2017年、大阪府の女子高生が、生まれつき茶髪なのに髪を黒く染めるよう学校側から強要されて不登校になり、訴訟になりました。
その頃から「ブラック校則」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、現在の学校の校則はどうなっているのでしょうか。
現状と問題点について考えます。
昔より校則が増えている
なんとなく、昔より今の方が学校の校則は緩やかになっているような印象を持っていましたが、現実は違うようです。
例えば昔は小中学生男子は坊主、女子はおかっぱなどという決まりがありましたが、今はそんな決まりはありません。しかし、今でも男子の長髪は禁止されていますし、女子は髪が長ければ結ぶ必要があります。しかも、ゴムの色は黒・茶・紺など、厳しく指定されています。
例として、ある小学校の校則(学校の決まり)を載せます。
- スカートの丈は短くしない。
- 髪の毛を染めたり、パーマをかけたりしない。
- ピアス禁止。
- 携帯電話の持ち込み禁止。
- アクセサリー禁止。
- 私物の持ち込み禁止。
- キャラクターのついた文具は禁止。
- 友達とのゲーム等の貸し借り禁止。
- 遠足のおやつ禁止。
- 子供だけでゲームセンターや映画館などに行くのは禁止。
驚くほどルールが細かく、親世代にはなかった決まりが増えているのが分かります。
中高生になると、ポニーテールの禁止、下着の色の指定、眉毛を整えることの禁止など、学校によっては新しい管理項目が増えます。
髪染めの問題ですが、生まれつき茶髪の人で髪染め指導された経験がある人は中学で1割、高校で2割いるといわれます。また、多くの学校で「地毛証明書」を求める学校指導が行われている実態が分かり、問題になっています。
校則が増えた理由
ではなぜ、これほど校則が増えているのでしょうか。
以前は子供たちが非行に走るのを防止する目的で茶髪に染めるのを禁止する理由もありました。今ではそのルールも意味がないものになり、「茶髪禁止」の校則だけが形だけ残っているケースがあるようです。
しかし、生まれつきの茶髪まで黒く染めさせようとするなど言語道断です。指導する側の人間も、この校則をおかしいとは思わないのでしょうか。
このように、昔からあった校則を、今では時代にそぐわないものになってしまったにもかかわらず踏襲している場合と、学校や保護者の希望で追加された校則があります。
例えば、小学校でキャラクターのついた消しゴムや鉛筆が禁止される理由は、それが原因で授業に集中しない生徒がいるからだそうです。友達間でゲームの貸し借りが禁止されたのは、貸し借りが原因でトラブルが起きたからに違いありません。遠足のおやつ禁止は、平等の観点からと、アレルギーを持った子が間違って食べる危険性を回避する目的もあるでしょう。
こうして、学校で何か問題が起きる度に新しい校則が追加され、増えていきます。
校則を見直そう
しかし、これだけ多い校則に縛られていては、学校生活が息苦しいものになってしまうのではないかと心配です。学校は、ただでさえ閉じられた空間です。毎日同じクラスメイトと教室で過ごすのですから、画一的で、管理優先の校則を一方的に守らされる生徒たちもストレスが溜まるでしょう。特に、現在ある校則の中には明らかにおかしい、一般的な感覚からは理解できない校則もあります。
自分たちの学校に理不尽な納得できない校則があったら、声を上げて見直していくことが必要です。学校の校則は、変えることができます。教育委員会、PTA、児童会などを通して、校則の見直しを議論する場を作りましょう。その際には、生徒たちの意見を大切にしたいものです。
ブラック校則問題で裁判所がお茶を濁す事情