しりとり、リズム、言葉の語呂の良さ。昔から伝わる早口言葉にかぞえ歌。そんな楽しい言葉遊びは、子供が言葉を覚える近道になります。
今回は、親子で楽しめる言葉遊びの絵本をご紹介します。
ぐりとぐらのあいうえお(なかがわりえこ 作、やまわきゆりこ 絵)
「あさ」「いもほり」「うでまくり」「えんやらやっと」「おおきな おいも」。
最初の場面では、見開きの片側に芋掘りをするぐりとぐら。このような感じで「あ」から「ん」まで、挿絵付きで語呂の良い言葉が並びます。文字数が少なく読みやすいので、ひらがなを読み始めたばかりの4〜5歳のお子さんでも自力で読めてしまうのがこの本の魅力です。「自分で本が読めた!」という経験は大きな自信に繋がります。
小さい本なので、持ち歩くのも便利です。カタカナも読めるようになったら、『ぐりとぐらのしりとりうた』もおすすめです。
あいうえおはよう(にしまきかやこ 作)
文字も絵もアップリケと刺繍で作られている楽しい絵本です。素朴で味わい深い独特の雰囲気が魅力です。
「あいうえおはよう」「かきくけこぶた」……と読んでいるうちについ楽しくなってしまいます。「あいうえお表」に興味を持ち始めた頃のお子さんに読んであげると喜ぶでしょう。音読して、言葉の響きを楽しんで下さい。
パイがいっぱい(和田誠)
大人から子供まで楽しめる、いろんな言葉遊びが盛り沢山の絵本です。
この本は、イギリスの古い童謡「マザー・グース」のような言葉遊びを日本語の中に生かそうと意図して作られました。語呂合わせ、数え歌、韻を踏んだり、しりとり的に続いていく連想物語……。遊び心と言葉のリズムが楽しいものばかりです。是非音読して、お子さんと一緒にリズムを楽しんで下さい。
へんしんトンネル(あきやま ただし 作)
コミカルな絵と、思わず大笑いしてしまう内容で子供に人気の絵本です。日本語では同じ単語を連続して言い続けると語頭と語尾の境目があやふやになって、別の単語に変化して聞こえることがあります。例えば「ぼたんぼたんぼたん……」→「……たんぼたんぼたんぼ…」というようにです。
トンネルに入ったものが、全く別物になって出てくるので、子供たちは絵を見て大笑いです。実際同じ単語を言い続けて、別の単語に変化するのを実感してください。小さいお子さんには一大発見です。
かいじゅうのこんだて(中川ひろたか 文、村上康成 絵)
村上康成さんのユーモラスな絵が面白く、小さな子供たちに人気の絵本です。対象年齢は3、4歳ですが、もっと小さいお子さんでも読んであげたら喜びます。
登場する「かいじゅう」の表情や行動が面白いです。数を数えながら言葉遊びを楽しめる内容になっています。「1じ いちじく 1こ」「2じ にんじん 2ほん」と語呂がいいので、読みながら歌っても楽しい絵本です。
気に入った方は他のシリーズ(わははは!ことばあそびブック)も読んでみて下さい。
しりとりさんぽ(石津ちひろ 作、壁谷芙扶 絵)
ちょっと内容的に難易度が上がるので、対象年齢は4、5歳〜小学生向けでしょう。
登場人物の子供たちがお散歩しながら「ひろいうみ」→「みどりのき」→「きいろいじてんしゃ」などと「しりとり」を続けていきます。お散歩中に出会った出来事、風景、人物などをうまい具合に形容して「しりとり」を続けるのには頭を使います。
この絵本が面白かったら、自分でもお散歩しながら「しりとりさんぽ」してみましょう。きっと、頭の体操になって楽しいと思います。
ママ なんサイ?(越智あやこ 文、丸山誠司 絵)
「ねー ママ なんサイ?」幼稚園児くらいの女の子が、料理中のお母さんにこの質問をするところから話は始まります。小さいお子さんがいるご家庭ではよくある質問ですが、それに対するお母さんのユーモアあふれる切り返しが面白い。よほど自分の年齢を言いたくないのでしょうか。「天才」「山菜」「こげくさい」とごまかし続けます。
言葉遊びと話の展開が楽しい絵本です。
ややこしや 寿限無 寿限無(齋藤孝 編、田中靖夫 絵)
子ども版 声に出して読みたい日本語 5 ややこしや 寿限無 寿限無/言葉あそび
『子ども版声に出して読みたい日本語』の5巻です。『まちがいの狂言』、落語『寿限無』、『早口ことば』など、伝統的な言葉遊びがたくさん収録されています。
大きな声でテンポ良く読んでいくと、明るく朗らかな気分になります。言葉のリズム、語呂の良さ、勢いのある言葉の力を体感して、言葉の響きを楽しんで下さい。楽しいと思ったら、3〜4歳のお子さんでも暗記してしまうほど魅力的な内容です。
気に入ったら、他のシリーズも読んでみて下さい。
ぶたたぬききつねねこ(馬場のぼる)
簡単な言葉のしりとりが長々と続いていく絵本です。文字を覚え始めた時期のお子さんや、3〜4歳くらいの初めての「しりとり」練習としておすすめです。
ひねった言葉はなく、簡易な言葉ばかりなので大人には物足りないかもしれませんが、小さなお子さんは飽きることなく何度でも読みたがります。
「しりとり」の楽しさを教えてくれる1冊です。
たちねぶたくん(中川ひろたか 文、村上康成 絵)
村上康成さんのユーモアのあるぶたさんの絵が可愛らしくて人気の絵本です。
「たちぶた」→「ねぶた」→「○○○」の繰り返しをテンポ良く読んでいくことで楽しいリズムが生まれます。簡単な内容ですが飽きることなく、小さなお子さんは繰り返し読みたがります。
絵のぶたさんの姿勢を真似して遊んだり、巻末にある「たちねぶた音頭」を歌っても楽しい絵本です。言葉のリズムを楽しんで下さい。
編集後記
いかがでしたか?
言葉遊びの代表「しりとり」は、小さなお子さんに人気の遊びです。遊べば遊ぶほど語彙が豊富になるのですから国語力を高めることにもなります。その他、小さい頃から古典に親しむことも語彙力を高めるのにおすすめです。音読すると言葉の響きが心地よく、日本語の良さ、魅力を体感することができます。
言葉遊びを通して、日本語を楽しみましょう。