3歳になったら、絵本のストーリーを楽しめるようになります。
簡単な内容のものから始めて、お子さんの関心度合いを見ながら幅広く選んであげましょう。もしかしたら、思いがけない絵本を好きになってくれるかもしれません。
やさいの おなか(きうち かつ 作・絵)
アイデアが面白い絵本です。いろんな野菜をカットした断面をモノトーンの絵で示し、「これ なあに」と問いかけます。次のページでカラーの絵が描かれ、野菜の全体像が示されて答え合わせができます。レンコンやタケノコなどの分かりやすい絵もあれば、「あれ、これ何だろう?」と思わず考え込んでしまうような絵もたくさんあります。でも、どの野菜も一般的な家庭で目にするようなものばかりです。
「幼児絵本シリーズ」とありますが、年齢問わず、大人でも楽しめる絵本です。子供たちは一生懸命考え、「これキャベツ?」「かぼちゃだ!」と大喜びで絵本を見てくれます。何度でも読みたがったら、何度でも読んであげて下さい。「僕(私)は答えを知ってるよ!」という得意な気持ちを満足させてあげましょう。
子供たちが普段意識して見ていなかった野菜の形に改めて興味を持ったり、お料理に興味を持つきっかけになる良い絵本です。お子さんが野菜を切りたがったら、是非一緒に切って、実際に断面の形を確認してみましょう。
きいろいのはちょうちょ(五味太郎 しかけ絵本1)
五味太郎さんの絵本は面白くて、あっと言わせるセンスがある絵本が多いです。今回は、五味太郎さんのしかけ絵本をご紹介します。
表紙には、元気に走って「ちょうちょ」を追いかける男の子の絵。男の子は黄色いちょうちょを追いかけてどこまでも走っていきます。「きいろいのは ちょうちょ……」と思って網で捕まえたら、「あれ ちょうちょ じゃない」!ちょうちょと思ったものが意外なものに変わっていて、男の子と読者を驚かせます。
面白くて笑ったり、「え〜!」とびっくりしたり、楽しい絵本です。3歳向けの絵本として紹介しましたが、1、2歳から5歳くらいまで幅広い年代で楽しめます。大人だってもちろん、面白く読めます。
ちょうちょだけに注目していると、もう一つの面白いしかけを見落としがちなので、是非、じっくり絵を見て変化に気付いてください。新しい発見に子供たちは大喜びするでしょう。
五味太郎しかけ絵本シリーズには、他に『とうさんまいご』『まどからおくりもの』があります。
かずのえほん(いもと ようこ 作・絵)
楽しみながら数を覚えるのにおすすめの絵本を1冊ご紹介します。
表紙には5本の指にパパ、ママ、お兄ちゃん、お姉ちゃん、赤ちゃんの指人形。楽しそうな雰囲気にパッと手に取りたくなります。数の絵本は色々ありますが、選ぶ基準はまず子供が見やすい絵であること、そして、描かれている動物などの絵が、そのお子さんにとって親しみやすい、好きな絵であることです。
この絵本には可愛い動物たちがたくさん出てきて、数を数えるのが楽しくなります。「猫さんは何匹いるかな?うさぎさんは?」などとクイズを出すのも楽しいです。数を覚え始めのお子さんにおすすめします。
ねんねん ねむねむ おやすみね(ジェニファー・バーン 文、デイヴィッド・ウォーカー 絵、福本友美子 訳)
夜、兄弟姉妹でお布団の上をゴロゴロ。キャアキャア言って遊んでなかなか寝てくれない……。幼い子供たちがいる家庭ではよくある光景です。そんな元気な子供たちを寝かしつけるのに効果的な、素敵な絵本をご紹介します。
小さな女の子がいろんな動物たちと一緒に眠りにつくお話なのですが、繰り返しのリズムが優しく、子守唄のような心地よさで子供たちを眠りに導きます。
「よぞらに きらきら おほしさま。ねんねん ねむねむ おやすみね」
読んでいるうちに、うっとり眠りの世界へ――。是非、子供たちが寝る前に読んであげて下さい。
どろんこハリー(ジーン・ジオン 文、マーガレット・ブロイ・グレアム 絵、わたなべ しげお 訳)
お風呂嫌いの犬「ハリー」が主人公です。
2〜3歳くらいの頃は、頭からお湯をかぶるのが怖いなどの理由で、お風呂嫌いのお子さんもいるでしょう。そんなお子さんは、この主人公「ハリー」の気持ちがよく分かるはず。ハリーがブラシをくわえて逃げ出し、裏庭に埋めてしまうシーンなんか大喜びです。
でも、泥んこになったハリーが家族のみんなに別の犬だと思われて、家に入れてもらえないと、不安になってドキドキ……。3歳も後半、ストーリーの展開を楽しめるようになったお子さんにおすすめです。
家族の愛情を感じられるところも良い絵本だと思います。
ねずみくんとかくれんぼ(なかえよしを 作、上野紀子 絵)
「かくれんぼ」は子供に人気の遊びです。じゃんけんで鬼を決めたり、「もう いいかい」「まーだだよ」というやり取りが出てくるのも、子供の日常生活に結びついていておすすめです。
更に、この絵本のかくれんぼは普通と一味違っていて、発想豊かです。「こうやったらどうなるのかな?」「なんでみんなは見つかっちゃったのかな?」など、親子で一緒に考えながら読むと面白いです。
「ねずみくんの絵本」はシリーズがたくさんありますので、気に入ったら他の本も読んでみましょう。
てぶくろ(ウクライナ民話 エウゲーニー・M・ラチョフ 絵、うちだ りさこ 訳)
てぶくろ―ウクライナ民話 (世界傑作絵本シリーズ―ロシアの絵本)
おじいさんが落としていった片方の手袋に、森の動物たちが次々と入って一緒に暮らそうとするお話です。有名な民話なのでご存じの方も多いでしょう。私も子供の頃に母親に読んでもらって、今でも印象深く心に残っている話です。
中で暮らす動物が増える度に、てぶくろに梯子が掛けられたり、窓ができたり、変化していくおうちの様子が楽しい。登場する動物たちも個性的で面白い。彼らが着ている衣装にも注目して読むと更に楽しいです。
世代を超えて愛されるロングセラー本です。
あかがいちばん(キャシー・スティンスン 文、ロビン・ベアード・ルイス 絵)
3歳前後の子供が服や靴にこだわったり、好きな色にこだわったりすることはよくあることです。そんな子供心を余すことなく表現した本がこちらです。
親に言わせれば「どちらでも同じじゃないの」というところですが、子供にとっては大違い!好きな色を身に付けると心が躍りだして、ニコニコ笑顔になるんです。
子供には共感を、親御さんには子供心を思い出させてくれる素敵な絵本です。
だるまちゃんとてんぐちゃん(加古里子 作)
だるまちゃんはてんぐちゃんと大の仲良し。だるまちゃんはてんぐちゃんが持っているうちわや帽子など、いろんなものが欲しくて仕方ありません。家に帰って家族に「同じようなものが欲しい」とねだります。
大好きな友達と同じものが欲しくなる子供心をよく表現した絵本です。だるまちゃんの家族も、それをわがままだとは言わずに一生懸命いろんなものを出して応えようとします。面白い帽子や靴などたくさん出てくるので、それを眺めて遊ぶのも楽しい絵本です。気に入った方は、だるまちゃんシリーズの他の絵本もどうぞ。
おおきなかぶ(ロシア民話 A・トルストイ 著、佐藤忠良 絵)
幼稚園や保育園での読み聞かせでもよく使われる有名な民話です。
「うんとこしょ どっこいしょ」という掛け声の響きが面白く、子供たちに人気の絵本です。おじいさんがおばあさんを呼んで、おばあさんが孫を呼んで……と繰り返されるストーリーが小さいお子さんにも理解しやすく、一度読んでもらったら強く記憶に残る物語になっています。
親から子へ、子から孫へと世代を超えて愛されるロングセラー本です。
編集後記
3歳児は簡単なストーリーなら理解できる年齢です。しかし、発達は個人差が大きいので、簡単な内容の絵本〜ちょっと難しい物語まで、お子さんに合わせて選んであげましょう。
図書館に行って、お子さんが自分で好きな絵本を選ぶ機会を作ってあげるのも良い方法です。一度絵本を面白いと思ったら、そこから世界が広がります。
お子さんが本好きになるためには、親子で絵本を楽しむのが一番です。