1996年「蛇を踏む」で芥川賞を受賞した川上弘美による短編集です。1冊に21篇も収録されていますので、ひとつひとつは短く、家事や仕事の合間、休憩時間に気軽に一話読めてしまいます。
登場する主人公は女性が多く、恋に悩んでいる人もいれば、息子がゲイになってしまったことを悔やんでいたり、特に何かを悩んでいる風でもない何気ない日常を過ごしていたり、様々です。時にはSF風の思いがけない展開になったり、信長の怨霊が出てきたりと、びっくりして笑ってしまうような話もあります。
何気ない暮らしや会話の中からハッと気づかされるような、人間の心理、内面を表現する力は流石です。
一話一話がギュッと充実した内容なので、贅沢な1冊です。
※『猫を拾いに』川上弘美、マガジンハウス、2013年