いわさきちひろが描く淡い水彩画の子供達と町の景色が長田弘の詩と絶妙に調和した、心懐かしくなる詩画集です。
子供の頃お父さんがしてくれた、肩車。その時に見えた景色、その時の感覚を覚えていますか?作者は鮮明に覚えているそうです。
「わたしは巨人だ。ちっちゃな巨人だ」。誰よりも高いところにいて、自分にだけ見える景色。手をのばして、静けさを一かけらつかんだ。
「一人の感受性のかたちを決定的にするのは、大仰な出来事なんかじゃない」。作者はこう言います。ありふれた何でもない日々の出来事をどう感じ取ったかが重要なのだと。
この詩画集は、つい見落としがちな大切なことを、そっと教えてくれます。何度も読んでみたくなる一冊です。
※『肩車』長田弘(詩)、いわさきちひろ(絵)、講談社、2004年