はしかと風疹は時々流行がニュースになる病気です。子供も大人も感染し、重症化するケースがあることから、予防接種で発症を防ぐことが求められています。
流行する原因と、予防のためのワクチンについて情報をまとめます。
はしかと風疹
はしかは高熱や発疹などの症状が特徴です。原因の麻疹ウイルスは空気感染し、感染力が非常に強いです。先進国でも患者の千人に1人程度が肺炎や脳炎で死亡します。特別な治療法はなく、2回のワクチン接種による予防が標準的な対策となっています。妊娠中に「はしか」にかかると、流産や早産を引き起こす可能性があり、大人への予防接種が呼び掛けられるようになりました。
風疹は風疹ウイルスの飛沫感染によって起こります。風邪症状、発疹、発熱が特徴です。脳炎になる患者は6000人に1人と言われています。大人になってからかかると重症化するので注意が必要です。
風疹は妊娠初期にかかると赤ちゃんに心臓病、白内障、聴力障害などの障害が残る可能性が高くなります。自分自身はもちろん、周囲の人への感染源とならないために、大人への予防接種が呼び掛けられています。
病気の流行とMR(はしかと風疹の混合)ワクチン
日本は「はしか」の国内からの排除を目標に対策を行ってきました。2006年、それまで1回だった子供への定期予防接種が1歳と小学校入学前1年間の2回になりました。
しかし、2007年〜2008年、10〜20代を中心とする大流行が発生し、更に定期予防接種の対象を広げます。2013年3月まで5年間、中学1年と高校3年に当たる年齢の子供を定期接種の対象としました。その結果、2008年には1万人を超えていた患者数が激減します。2015年3月、世界保健機関(WHO)は日本がはしかの「排除」を達成したと認定しました。日本の土着ウイルスによる感染が3年間なかったからです。
しかし「排除」宣言後まもなくの翌年2016年夏、関西ではしかが集団発生してしまいます。感染したのは20〜30代の患者が多く、この年代の人達が予防接種を受けていないか、あるいは一度受けたが免疫が持続していないために発症したと考えられています。
風疹に関しては、2013年国内で流行し、特に結婚後赤ちゃんを望む夫婦に予防接種が強くすすめられたのは記憶に新しいです。
MRワクチンの接種は早めに
MRワクチンの生産量は「定期接種」に合わせて調整されています。しかし、はしかや風疹が流行すると、大人による「任意接種」が急増し、本来予防接種を受ける予定の子供の定期接種に影響が出る可能性があります。近年、病気流行の影響もあり、大人の任意接種は少なくとも年間10万〜30万人はあるとみられています。
事実、熊本市では2016年12月、MRワクチンが不足して接種待ちが500人以上になったことがあります。病気の流行、地震による納入停止など、いつ何があるか予測できません。子供の定期接種の期限は余裕を持って、早め早めにワクチン接種を済ませるように心がけましょう。
【参考文献】
※熊本日日新聞総合版平成27年5月1日 日本、はしか「排除」達成
※くまにちあれんじ 平成29年1月14日 「はしか」と予防接種
※熊本日日新聞総合版平成29年2月9日 MRワクチン届かない