かもめのジョナサンにとって重要なのは、「食べることよりも飛ぶこと」。異端と見なされたジョナサンは群れから追放されてしまいます。
追放されたジョナサンはより高く、速く飛ぶことを目指して孤独に訓練を続けていきます。「退屈」と「恐怖」と「怒り」が彼の心から消え失せたのち、彼は短いカモメの一生とは比べものにならない、実に長くて素晴らしい生涯を送ることになります。
ジョナサンは飛ぶことの歓びを追求するうちに、自由と愛することの意味を知ります。哲学的で、夢と幻想にあふれた寓話です。
無限の可能性を信じ、更なる高みへと昇り続けるジョナサンの姿に勇気づけられたり、爽快な気持ちになる方もあれば、また別の見方をする方もあるかもしれません。
ラッセル・マンソンの写真も、この小説に抜群の効果を与えています。
※『かもめのジョナサン』リチャード・バッグ、五木寛之訳、写真=ラッセル・マンソン、新潮文庫、昭和52年