大人向け絵本の紹介3冊目です。物語は、クマの仲良しの小鳥が突然死んでしまうところから始まります。
絵は主に黒一色のモノトーンで、大切な友人を亡くしたクマの深い哀しみが描かれます。そんな中、楽しかった思い出で使われるピンク色が鮮やかです。
大切な人を亡くした哀しみと、そこから立ち上がって新たに歩き出すまでが静かな文体で語られます。酒井駒子さんの柔らかい絵が読む人の心に優しく響きます。湯本香樹実さんの文章も思いやりに溢れています。
大切な人は、亡くなった後もずっと心の中で生き続けます。無理に忘れる必要はありません。大事に抱えたまま、生きていけば良いのです。
大人にこそ読んで欲しい一冊です。
※『くまとやまねこ』(湯本香樹実 著、酒井駒子 イラスト)、河出書房新社、2008年