にんじん、玉ねぎ、きゅうり、ピーマン、ほうれん草……。
子供が野菜をなかなか食べてくれないと頭を悩ませている保護者の方も多いでしょう。
今回は、食育を通じて野菜嫌いを克服する試みをご紹介します。
野菜に興味を持とう
調理済みの料理を食卓に出すだけでなく、子供が野菜そのものに触れる機会を作りましょう。親子で一緒に料理をするのも食育です。1歳からでも簡単なお手伝いはできます。例えばそら豆をむく。キャベツやレタスをはがしたり、ちぎったりする。玉ねぎをむく……。とうもろこしの皮をむくのも、小さい子供には楽しい体験です。手で触れる野菜の感触、匂いを楽しみましょう。
野菜を切って、野菜の中身がどうなっているのか、目で確かめるのも面白い経験です。かぼちゃ、きゅうり、ナス、れんこんなどを切って、断面を子供に見せてみましょう。表面と中身の色が違っていたり、種がたくさん入っていたり、穴が開いていたり……。初めて見る子供はびっくりして歓声を上げます。れんこんでスタンプ遊びをするのもいいですね。
まず、日常で食卓に出てくる野菜について、子供に興味を持ってもらいましょう。時間を見つけて料理のお手伝いをしてもらうと、子供も自分が食べるものに興味を持ってくれるようになります。「玉ねぎの皮、私がむいたんだよ」「にんじんを切ったのは僕だよ」と得意げに話してくれる日が来るかもしれません。将来、自分の健康のためにも、簡単な料理くらいはできるように教えてあげましょう。
「農」の体験をしよう
自分の家に畑があるような環境なら、野菜がどのように育つか自然に知ることになりますが、田畑と触れ合う機会が少ない子供も現在は多くなっています。野菜や果物の旬を知らない子供も増えています。
お手伝いで野菜に興味を持ったら、是非「農」の体験もさせてあげましょう。
いちご狩りや芋掘り、栗拾いなどに参加する機会があったら参加してみましょう。小学校や中学校で田植えや稲刈り体験ができるところもあります。
野菜や穀物をどのように育てて、収穫に至り、食卓になる並ぶのか、理解するのは大切なことです。
なかなか体験する機会がないなら、ミニトマトなどをプランターで育てるのも食育としておすすめです。食べるものを育て、収穫する喜びを経験させてあげましょう。
楽しく食べる工夫をしよう
近年、子供の好き嫌いが目立つのは、手軽に美味しい食べ物や飲み物が手に入るからだと言われています。ちょっとお腹が空いたらすぐに何かを食べる、子供が好きな食べ物やお菓子がすぐに手近にある環境が、子供の好き嫌いを助長しているのです。
好き嫌いの多い子供には「空腹」を経験させましょう。いっぱい外遊びをして、お腹がペコペコ、のどがカラカラになってから食べさせるようにすると、多少は苦手な食べ物でも美味しく感じられるようになります。
野菜嫌いの子供が、幼稚園に通い始めてみんなと一緒に給食を食べ始めると、急に野菜を食べられるようになることがあります。午前中友達といっぱい遊んでお腹がペコペコになったところで、友達と一緒に食べる楽しさが効果的に働いたのでしょう。「○○君が食べるなら僕も!」という意識も働いたかもしれません。
子供の「食べたい」という意欲を大切にし、楽しい食卓を目指しましょう。
【参考文献】
※『子どもと楽しむ食育あそびbest34&メニュー』黎明書房、2005年
※『栄養士&管理栄養士のための骨太な食育』フットワーク出版株式会社、2005年