「溶連菌感染症」は、子供に多い喉の病気です。流行のピークは春から夏にかけて、そして寒くなるこれからの季節に2回目の発症のピークを迎えます。
保育園や幼稚園、学校などの集団の場で感染することが多く、合併症にも注意が必要な病気です。お子さんのためにも、病気に対する予備知識を得ておきましょう。
どんな病気?
溶連菌感染症とは、溶連菌という細菌の感染によって起こる感染症です。感染すると急に39℃前後の高熱と喉の痛みなどの症状が出ます。また、舌がイチゴのようにブツブツとして赤くなり、全身に赤く細かい発疹が出ます。高熱は2〜3日続き、熱が下がった後で発疹が出ていた部分の皮膚がパラパラとむけることがよくあります。
主にせきやくしゃみで感染し、5〜15歳の子供が多くかかります。以前はかかると死亡率が高く、法定伝染病に指定されていましたが、今では抗生物質による治療で完治するようになりました。
治療
発熱や喉の痛みなどの症状に気付いたら、小児科を受診しましょう。既に発疹やイチゴ状舌などの症状が出ていて溶連菌感染症が疑われる場合は、他の子供への感染を防ぐために事前に電話をしてから受診するようにします。
喉から検体を取る溶連菌検査を行うと、10分程度で結果が分かります。溶連菌感染症であれば、通常より長く抗生物質による治療が必要です。ほとんどの場合は2〜3日で熱が下がり、喉の痛みもなくなりますが、処方に従って10日間ぐらいは抗生物質を飲み続けて下さい。
溶連菌は、感染力・繁殖力が非常に強い細菌です。薬で症状が消えても、菌が体の中に残っていて、しばらくしてから再発したり、急性腎炎やリウマチ熱、アレルギー性紫斑病、敗血症などの合併症を起こすことがあります。再発や合併症を防ぐためにも、抗生物質は途中で止めることなく、決められた期間続けて服用することが大切です。
発症してから2〜3週間後に、合併症を起こしていないかどうか調べるために尿検査を行う場合があります。完全に治るまで、油断せずに医師の指示に従い、きっちり治療しましょう。
注意したいこと
溶連菌は感染力が強く、兄弟がかかると4人に一人は他の兄弟に感染するといいます。子供だけではなく、抵抗力の低下した大人や妊婦にもうつることがありますので注意が必要です。予防のためには本人や家族のうがいや手洗い、マスクの着用が有効です。
溶連菌感染症になると、喉の痛みが強いために食べたり飲んだりしづらくなります。食べ物は刺激物を避け、やわらかくてのど越しのいい、消化に良いものを準備してあげましょう。どうしても食べられないときは、水分補給にだけは気を付けましょう。少しずつ、何回にも分けて飲ませるように心がけます。
また、アトピー性皮膚炎のお子さんは溶連菌感染症を発症すると、病変部に溶連菌が入り込むことで重症化することがありますので、注意が必要です。爪は短く切り、肌をかいて傷つけることがないようにしましょう。