小さな子供は、よくけんかをします。兄弟姉妹がいる家庭なら「けんかは毎日!」というところも珍しくはないでしょう。口論したり叩いたり、泣いたり、大騒ぎのけんかに困ったものだと頭を悩ませている親御さんも多いことでしょう。

しかし、けんかは子供にとって、コミュニケーション能力を発達させる大切な体験です。親御さんはむやみに抑え込むことなく、けんかの後のフォローをしてあげましょう。

2歳児のけんか

2歳児は友達と一緒にいることを好みますが、まだ平行遊びの段階です。言葉でコミュニケーションを取ることもまだ難しいので、よくけんかになります。また、2歳児は相手のやっていることを自分でもやりたくなる頃なので、おもちゃの取り合いが起きやすい時期です。できれば遊び道具は同じ物を人数分用意してあげましょう。

外出先で同年代のお子さんとけんかになることも珍しくありません。しかし、トラブルも必要な経験です。けんかをマイナス体験にしないために、けんかの後のフォローをきちんとしてあげましょう。

1人で遊ぶより、やっぱり友達と一緒に遊ぶ方が楽しかったという「共感遊び」が体験できるようにしてあげたいですね。

幼児期のいじめっ子・いじめられっ子

幼児の頃のいじめっ子・いじめられっ子の関係は将来持続することはないので、心配はいりません。ただ、マイペースで攻撃的なタイプの子がいて、そういう子はすぐに相手をやっつけてしまいます。また、反抗せずにすぐにおもちゃを手放してしまうタイプの子もいて、こういう子は集中的におもちゃを取られたり、泣かされたりする傾向があります。

前者のタイプの子には、けんかの度に「駄目よ」「貸してって言うのよ」と根気強く教えてあげましょう。後者のタイプの子には、友達と遊ぶことが嫌いにならないようフォローしてあげましょう。後者のタイプの子は、成長すると世話好きでしっかり者になることが多いようです。

けんか上手になろう

けんか上手とは、上手に仲直りができて、うまく相互理解が図れるという意味です。けんかを通して相手のことをこれまで以上によく知るようになり、逆に仲良しになれたら素晴らしいことですね。

子供のけんかは心身の発達とともに「取っ組み合い」「けなし合い」「意地の張り合い」「口論」と進化するそうです。つまり、腕力→言葉→態度→論理と、だんだん高度になっていくのです。

「口論」は仕事で行われる会議やプレゼンにも繋がります。子供が発達段階に応じたけんかの経験を積むことは、将来生きるための力になるのです。

本当のけんか上手は、「相手の立場も守りながら、互いに得をする関係が築けるように話を運ぶ」のだそうです。相手を論破し、相手のプライドを傷つけるのは、けんか上手ではありません。相手の賛同を得られないばかりか、敵を作ることになります。

子供のけんかも悪いことばかりではありません。大きな怪我はしないように気を付けて、いっぱい元気なけんかを通して、たくさんのことを学ばせてあげましょう。

【参考サイト】
※『元気が出る子育ての本① 0〜3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す』汐見稔幸、主婦の友社、平成22年

※熊本日日新聞平成26年10月11日総合版「逆説の子育て 口論で磨く「生きる力」」

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