アタマジラミの流行が全国的に問題になっています。主に子供を中心に感染が広がり、相談件数も年々増え続けています。アタマジラミとはどういったものなのか、感染予防や駆除の方法についてまとめました。

アタマジラミとは?

アタマジラミは体長2〜4ミリで、卵は1ミリ前後で乳白色をしています。主に子供に寄生して血を吸い、強いかゆみがあるのが特徴です。感染すると皮膚炎になったり、かきむしって細菌感染し、「おでき」や「とびひ」になることも多いので注意が必要です。

アタマジラミは2〜3週間で成虫になり、1日に5〜6個の卵を産むので、あっという間に増えてしまい、気付いたときにはシラミだらけということがよくあります。
夏、プール前の検査で発見されることが多いですが、特に夏に多く発生しているわけではなく、1年を通して発生しています。不衛生だから発生するわけではないので、誤解しないようにしましょう。

近年、国立感染症研究所昆虫医科学部の調べで、唯一の特効薬である「スミスリン」に抵抗力を持ったアタマジラミが全体の10%まで増加していることが判明しています。

原因と予防

アタマジラミは髪の毛の接触によってうつるので、子供たちが頭を寄せて遊ぶ機会が多い幼稚園、保育園、小学校といった集団の場でうつることがほとんどです。手が触れるくらいではうつらず、また、プールの水を介してはうつりません。

感染するのは、頭を触れ合う遊びをしたり、集団でお昼寝したりするときです。また、髪の毛に触れた物を介してうつることもあります。帽子、くし、タオル、枕、シーツ、ベッド、体育マットなど、感染者の髪に触れたものに髪や頭が触れると感染してしまいます。感染を防ぐには、これらの物の共用は避けましょう。共同のロッカーや脱衣カゴでうつることもありますので、衛生対策が大切になります。

子供がアタマジラミに感染した場合、家族にうつらないように予防が大切になります。大切なのは、寝具を清潔にすることです。枕カバーやシーツはこまめに洗濯しましょう。アタマジラミは熱に弱いので、洗濯前に60度以上のお湯に5分以上つけると、成虫、幼虫、卵まですべて死んでしまいます。更にアイロンをかければ完全に駆除できます。

アタマジラミは髪から落ちても2日くらい生きていることがあります。2次発生を防ぐために、毎日掃除機をかけましょう。

こまめに子供の髪や頭皮をチェックして、異常がないか確かめましょう。アタマジラミが卵を産み付けるのは、耳の後ろ側や襟足、髪の根元に近いところが多いです。この部分は念入りにチェックしましょう。卵は乳白色〜黄褐色で0.5ミリ〜1ミリほどで光沢があります。細かくて小さいので見つけるのが大変ですが、白いブツブツしたものがついていたら要注意です。卵の場合、しっかり産みつけられているので、指でつまんで引っ張っても簡単には取れません。判断の材料にしましょう。

駆除の方法

日本ではアタマジラミの駆除の際、「スミスリン」という医薬品のシャンプーを使うのが一般的です。注意したいのは、この薬はアタマジラミの幼虫や成虫には効きますが、卵には効果がないということです。そのため、3日に1回、3〜4回繰り返して使用し、その期間使い続けることが大切です。通常、2週間で退治できます。

しかし、駆除剤が効かないタイプのアタマジラミだったり、アレルギー体質や皮膚が弱いためにスミスリンが使えない方もいます。この場合はアタマジラミを駆除する専用の櫛を使って髪を根元からすきます。1日2回、1ヵ月は続けましょう。毎日洗髪し、卵が櫛で取れないときは卵のついている髪の毛を1本ずつハサミで切りましょう。大変な作業ですが、根気よく続けるしかありません。

子供が嫌がらない程度に髪を短く切ると、駆除が楽になります。アタマジラミは髪の毛がなかったら生息できません。髪をカットすることで、生息場所を狭くすることができます。短い髪は手入れもしやすく、駆除剤のシャンプーやパウダーの薬の効き目も良くなります。

【参考サイト】
アタマジラミ、シラミ救急箱・シラミバスター
※熊本日日新聞総合版平成27年8月27日「アタマジラミ 感染広がる」

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