私にはアレルギー体質の娘が2人いて、下の子はアトピーがずっと治らない状態で3歳を迎えました。赤ちゃんの頃から小児科、皮膚科、アレルギー科と色々受診しましたが、今思えば良い医師に巡り合っていなかったのだと思います。
アレルギーやアトピー性皮膚炎についてはまだ解明されていない部分が多く、日本アレルギー学会のアレルギー専門医もまだまだ少ないのが現状です。そんな中、信頼できる医師を見つけるにはどうすれば良いのでしょうか。
信頼できる医師とは?
アトピー性皮膚炎の治療において良い医師とは、治療方針をきちんと説明してくれる医師です。子供の皮膚を触って診察し、どれくらいの強さの薬をどのくらいの期間塗って、その後どのように治していくのか具体的に説明してくれる医師です。良い医師は、外用薬の塗り方や塗る量についてもしっかり説明してくれます。
これに対して、ほとんど説明もなく外用薬をポンと渡して「薬がなくなったらまた来て」という医師は信頼できません。アトピー性皮膚炎の治療に使われるステロイド外用薬は、だらだら長期間塗り続けて良い薬ではありません。きちんとした診察も受けず、悪化したらまた薬をもらうの繰り返しでは、いつまで経っても治療の目途が立たず、保護者の不安は増すばかりです。
ステロイド外用薬は現在アトピー治療において標準的な薬ですが、間違った情報が世間に溢れていて保護者の不安を大きくしています。だからこそ、信頼できる医師に診察を受けた上で、納得できるまで説明を受け、医師に指示された必要量を決められた塗り方で使用することが大切です。
TARC検査とステロイド外用薬
アトピー性皮膚炎の治療の一環として、TARC(タルク)検査というものがあります。これは、アトピー性皮膚炎の炎症の程度が、数値で分かる血液検査です。この検査で数値が基準値より高いと皮膚が痛んでいる状態だと判断できます。基準値は年齢によって異なります。
診察とこのTARC検査によって、医師は患者に塗るステロイド外用薬の強さと塗る期間を判断します。例えば重度のアトピー性皮膚炎だと診断されると、4週間、朝夕毎日ステロイド外用薬を塗ることになります。全身に湿疹がある場合、乳児の場合は小さじすりきり1杯分、3〜5歳の場合は小さじすり切り1杯半程度です。年齢が同じでも、塗る皮膚の面積によって量が変わります。具体的にいうと、大人の両手のひら分の面積に塗る量の目安は、大人の人差し指の先から第一関節までの量です。皮膚の表面を覆うようにべったりと塗ります。すり込んだり、薄く塗ると湿疹が悪化した肝心の部分に薬がつかないことがありますので、たっぷりのせるように塗りましょう。
この塗り方をしていると数日で随分湿疹はなくなりますが、見た目が綺麗になっても皮膚の内部にはまだ炎症が残っています。薬をやめるとすぐに再燃しますので、医師の指示通り塗り続けます。
定期的にTARC検査を行うことで、ステロイド外用薬の塗り方がうまくいっているかどうか確認できます。数値が基準値に落ち着いてきたら、ステロイド外用薬の塗る量を1日に一回、2日に一回、1週間に2回と徐々に減らしていきます。最終的にはステロイド外用薬をほとんど塗らずに、保湿だけで肌の状態を保てるようになるのが目標です。
根気よく、子供の成長を待とう
アトピー性皮膚炎のお子さんを持つ保護者の負担は大変大きなものです。定期的に病院へお子さんを連れて行き、毎日子供に外用薬や保湿剤を塗る。ハウスダストやダニ対策をし、服やシャンプー、洗剤の刺激にも気を配り、花粉や食べ物にもに細かく気を配る必要があります。
しかし、幼児期にアトピー性皮膚炎と診断された子供も、その多くは思春期までに皮膚炎は出なくなっています。アトピー性皮膚炎の治療に詳しい医師を見つけ、その診断の元で指示通りに外用薬を使いながら、子供が成長し、皮膚のバリア機能が強くなるのを待ちましょう。
最後に、全国の日本アレルギー学会専門医・指導医が調べられるサイトをご紹介します。どうしても身近に信頼できる医師が見つけられない場合は、一度アレルギー専門医を受診してみましょう。
【参考サイト/参考文献】
・一般社団法人日本アレルギー学会:日本アレルギー学会専門医・指導医一覧(一般用)
※『子育てハッピーアドバイス もっと知りたい小児科の巻②』吉崎達、明橋大二、万年堂出版、2009年
※『ぜん息悪化予防のための小児アトピー性皮膚炎ハンドブック』独立行政法人環境再生保全機構、平成21年