ここ数年で珍しくなくなった災害の一つに水害が挙げられます。毎年、初夏から初秋にかけて、必ずと言っていいほど長雨による被害が報じられますし、局地的なゲリラ豪雨も含めると枚挙にいとまがありません。自動車保険とは直接関係がありませんが、地球温暖化というか、日本の熱帯化が進んでいるからではないかと考えることがあります。
ゲリラ豪雨は至る所で局地的に発生しますが、上空の積乱雲が溜め込んだ雨水を降らせればスッキリ晴れます。なので、あまり甚大な被害に発展することはありません。しかし、発達した積乱雲がどれだけ雨を降らせるか予測できませんから、もしものときのために覚えておきたい対処法があります。
冠水したらエンジンをかけてはいけない
渋滞中に突然のゲリラ豪雨。しかも、ものの10分で止むと思いきや弱まる気配すらありません。気づけば周辺の雨水が流れ込み、愛車が水に浸かってしまいました。自力で走行するのは不可能です。エンジンを切り、様子を見ることにします。「どうしよう」と怯えていると、やっと雨は止み、水も一気に引いていきました。さて、ここで絶対してはいけないことが、エンジンをかけてはいけないということです。もう一度言います。絶対にエンジンをかけないでください!
今回のケースは乗車中の被害ですが、もしかすると駐車中に冠水してしまうこともあり得ます。そこで誰でもやってしまうのが「動くかな?」とエンジンをかけることです。自動車は精密機器です。特に最新のモデルになると様々な電子回路が存在し、高機能である反面、デリケートでもあるのです。事実、エンジンをかけたことによる通電で愛車が故障してしまうことも珍しくはありません。こういった場合はすぐに保険会社のロードサービスか、愛車をメンテナンスに出している整備工場やディーラーに連絡しましょう。おそらく、エンジンをかけないようにという注意と、「どこまで水に浸かったか?」という確認があると思います。
自動車保険での補償
車両保険を契約していれば冠水被害は補償されます。ゲリラ豪雨や大雨だけでなく、台風での被害も同様です。よく「台風での損害は保険が出ないんだよね?」と聞かれますが、それは対物賠償保険と対人賠償保険のことです。これについては別の機会に触れたいと思います。車両保険は支払い対象ですから安心してください。
なお、補償される損害は、自動車が壊れてしまった場合だけでなく、汚損してしまった場合もです。実際にあったケースですと、各系統に損害はありませんでしたが、トランクに水が入り込みボウフラが繁殖していたというものがあります。また、ロードサービスや車両保険から搬送にかかる最寄り修理工場までの費用も補償されます。くどいようですが、無理に運転しようとせず、搬送してもらいましょう。エンジンをかけて壊れてしまったから保険が支払われないということではなく、せっかく大切に乗っている愛車が修理不可能になってしまっては悲しいですからね。
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<ライター:森村仁>