生まれたばかりの赤ちゃんは、およそ3000gくらいです。しかし、日本で生まれる赤ちゃんの平均体重は年々減っており、平成22年の厚生労働省の調査では男子2980g、女子2910gと世界的にも小さめです。
赤ちゃん全体の10人に1人が低出生体重児として生まれており、その数は年々増えています。
今回は、低出生体重児が増えている原因と、低出生体重児の抱えるリスクについて紹介します。
低出生体重児とは?赤ちゃんが小さくなる原因
以前は2500g以下で生まれた赤ちゃんのことを「未熟児」と呼んでいた時期がありましたが、小さく生まれた赤ちゃんでも身体の機能に問題がなかったり、逆に2500gを超える赤ちゃんでも身体の機能が未熟であったりすることがあるため、現在では出生体重とは別に在胎週数による分類も行われるようになりました。
出生時の体重による分類は次の通りです。
- 巨大児
- 4000g以上
- 正常体重
- 2500g〜4000g未満
- 低出生体重児
- 2500g未満
- 極低出生体重児
- 1500g未満
- 超低出生体重児
- 1000g未満
また、在胎週数による分類は次のようになります。
- 早産児
- 在胎37週未満
- 正期産児
- 在胎37〜42週未満
- 過期産児
- 在胎42週以上
低出生体重児になる原因は2つあります。出産予定日より早く出産した場合と、お腹の中で赤ちゃんがうまく育たなかった場合です。
原因として挙げられるのが、妊娠高血圧症候群、妊娠中の喫煙や飲酒、ストレス、過度なダイエットなどです。また歯周病も、胎盤を通して赤ちゃんに歯周病菌が届いて成長を妨げてしまうと言われています。
加えて日本で低出生体重児が増加している要因は、不妊治療の影響で双子や三つ子の赤ちゃんが増えていること、新生児医療の進歩により、昔は救えなかった超低出生体重児の赤ちゃんの命を救えるようになったことが大きく影響しています。
どんなリスクがある?
低出生体重児にはどんなリスクがあるのでしょうか?
37週以降の生産期に入ってから生まれた場合、身体の機能はほぼ完成しているので、その後の成長には問題ないことが多いです。また、2000g前後の体重があれば大きな心配はないとされています。
しかし、心配なのは37週未満に生まれた早産児で、生まれた時期が早ければ早いほど体がの機能が未熟です。免疫力が弱く、黄疸が出やすい、重度の感性症や合併症を起こしやすいなどのリスクがあります。自力での体温調節が難しく、ミルクを飲む力が弱い、無呼吸発作が起こりやすいなどの危険があるため、新生児集中治療室や未熟児室でのサポートが必要になることがあります。
1000g未満の超低出生体重児の場合、目の障害や脳性麻痺、発達の遅れなどがある場合もありますが、障害もなく元気に育つ子も多いです。現在日本では、500g以下で生まれた赤ちゃんの50%が助かるといいます。世界的に見ても、日本は低出生体重児の発達支援や治療の先進国です。
サポートを得ながら、成長を見守っていこう
赤ちゃんが2000g以下で生まれて入院処置が必要な場合、未熟児療育医療制度の利用ができます。指定した療育医療機関における入院費と治療費の補助を受けることができますので、自治体に確認してみましょう。
様々なリスクがある低出生体重児ですが、乳児の段階では病気や発達の状態を的確に把握するのは難しいのが現実です。定期的に検診を受けて、慎重に経過を見守りましょう。特に超低出生体重児では失明や弱視などの視力障害リスクが高くなっていますので、問題がある場合は早めの治療やリハビリが大切です。
低出生体重児の成長は、平均に比べて体重が少ないまま成長しますが、3歳を過ぎると追いつき始め、6歳頃にはほとんどが、遅くとも9歳頃までに身長・体重・機能の発達とも追いつきます。ただし、成長には個人差が大きいですので、焦らずにゆっくり見守っていきましょう。
地域の保健所や病院などで低出生体重児の親子交流会などが行われています。子供の成長や発達が不安な方は、地域の子育て支援やサポート情報を調べて、参加してみてはいかがでしょうか。