分がほとんど洗い流されてしまいます。フッ素の効果を期待するなら、歯磨き後のうがいは少量の水で1回に留めましょう。
近年はフッ化物洗口剤やフッ素入りジェルなど、様々なタイプが発売されています。ドラックストアや歯科医院で相談して、子供に合うものを選びましょう。
これらのフッ素ケア商品は、子供が寝る直前に使うのがより効果的です。就寝中は口の中の細菌が1日のうちで最も増える時間帯です。就寝中の歯にフッ素がとどまることが虫歯予防に繋がります。
自宅でのケアと、定期的な歯科健診でのフッ素塗布で、歯を強く、健康に保ちましょう。
特に生え始めの歯は弱く、虫歯になりやすいので、より細やかなケアが必要です。
唾液の分泌を促すために
夏休みや春休みなど、長期休暇中は、通園・通学中に比べて子供の間食が増える傾向があります。夜は必ず歯を磨くとしても、朝や昼、おやつの後などきっちり歯を磨きたがらない子もいるでしょう。
その場合は、食べた後にキシリトールガムやシュガーレスガムを噛むと唾液がたくさん出ます。唾液がたくさん出ると、食事で酸性になった口の中が中性になり、口の中の汚れを洗い流してくれる効果があります。
キシリトールは酸を作る材料になりにくく、虫歯菌の活動を弱める働きもあるため、再石灰化を促進します。また、フッ素を配合したガムがある歯科もあるそうです。
虫歯予防に関して思い悩むことがあったら、かかりつけの歯科医で相談してみましょう。