赤ちゃんを無理に泣き止ませようと激しく揺さぶると、脳や目にダメージを与えて「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」を引き起こしてしまうことがあります。
今年、厚生労働省は、「乳幼児揺さぶられ症候群」を予防するために啓発DVDを市町村などに配布しました。
「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」とはどんなものなのか、そして、それを予防するためのポイントについて知っておきましょう。
乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)とは?
乳幼児揺さぶられ症候群というのは、まわりから見れば「あんなことをしたら、子どもが危険だ」と誰もが思うほど激しく、乳幼児が揺さぶられたときに起こる重症の頭部損傷です。
(http://www.jpeds.or.jp/saisin/070815_shaken.pdf)
赤ちゃんを縦に抱いた状態などで前後に激しく揺さぶると起きます。
外傷がないので分かりにくいですが、脳の中で出血したりして、言語障害や歩行困難、失明などの重い障害が残ったり、命を落とすこともあります。
新生児から生後6ヵ月未満の乳児が、特に揺さぶられ症候群になりやすいと言われています。
どんなことに気を付ければいいの?
揺さぶられ症候群について、赤ちゃんの周囲の人に知ってもらいましょう。特に力の強い父親が赤ちゃんを揺さぶると危険ですので、注意しましょう。
揺さぶられ症候群は、泣き止まない赤ちゃんにイライラした大人が、赤ちゃんを強く揺さぶることで起きることが多いと言われます。育児をしている人が、精神的に追い詰められないように気を配ることが大切です。
もし、赤ちゃんを揺さぶってしまったら、赤ちゃんの様子が普段と違わないか注意してください。
ミルクを飲まなかったり、吐いてしまう、笑わない、痙攣する、長時間眠り続けるなどの症状があるときは、揺さぶられ症候群の可能性があります。すぐに病院に連れて行きましょう。
その際、正直に揺さぶったことを医師に伝えることが大切です。それが、正しい診断に繋がります。
赤ちゃんの泣き声にイライラしたときの対処法
特に一人目の赤ちゃんの場合、お母さんもお父さんも初めての育児で不慣れなことばかりです。
夜泣きのひどい赤ちゃんのために寝不足になり、イライラして自分まで泣きたくなってしまうというお母さんは、決して少なくはありません。出産後に子育てが大変で、育児ノイローゼになってしまう母親も1〜2割はいると言います。
赤ちゃんの泣き声にイライラしてしまっても、自分を責めないようにしましょう。赤ちゃんが泣くピークは生後1〜2ヵ月です。
夜泣きのひどい赤ちゃんでも、生後5ヵ月くらいにはだいたい収まります。泣き声に悩まされる大変な時期は長くはありません。「今だけ」と割り切って気持ちを切り替えましょう。
赤ちゃんが泣きやまないときは、まず、赤ちゃんの欲求を満たすように努めます。
母乳やミルクを上げたり、オムツを交換したり、抱っこしたり、いろいろ試して赤ちゃんの欲求を満たしてあげましょう。
体調が悪くて泣いている場合もありますので、見落とさないようにしましょう。
それでも泣き止まない場合は、赤ちゃんが気に入るものを探すのも一つの方法です。
例えば、赤ちゃんの耳元でお菓子の袋や新聞紙など、クシャクシャにして音を聞かせると、泣き止むことがあります。
赤ちゃんが母親のお腹にいるときに聞こえる音を流すと、泣き止むこともあります。赤ちゃんが泣き止むお気に入りの音楽などを探すのも良いでしょう。
赤ちゃんの普段の様子をよく見て、どんなときに機嫌が良いか、何が好きなのか探してみましょう。
母親が一人っきりで育児をするのは大変です。父親のサポートはもちろん、祖父母にも助けを求めましょう。
時には育児から解放されて、リラックスできる時間が必要です。
周囲に助けを求められる人がいない場合は、最寄りの保健センター、児童相談所、子育て家庭支援センターなどに連絡してみましょう。
一人っきりで悩まないことが大切です。
参考サイト
乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)について
http://www.kiken-kaihi.org/topics/sbs.html
赤ちゃんを揺さぶらないで!乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)を予防しましょう
http://www.jpeds.or.jp/saisin/070815_shaken.pdf
揺さぶられっ子症候群 [新生児育児] All About
http://allabout.co.jp/gm/gc/383057/
※熊本日日新聞平成25年6月7日朝刊「防ごう 揺さぶられ症候群」参照。