漆製品は生き物といわれるとおり、扱いさえよければ長年よい色つやを保っていてくれる反面、乱暴な扱いをすれば簡単に傷んでしまう、非常にデリケートな製品です。

漆塗りの重箱の洗い方としまい方

たとえば、お正月のおせち料理を味わった後の漆塗りの重箱を洗うという作業ひとつとっても、次のような手順で丁重に扱うことが不可欠です。

  1. 柔らかい布とぬるま湯でそっと洗って汚れを取る。
  2. そのままぬるま湯ですすぎ洗いをし、再び柔らかい布で湿気を十分拭き取る。
  3. よく乾かす。
  4. 和紙またはやわらかい布で重箱を包み、外箱に収める。

エアコンなどの高温と乾燥に注意!

しかし、実はこれで十分というわけではありません。

この重箱を、冬場エアコンの温度が吹きだまりやすいような高い位置に長期間保管していると、漆器の表面にヒビが入りやすくなり、翌年になってその一部が小さくはげ落ちることがあります。

たとえば、押入れの上の天袋や高所の戸棚など、家庭内の高温になる場所を収納の定位置にしてしまうと、あまりに乾燥して、漆の一部がパラパラとはげてきてしまうのです。

現代建築ならではの問題

昔の純木造の日本家屋は天井が高く、押入れの上部もそれほど高温になる場所ではなかったので、漆器類が天袋に収納保存されていても何事もなく、長年特に傷むこともなかったようですが、最近のマンション等の密閉性の高い家屋の場合は、こういう条件や状況が変わってきているので、うっかり気をゆるめてしまったばかりに気づけば手遅れ、ということは十分ありえます。

決して安くはない漆製品ですから、丁寧に扱って少しでもよい色つやを長持ちさせ、気持ちよく愛用していきたいものですね。

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