最近よく話題になるのが、高齢者の交通事故です。
残念なことに、事故に巻き込まれるのではなくて事故を起こしてしまう高齢者の話題です。ある程度の年齢になれば、自動車運転免許を返上することを奨励する動きは以前からありましたが、今後ますます加速するものと思われます。
自治体によっては、免許を返上したシニアにタクシー料金の補助をするところもあります。実際、自動車を購入して税金、車検、ガソリン代を合計するとタクシーを利用した方が経済的なのではないかと思えることもあります。
とは言っても、急に必要が出来て近所に買い物に行くにはタクシーは不便です。そういう時に役立つのが自転車です。今後もシニアの自転車人口は増えることが予想されます。
サイクリングの健康効果
自転車に乗ることは利便性だけではなく健康効果も見込めます。サイクリングは、ウォーキングやジョギングよりも長時間続けられる有酸素運動なのです。有酸素運動は、肥満解消や動脈硬化の予防に有効で、メンタル面でもいい影響があり、シニアの健康管理にはなくてはならないものです。
また、サイクリングは腸腰筋という足を持ち上げる時に使う筋肉が鍛えられるので、歩行中や階段での転倒防止にも有効です。よく、エクササイズで寝転んで自転車漕ぎなどをしますが、サイクリングの場合には足の開き方を微妙に変化させながら足を持ち上げるので様々な方向の筋肉が鍛えられるのです。
そして、サイクリングはバランスを取ることが非常に重要になりますから、バランス感覚の衰えも防止できます。自転車を日常生活に利用すると便利であるばかりではなく健康管理にも役に立つのです。
シニアの自転車事故が多い理由
自転車で転倒するのはシニアに限ったことではありません。
ただ、シニア、特に高齢者の場合は転倒の頻度が高いということと、転倒した時の怪我が大きいということです。普通、転倒する時には足や手で支えるため手足に怪我をしますが、シニアの場合には運動神経が鈍っているので、いきなり頭や顔を打ち付けて大怪我になることが多いのです。
また、筋力不足で自転車を支えきれずに転倒してしまう場合もあります。腕力不足でハンドルを強く支えられないので、漕ぎ出した時によろけることも多いのです。
交通法規を理解しておきましょう
シニアの中には一度も運転免許を取ったことが無い人もいます。そういう人は、車の運転者なら当然と思っている法規を知らないことがあります。
法規を無視した動きは車の運転者にとっては想定外な動きで、時には大きな交通事故を誘因してしまうこともあります。車の多い一般道では特に気を付けなければならない事です。
- 路地の前を不注意に横切る、ガソリンスタンドやコンビニなどの駐車場、一般住宅のガレージの前などでも左右注意を払わず横切るなどの行為は車側からみると非常に怖いことです。
- 服装が地味な事も車から見えにくい要因です。自転車に乗る時には目立つ色の上着を着ましょう。
- 横断歩道のないところを横断するのはやめましょう。
- いきなり進路を横にずらして後ろの車両に急ブレーキを踏ませると、自分自身が追突されるだけでなく後方の玉突き事故の原因になります。
装備を整えましょう
自転車に乗る時に大切なことは動きやすい服装で乗るということです。そして、車から見えやすいように目立つ色の上着をきておくことも身を守る方法の一つです。
また、肘や膝にはサポーターを付けておきましょう。ヘルメットも必要です。最近は、一見帽子に見えるおしゃれな感じのヘルメットも市販されています。
靴は、スニーカーなど滑らないもの、ヒールのないものにします。すり減って滑る靴はペダルを踏み外すのでとても危険です。ロングスカートや裾幅の広いズボンも引っかかって危険です。
シニアに向く自転車
おすすめはスポーツタイプよりは、いわゆるママチャリです。それも24〜26インチのものです。
まず気を付けたいのがサドルの高さです。自転車にまたがって両足がしっかり地面に着く高さにサドル高を設定しましょう。この高さだと結構力を入れて漕がなければならないので、あまり遠出もできません。
前カゴや後ろカゴには必ずカバーを付けて、ひったくり被害に遭わないようにしましょう。ひったくりに強くひっぱられて転倒、大けがをすることが少なくありません。また、バランスを崩す原因になるので、あまり大きなものや重いものを積まないようにしましょう。
女性は自転車に乗る時にケンケン乗りをする人が多いのですが、シニアの場合には足をひっかけてしまってひどい転倒をすることがあります。まず、またがってしっかりハンドルを握ってから発車するようにしましょう。
これはシニアに限らない事ですが、ブレーキをしっかり点検しておきましょう。ブレーキは、使っているうちにだんだん緩んで利きづらくなってきます。下り坂などでは、ずっとブレーキを握ったまま走行しますから、なおさら利きにくくなります。急な坂の上り下りは避けることも大切なことです。
電動アシスト車
電動アシスト車は、上り坂が非常に楽なのでシニアには人気があります。しかし、上れば必ず下らなければなりません。下り坂は自転車には非常に危険です。多少遠回りになっても坂道は避けた方がよさそうです。
また、意外に重いのも電動アシスト車の欠点です。押して歩かなければならない時には相当の労力が必要です。
電動アシスト三輪自転車
平坦な舗装道路では転倒しにくいし、簡単に足が地面につくので安心して乗れます。しかし、段差では二輪車以上に転倒のリスクは高くなります。
車輪が小さいぶん車高が低いのですが、その分しっかり漕がなければなりません。また、車幅が広いので都会の一般道では、かえって危険が多い可能性があります。とにかく、舗装道であることが安全に走行する条件になります。
電動アシスト四輪自転車
三輪車よりもさらに安心、転倒しにくいと自転車として開発されたのが電動アシスト四輪自転車です。三輪車と同じく車輪は小さく車高が低いので安定感があります。走行スピードは時速4〜5km程度なので自転車という感覚とは少し違うのかもしれません。
自転車というよりは、長時間の歩行が困難な人が近所に買い物や通院のために出かけるための乗り物です。車幅も二輪車よりも広いので、車がよく通る道路での走行は危険です。
最後に
自動車運転を卒業してから自転車に乗り始めるよりは、早い時期から近場には自転車で出かけるようにしておくと、バランス感覚などが育っているので無理なく自転車生活に入ることができます。それでも、いつかは自転車も卒業する日が来ることを念頭に置いておきましょう。
筋力や判断力が如実に落ちてくるのは65歳ごろからです。自動車運転や自転車の卒業を検討するタイミングです。65歳を過ぎれば毎年自分の体力を確認して卒業のタイミングを計りましょう。