地方や家庭によって、お雑煮の味は千差万別。お雑煮で美味しい正月を最後まで楽しみましょう。
しょうゆ仕立て編パート1:くるみをつけたり焼きハゼがはみ出ていたり…
東北地方ではしょうゆ仕立てのすまし汁に、海の幸が使われたお雑煮が多いようです。
<青森県>くじら雑煮
【特徴】脂がのったくじらの皮を使う。
【餅/具】焼いた角餅/大根・にんじん・ごぼう
<岩手県>くるみ雑煮
【特徴】あわびやいくらなど、三陸沖で捕獲した海の幸がたっぷり。餅を甘辛いクルミだれにつけながら食べる。
【餅/具】焼いた角餅/大根・にんじん・ごぼうなど
<宮城県>焼きハゼ雑煮
【特徴】焼きハゼでとっただしを使い、椀からはみ出るほど大きな焼きハゼを乗せる。
【餅/具】焼いた角餅/凍り豆腐・ずいき・凍りごぼう・大根・にんじん
<秋田県>男鹿雑煮
【特徴】フグや焼きアジでとっただしを使う。醤油ではなく、"しょっつる"を使う地域も。
【餅/具】焼いた角餅/ごぼう・長ねぎ・海草
<福島県>こづゆ雑煮
【特徴】貝柱でだしをとった郷土料理"こづゆ"の雑煮仕立て。
【餅/具】焼いた角餅/凍り豆腐・野菜・しいたけなどをたっぷり
しょうゆ仕立て編パート2:イクラにブリに贅沢な一方で、日本一シンプル雑煮も
気になるのは、新潟県の鮭といくらの親子丼ならぬ、親子雑煮。名古屋雑煮はシンプルなだけに、だしが味を大きく左右しそうです。
<新潟県>鮭といくらの雑煮
【特徴】塩鮭でとっただしを使い、最後にイクラをトッピングする。
【餅/具】角餅/塩鮭・イクラ・大根・人参・里芋など
<長野県>ブリ雑煮
【特徴】塩ぶりが主役。
【餅/具】焼いた角餅/ブリ・大根・人参・小松菜・カマボコ・鶏肉など
<愛知県>名古屋雑煮
【特徴】日本で一番シンプルな雑煮ともいわれる。小松菜に似た"餅菜"と花かつおが定番で、黒砂糖をのせる場合も。
【餅/具】角餅・東海地方ではゆでる/餅菜・かつお節
<埼玉県>関東雑煮
【特徴】縁起かつぎで鶏肉を使い(福を取り入れる)、野菜を輪切りにする(全て丸くおさまるように)
【餅/具】焼いた角餅/鶏肉・大根・にんじん・ぎんなん・なると・三つ葉
<千葉県>はばのり雑煮
【特徴】「はばを効かせる」に掛けて房総の特産品"はばのり"を、手でもんでふりかける。花かつおを乗せる場合も。
【餅/具】焼いた角餅/大根・里芋
<長崎県>具雑煮
【特徴】かつおと昆布のすまし汁に、具だくさんで見た目が華やか。焼きあごのだしを使う場合も。
【餅/具】焼いた角餅/大根・人参・ごぼう・クワイ・焼き豆腐・牡蠣・塩ブリなど
しょうゆ仕立て編パート3:どん!と乗っているのは餅じゃなくてダイエットでも人気の…
徳島県の雑煮には餅が入らないとは驚き!その代り、2丁もの豆腐が鎮座。果たして食べ切れる?黒砂糖もぜひ入れてみたいものです。
<島根県>海苔雑煮
【特徴】煮干し・昆布・かつお節でとっただしに、海苔をたっぷり。海苔を酒でほぐして乗せて香りを楽しんだり、緑色になるまで煮たりする。
【餅/具】丸餅/岩のり・かつお節・スルメなど
<広島県>高野のオップリ雑煮
【特徴】すまし汁に湯がいた餅を入れて、酒で溶いた海苔をのせる。縁起をかつぎ、餅はむしろの上に並べて両面に小判のような模様をつける。
【餅/具】焼いた丸餅/オップリ海苔・ハマグリ・スルメなど
<広島県>牡蠣雑煮
【特徴】輪切りの野菜に牡蠣と塩ブリを入れる。焼きあなごやふぐを入れる場合も。
【餅/具】丸餅/牡蠣・塩ブリ・大根・人参・白菜・焼き豆腐など
<徳島県>うちちがえ雑煮
【特徴】イリコだしのすまし汁に具は頭芋と豆腐だけで餅が入らない。
【餅/具】無し/大根・人参・頭芋・豆腐・小松菜など
みそ仕立て編:入っているのはただの白餅ではありません
奈良県のきな粉雑煮や香川県のあん餅雑煮など、和スイーツ仕立てが多いのが特徴的。柔らかいお餅に、コクあるみそ仕立ての汁が絡み合い、体の芯から温まれます。
<福井県>かぶら雑煮
【特徴】「株を上げる」という縁起かつぎで、茎付きのカブを入れる。家庭によって、赤味噌か白味噌か異なる。黒砂糖をのせる地域も。
【餅/具】丸餅/カブ・鶏肉・人参
<奈良県>きな粉雑煮
【特徴】お椀のフタに入れた砂糖を加えたきな粉をつけて食べる。きな粉には豊作祈願、他の具材にもそれぞれ意味が込められている。しょうゆ仕立てにする場合も。
【餅/具】焼いた丸餅/頭芋・豆腐・大根・人参・かつお節など
<京都>京雑煮
【特徴】西京味噌を使った甘くてコクある汁に、花カツオをのせる。具は「物事が丸くおさまるように」という縁起かつぎで丸く切る。
【餅/具】丸餅/里芋・大根・カツオ節
<兵庫県>焼きあなご雑煮
【特徴】名物のあなごが豪快に入れられる。白みそ仕立ての他、すまし汁に仕立てる場合も。
【餅/具】丸餅/焼きあなご・大根・里芋・かまぼこ・鶏肉・焼き豆腐など
<香川県>あん餅雑煮
【特徴】ただの白餅ではなく、あん入りのお餅を使う。砂糖が貴重だった時代に、正月だけは贅沢しようという先人たちの気持ちが込められたもの。
【餅/具】あん入り丸餅/大根・人参・干しエビ・青のり
小豆雑煮:小豆たっぷりで見た目はぜんざい、でも食べれば…
鳥取県で食べられているのは、しょうゆ仕立てでも味噌仕立てでもなく、塩仕立ての<小豆雑煮>。それも見た目はまるでぜんざい。ところが食べれば甘くはなく、昔は塩味だったんだとか。
今では甘いおしるこ風に仕上げることが多い中、昔ながらの塩味派も少なからずいるようです。ただ、小豆雑煮を食べているのは海岸部がほとんど。県東部の山間部では、焼き豆腐入りの味噌仕立てが多いとのこと。
一方、西部ではしょうゆが多く、豆腐・ネギ・ゴボウ・ブリの切り身を入れて、お酒で溶いた海苔をかけて食べられているようですよ。
小豆雑煮に必要な材料は、丸餅・小豆・砂糖・塩と、ごくシンプル。好みの固さにゆでた小豆に砂糖を加えて10分ほど煮、味をなじませる。好みで塩少々。そこに、別鍋で柔らかくゆでた小餅を入れて食べる。
ぜんざいとはちょっと違った小豆雑煮。ぜひ作って食べてみたいものです。
【参考サイト】
農林水産省/特集2 食材まるかじり(2)
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1101/spe2_02.html
お正月の味!お雑煮図鑑:全国 年末年始おでかけスポット2014:るるぶ.com
http://www.rurubu.com/season/winter/oshogatsu/column.aspx
小豆雑煮/食のみやこ鳥取県/とりネット/鳥取県公式サイト
http://www.pref.tottori.lg.jp/178232.htm