文部科学省は食物アレルギーの子供について、急な症状への対処や日常の留意点を記した「学校生活管理指導表」の提出を保護者に求めるよう、各都道府県教育委員会に促しています。

アレルギーを持つ子供の場合、給食でアレルギー対応食を作ってくれるか、園や学校での生活でアレルギー症状が出ないか、いろいろな心配があります。少しでも不安があるなら、入園・入学時にきちんと申告しておきましょう。

学校(保育園・幼稚園)生活管理指導表

アレルギーがある子供を対象に、園や学校から「学校(保育園・幼稚園)生活管理指導表」というものが配布されます。記入項目は食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などです。アレルギー専門医に詳細な診断を受けた上で、医師に記入してもらう必要があります。
アレルギーとなる食物は何か、抗ヒスタミン薬の内服やアドレナリンの自己注射など緊急時の対処、給食や食材を扱う授業の際の留意点、緊急時の連絡先など、疾患の種類や程度を細かく記入する内容になっています。

食物アレルギーだけでなく、動物やホコリに対するアレルギーや、アトピー性皮膚炎である場合のプール指導や紫外線下での活動についても項目がありますので、気になる場合は専門医に診断を受けて記入してもらいましょう。
「学校(保育園・幼稚園)生活管理指導表」は入園説明会や入学説明会、小中高では進級時などに園や学校から配布されます。説明がない場合は保護者から園や学校へ問い合わせましょう。
アレルギーの詳細な診断や指導表の作成には一般的に費用が掛かります。病院によって作成費用が異なりますので、事前に問い合わせてから受診されると良いでしょう。

診断の流れ

入園や入学を機に、園や学校からアレルギー専門医を紹介されることがあります。
食物アレルギーの診断は専門医でなければ難しく、血液検査の結果だけで誤った診断をされることがあります。不安を解消できないまま過ごされている保護者の方は、入園・入学の機会に是非、専門医を受診してきちんとした検査をしてもらいましょう。

まず、血液検査でアレルギーの数値を確認します。しかし、血液検査だけでは判断はできません。アレルギーの血液検査で陽性になっても、食べて症状が出ない子供がたくさんいるからです。血液検査結果を踏まえて、食物負荷試験や皮膚テストを行い、ようやく正しい診断ができます。
食物負荷試験とは、アレルギー原因と疑われる牛乳や卵を最初は少量から、時間をおいて徐々に量を増やして子供に摂取させる試験のことです。湿疹が出たり呼吸困難になったりする恐れがあるため、食物アレルギー診療の経験豊富な医療機関で受ける必要があります。食物負荷試験は短くても半日がかりで、場合によっては1泊2日で行う必要があります。この試験によって、どの程度なら食べても問題ないのか判断できます。
食物負荷試験は実施している施設がまだ少ないのが現状です。予約がいっぱいで順番待ちになることもありますので、余裕を持って早めに受診しましょう。

教職員・保育士と協力して

学校(保育園・幼稚園)生活管理指導表は定期的な更新が求められます。その他、園や学校から保護者に対してより詳細に食物アレルギーの症状などについて報告を求められることがあります。保護者は子供の安全のためにも、できるだけ細かく申告しましょう。
給食で食物アレルギーに対応をしてくれる場合、どの程度の除去が必要か、もし間違って食べたら何が起きるのか、保育士や教職員、給食の職員や栄養士の考え方が保護者と一致していることが大切です。

【参考文献】
※『新版 アレルギーなんてこわくない!』真鍋穣、株式会社かもがわ出版、2004年
※熊本日日新聞平成26年3月11日総合版「食物アレルギー対策 保護者に疾患申告求める」
※熊本日日新聞平成27年1月22日総合版「食物アレルギー 事故防げ」
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