言語理解が進み、おしゃべりも上手になる4歳児。そんな4歳児の想像力をさらに大きく、豊かに育ててあげるために、おすすめの絵本を紹介します。
ひよこのコンコンがとまらない(ポール・ガルドン 作、福本友美子 訳)
北欧の昔話です。
ひよこのタッペンが喉を詰まらせ、それを助けようとめんどりのコッコさんが奮闘します。
コッコさんが泉や樫の木、男の子や牛など、いろんな相手に助けを求めて駆け回り、助けが欲しい理由を説明するのですが、その繰り返しのリズム、どんどん長くなる説明の言葉が独特の雰囲気を作り出しています。
全てが繋がって、いろんな人や動物の助けが集まってタッペンが助かる、そのラストが見ものです。
ストーリーを理解し、楽しめるようになった4〜5歳のお子さんにおすすめです。
いちにち ぶんぼうぐ(ふくべ あきひろ 作、かわしま ななえ 絵)
机の前に座った男の子がこう呟きます。
――ぶんぼうぐって、かしこそうだな。よし、いちにち ぶんぼうぐになってみよう。
読み手がびっくりするような発想ですが、子供たちはすんなり受け入れてくれます。男の子がクリップや磁石、メジャーになって四苦八苦する姿が面白く、思わず笑ってしまいます。
様々な文房具の特徴をよく表現していて、ものを大切にする気持ちも教えてくれます。対象年齢は4〜5歳からになっていますが、日常的に文房具を使い始める小学校入学後に読んであげると、喜ばれると思います。
落語絵本『じゅげむ』(川端 誠 著)
川端誠さんが落語の中でも最もポピュラーなお話『じゅげむ』を絵本にしたのがこちらの本です。子供向けの教育テレビでも取り上げられることが多い『じゅげむ』。全部は言えなくても聞き覚えのある方も多いでしょう。
この絵本を読みながら、「ああ、『ごこうのすりきれ』ってこういう意味だったんだ」と言葉の意味を確認できるのも面白いですが、『じゅげむ』のストーリ―展開自体が軽快で笑えます。リズミカルな文章にも注目です。
読み聞かせするなら、内容が理解できるのは4〜5歳くらいからでしょうか。ただ『じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ〜』の響きを楽しむなら、3歳くらいから読み聞かせできます。親子で一緒に覚えて楽しみましょう。
かにむかし(木下順二 著、清水 崑 絵)
日本に生まれ育ったなら、子供に読んであげたいのが日本の昔話。桃太郎や浦島太郎、かぐや姫などたくさんありますね。
有名な昔話をいくつか読んであげて慣れてきた頃に挑戦してほしいのがこちらの昔話『かにむかし』です。皆さんおなじみの『さるかに合戦』の物語です。50年以上前に出版された絵本ですが、長く日本人に親しまれています。
標準語とは異なる方言独特の味わいのある語り口が、読み聞かせしていると心地よく耳に響きます。何度も読み聞かせして、方言独特言葉の響きと、ストーリーの展開を楽しみましょう。
ぐりとぐら(なかがわ りえこ 著、おおむら ゆりこ 絵)
ぐりとぐらが森で大きな卵を見つけてカステラを作るお話です。たくさんの動物たちが登場するのが楽しいです。森の植物や木の実、花などが細やかに描かれていて、何度読んでも飽きない、味わい深い絵本になっています。
ぐりとぐらが大きな卵を見つけて「どうやって持って帰ろう?」「どうやって割ったらいいんだろう?」とあれこれ考えながら解決していく姿を見て、絵本を読んでいる子供たちも一緒に考える力がつきます。
『ぐりとぐら』はシリーズ化されていて、他にもたくさん作品が出ていますので、お子さんが気に入ったら他の作品も読んであげて下さい。
しずくのぼうけん(マリア・テルリコフスカ 作、ボフダン・ブテンコ 絵、うちだ りさこ 訳)
しずくのぼうけん (世界傑作絵本シリーズ―ポーランドの絵本)
ロングセラーのポーランドの絵本です。
水が水蒸気になったり雨になったり、氷になったり、「しずく」の冒険を追うことで楽しく科学を学ぶことができます。もともとユーモアに溢れた内容である上に、うちださんの秀逸な翻訳によって親しみやすさと面白さが倍増しています。
子供が何度でも読みたくなる絵本です。
おおきな おおきな おいも(鶴巻幼稚園・市村久子の教育実践による 赤羽末吉 作・絵)
おおきなおおきなおいも―鶴巻幼稚園・市村久子の教育実践による (福音館創作童話シリーズ)
幼稚園児が描いた大きな大きなおいも!その大きさにびっくり仰天です。
この絵本は「おいも」の色一色だけで、あとはシンプルに黒と白だけで描かれていますが、それだけにみんなの想像した「おいも」の存在感が際立っています。
子供たちののびのびとした想像力と、発想力の豊かさに圧倒される絵本です。子供にとっての自由な遊びの楽しさをよく表現した絵本だと思います。
秋の芋掘りの季節に、是非読んであげたい1冊です。
かいじゅうたちのいるところ(モーリス・センダック 作、じんぐう てるお 訳)
モーリス・センダックのイラストと配色が美しく、描かれる「かいじゅうたち」の恐ろしい姿が子供心に強い印象を残す絵本です。たくさん登場する「かいじゅうたち」は、恐ろしいだけでなくユーモアあふれる姿で描かれています。
子供の空想の力を素晴らしく描いた名作です。子供だけでなく大人の心も魅了する力を持っています。
活発でのびのびとした男の子の姿と、その背景ある家庭の温かさ・安心感を見事に描いています。
ぐるんぱのようちえん(西内ミナミ 作、堀内誠一 絵)
楽しい絵とテンポの良い展開で子供に人気の絵本です。
みんなに応援されて一歩踏み出す勇気。ぐるんぱが失敗をたくさん繰り返しながら、最後に自分に相応しい仕事を見つけたときには「良かったね!」と一緒に喜びたくなります。
失敗には意味がある。認められる喜び。いろんな意味が詰まった絵本ですが、決して堅苦しくはなく、純粋に読んで楽しい絵本です。
おいしいおと(三宮麻由子 文、ふくしま あきえ 絵)
絵本コーナーで目にしたら、思わず「美味しそう!」と手に取ってしまいそうになるこちらの絵本。何といっても出てくる擬音語が独特です。
ウインナをかじったら「クッ プワッ」。かぼちゃは「モモッ ポフ ポフ ポフ……」。食べるときの音がとってもリアル!読んでいると食材の食感まで伝わってきます。
食べ物に対する興味を大きく育ててくれる絵本です。
編集後記
いかがでしたか?
言葉遊びや食育の本も含めて、様々な分野の本を紹介してみました。この中にお子さんの気に入る本があったら幸いです。
絵本は子供の想像力を育て、感情を豊かにしてくれます。読み聞かせすることで親子間の楽しいコミュニケーションにもなり、家族の愛情を育む大切な時間にもなります。
是非、週に1回でも良いので、時間を作ってお子さんに絵本を読んであげましょう。きっと楽しい思い出になります!