介護を受ける高齢者の症状は人それぞれですから、自立度に応じた介護や住環境整備の必要度も異なります。
症状と自立度によるレベル分け
介護を受ける高齢者は、症状と自立度により次の4つのレベルに分けられます。
屋外歩行レベル
まあまあ健康的な高齢者、または関節痛等の障害があってもほとんど不自由さを感じていない高齢者。自由に外出できるので、現状ではそれほど住環境の整備を必要としない。
屋内歩行レベル
ある程度の筋力低下のある虚弱な高齢者で、無理な運動負荷をかけられない状態。外出時には介助が必要。段差の解消や手すりの設置が必須。
車いすレベル
中等度の運動麻痺があるが車いすへ移乗できる。ポータブルトイレを使えば寝たきりを避けられる状態。
寝たきりレベル
重度の運動麻痺で運動制限があり、一日中寝たきりの生活が中心。すべてをベッドで行うため、褥瘡防止や家族の負担への考慮が必要。
在宅介護で検討・改善すべきこと
以上のレベルに応じ、住環境も次のように改善する必要があります。
外出しやすい玄関
手すりや式台を設置。
移動しやすい廊下
移動の妨げになるものを置かず、介助できるスペースを確保。
快適な居室
室温・湿度を調整できて眺望がいい環境に。
落ち着けるトイレ
室温調整を可能にし、ドアは引き戸か外開き。手すりつきの洋式便器にする。
安心して入れる浴室
出入口を大きくとり、段差や滑りやすさを解消。手すりや椅子の設置。リフトの導入。
昇降しやすい階段
手すりや滑り止め、足元灯の設置。階段昇降機の導入。
安全な台所
やけど予防対策。火元管理や調理のしやすさを追求。緊急通報システムの導入。
心身共に充実した環境を
在宅介護には、住居内を安全・快適にするだけでなく、地域社会に積極的に参加し、心身共に安心して暮らせる環境を作ることも大切です。