着替えやトイレトレーニング、食事のマナー……。幼児期は覚えることがいっぱいです。何度も教えているのになかなか上手にならないと、つい厳しく叱ってしまったりするかもしれません。
でも、赤ちゃんから幼児の時期は、生きて行くための心の土台、基礎を作る時期。いっぱい愛情を与えて、親子の信頼関係を築くのが最優先です。
いっぱい可愛がって、いっぱい甘えさせよう
幼児期に愛情をたくさんもらって、安心感を得ている子供は自立が早くなるといいます。親から大切にされることで「自分は大切な存在なんだ」という自己肯定感が育ち、自信を持って前進することができるんですね。逆に心が満たされず、愛情に飢えている子供はなかなか自立ができません。心の土台がぐらついていると自分に自信が持てず、不安ばかりが大きくなってしまいます。
幼児期はいっぱい可愛がって、いっぱい甘えさせましょう。抱っこしてほしいと言われたらいっぱい抱っこしてあげる、子供の話を聞く、遊んでほしいと言われたら短時間でも応えてあげる、怖がって泣いていたら「大丈夫!」と守ってあげる……。そんなことから親子の信頼関係が築かれていきます。
やってはいけないこと
幼児期に子供を不安にさせ、精神的な自立を遅らせる結果になる、やってはいけないことがあります。それは子供をほったらかしにすること、過干渉すること、子供の自尊心を傷つけることです。
親に無視されたり、ほったらかしにされた子供は、親の愛情を信じることができません。着替えや靴を履くのを自分でやりたいと思っている子供の意志を抑え込んで、何でも親がやってあげていては、子供は自分に自信が持てなくなってしまいます。また、子供の失敗を責めたり、兄弟や他の友達と比較して悪く言うと、子供の自尊心が傷つきます。
自分を信じ、相手を信じる心の土台をしっかり作るためにも、親は子供の気持ちを考えて言動に気を配りましょう。
しつけをスタートさせるのは、親子の信頼関係がしっかりできてから
普段から親の愛情を確信し、心が満たされている子供は、「これはやっては駄目だよ」という親の言葉をすんなり受け入れることができるようになります。親子の信頼関係がしっかりできている証拠です。
もちろん、2〜3歳の第一次反抗期はなんでも「イヤ!イヤ!」の大変な時期ですが、この時期を乗り越えれば落ち着きます。この時期の反抗と自己主張は成長のあらわれです。
社会的ルール(しつけ)を教えるのは親子の信頼関係がしっかりできてから始めましょう。焦らずとも、いずれは自分でできるようになると、見守る気持ちでありたいものです。
子育てはみんなで
子育ては母親だけでするものではありません。父親はもちろん、祖父母や保育士、保健師、学校の先生、お医者さんや近所の人びとなどなど……。子供の世界は成長とともにどんどん広がり、接する人々もどんどん増えていきます。
母親は育児の責任を一人で背負い込むことなく、頑張りすぎないようにしましょう。仕事などでなかなか子供にかまって上げられないときは、「ごめんね」よりも頑張ってくれて「ありがとう」の言葉を子供にかけましょう。その方が、マイナスの感情ではなくプラスの感情が芽生えます。
肩の力を抜いて、子供の成長を見守りましょう。
【参考文献】
『かわいがり子育て』佐々木正美、大和書房、2007年