多くの家屋が倒壊し、道路にも亀裂が入る中、避難する際に気を付けるべきことは何でしょうか?
そして、長期化する避難所生活や車中泊生活で、体調を崩す人が増えています。避難所生活でも、できるだけ感染予防と体調管理に気を配ることが大切です。
避難の際の注意点
地震が起きたら、まずは安全確保です。
倒れてくる本棚やタンスから離れて、頑丈なテーブルの下などに隠れて大きな揺れが収まるのを待ちましょう。ドアや窓が開かなくなることがあるので、一度開けたら中にいる人すべての避難が終わるまで戸を閉めないようにします。
家屋の倒壊の恐れがあります。
速やかに屋外に出ましょう。ただ、慌てて出るとガラスの破片を踏んだり、壊れた家具でつまづいたりして危険です。近くにスリッパがあれば履く。なければ懐中電灯などで足元を十分確認して歩いてください。
避難するときは丈夫な運動靴が良いです。可能ならガスの元栓を閉め、ブレーカーを下して、鍵をかけて避難しましょう。残念ながら熊本では地震後、空き巣被害が多発しています。
4月16日の本震は深夜に起きました。
停電して外は真っ暗。道路の信号も消えていました。夜が明けて分かったことですが、道路には家の瓦が落ちたり、ブロック塀が倒れたり、落石があったりしました。橋にヒビが入ったり、地割れで通れない状況になっているところもありました。
避難する際は建物から離れ、ブロック塀には近づかないことが大切です。熊本地震では14日夜の前震発生以降、地震が830回を超えています(4月23日時点)。震度4や5も珍しくなく、本震で耐えていた建物が倒壊したり、新たな落石があったりもしました。
本当は余震が収まるまで自宅には戻るべきではありませんが、どうしても必要なものを取りに帰る場合は、絶対に1人で行動しないことです。必ず2人以上で行動し、屋内に入る場合は玄関を開けたまま、靴を履いたまま入りましょう。地震が来たときにすぐに外に飛び出せるようにです。
1人が屋内に入っているときは、別の1人が屋外で待機します。万一何かあったときに助けを呼べるようにしておくことが大切です。笛などがあれば、是非携帯しましょう。
エコノミークラス症候群とノロウイルス
熊本地震では車中泊をする人が多く、早い段階からエコノミークラス症候群が懸念されていました。救急搬送された方が多数、亡くなった方もいます。予防のためには狭い場所で長時間同じ姿勢を取らないこと、こまめな水分補給が大切です。散歩したり、意識して運動しましょう。膝の曲げ伸ばし、ふくらはぎをマッサージするなどすると予防効果があります。
また、南阿蘇村では避難所でノロウイルスに25人が感染(前震から10日目時点)、県内の避難所ではインフルエンザの報告もあります。断水などで水が不足する中、避難所での感染症予防は大きな課題です。手洗いが十分できないならウエットティッシュでふく、おにぎりを直接手で握って食べない、マスクをするなど、今手元にあるものを利用して可能な限り衛生面に気を配りましょう。
情報の収集と発信
熊本地震では、携帯電話同士の回線が通じにくくなるなど、通信混乱が起きました。安否確認が半日から数日できなかった人もいます。そんな中活躍したのがフェイスブックとLINE、SNS、ツイッターです。
避難者自ら「物資が足りない」と発信することで、書き込みが6万人に拡散し、いち早く全国から物資が届いた避難所もありました。給水や救援物資の配布場所の情報をネットで共有したり、漏水の場所確認にツイッターが役立ったことも印象的でした。
ただし、中には「動物園のライオンが逃げ出した」など、不安をあおるようなデマ情報も拡散しました。情報の真偽は慎重に確認する必要があります。
LINEやフェイスブックなどを利用していない人は、災害用伝言ダイヤル「171」やネット伝言板などを利用する方法もあります。あらかじめ震災が起きる前に、家族や友人で使い方を確認しておきましょう。
また、お住まいの地域の防災メールに登録しておくと、避難所、給水や食料の配布、ボランティアの炊き出しなどの場所と時間を知らせてくれるので非常に便利でした。空き巣被害や危険個所についても情報が得られます。
Amazon.co.jpでは、熊本地震で被害を受けた地域の避難所の「ほしい物リスト」が公開されています。今、避難所が必要としているものを購入し、現地に直接配送して支援ができるというもので、画期的です。
その他、様々な形で支援の輪が広がっています。今回の地震では、ネットの力を実感しました。
参考文献
※熊本日日新聞平成28年4月18日「エコノミークラス症候群に注意」
※熊本日日新聞平成28年4月19日「善意をつなぐネットの力」
※Amazon.co.jp、熊本地震避難所の「ほしい物リスト」公開