ヨシタケシンスケさんは、ユーモアあふれるコミカルなイラストが人気の絵本作家です。意外な発想や新しいものの見方で語られる内容は、子供だけでなく大人にも高く評価されています。
ぼくのニセモノをつくるには
発想が面白い絵本です。
ある日「けんた」は、自分が楽をするためにロボットを買って、自分のニセモノを作ろうとします。でもそのために「自分」がどんな人間であるのか、ロボットに詳しく説明する必要に迫られます。
好き嫌いや得意・不得意。過去から繋がって未来に繋がる自分。自分で思う「自分」と、周りの人から見た「自分」は違う。読み進めるうちに、いろんな「気づき」がある哲学絵本です。ユーモアがあって抜群に面白いです。
このあとどうしちゃおう
亡くなったおじいちゃんの遺品の中に、自分が死んだらどうなりたいか、どうしたいかが書いてあるノートが出てきます。男の子はそれを読んでいろんなことを考えます。
「死んだらどうしたい?」なんて意外な発想です。
ユーモアと笑いに満ちていて、それでいて深く人生について考えさせられる内容です。
ぼーっと生きるのではなく、死を見つめ、大切に今を生きていきたいと思える絵本です。
りんごかもしれない
第6回MOE絵本屋さん大賞受賞作品です。
テーブルに置かれた真っ赤なりんご。このひとつのりんごを巡って、想像力・空想力が爆発します。
読んでいるうちに、不思議な世界に迷い込んで、だんだん何が正しくて何が間違っているのか分からなくなってくるような、おかしな気分になります。
これだけいろんなことを想像できたら、人生楽しいだろうなあと感心してしまう1冊です。
なつみはなんにでもなれる
元気いっぱい。パワーあふれる小さな女の子が主人公「なつみ」です。「なつみ」が何かの真似をして、お母さんがあてるゲームが始まります。
読みながら一緒に「なんだろう?」と考えると面白いです。中には「絶対分かるわけない!」と笑ってしまうものも。
絵本の中のお母さんの表情にも注目です。子育て中のどこの家庭でもありそうなやり取りが共感を呼びます。
りゆうがあります
鼻をほじったり、爪を噛んだり、ベッドの上で飛び跳ねたり……。「ぼく」が思わずやってしまういろんなことには理由があるのです!……といっても、この絵本では、きちんとした論理的な説明が書いてあるのではありません。母親に注意されてばかりいる「ぼく」が、想像力を駆使して理由を説明する。そこにこの絵本の面白さがあります。
母親には「うちの子もやってる!」と共感を呼び、子供たちにも大人気の絵本です。
注意ばかりでギスギスしてしまわずに、親子で笑って過ごしたいですね。
みえるとかみえないとか
この絵本は、ヨシタケシンスケさんが、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の著者伊藤亜紗さんに相談しながら作りました。
視覚障害者の方が日々どんなふうに物事を感じながら暮らしているのか、見える人との感覚の違いなど、興味深いテーマです。
冒頭から宇宙人を登場させて、「ふつう」の概念を壊すところなど、流石ヨシタケシンスケさんです。
おしっこちょっぴりもれたろう
トイレトレーニング中や、卒業はしてけれど、時々おしっこを漏らしてしまう年頃の子供達におすすめの絵本です。
ユーモアが溢れる内容で、読むと思わず共感したり、笑ってしまったり……。トイレトレーニングは上手くいかないと親子のストレスになってしまいがちですが、この絵本を読むと笑って「仕方がないなあ」と許せるようになるかもしれません。
子育て中のお母さんにもおすすめの1冊です。
ふまんがあります
「大人はズルいと思う!」この言葉に共感する子供たちは多いはず。女の子がひとつひとつ例を挙げながらパパに「大人はこんなところがズルい」と文句を言っていきますが、それがいちいちなるほどと納得できることばかりで笑ってしまいます。子供は親のことをよく見ていると感心しつつ、親としては反省する気持ちにもなります。
この絵本は、パパのユーモアあふれる返答が見所なので、楽しんで下さい。
それしかないわけないでしょう
ユーモアあふれる楽しい絵で、自由な発想を見せてくれる絵本です。
よく大人は何でも決めつけてしまうけれど、未来はそんなふうに決まっているはずがない!
思考を停止させず、決めつけず、自由に考えることの大切さを教えてくれる絵本です。読むと自分の思い込みに気づいて、はっとします。子供だけでなく大人にもおすすめです。
つまんない つまんない
子供がよく口にする「つまんない」という言葉。その意味をどんどん追究して掘り下げていくという、実に変わった内容の絵本です。
物事を深く考える力、想像力、発想の転換など、読んでいると感心するやら笑ってしまうやら。
ヨシタケシンスケさんの描くコミカルな絵が、実に的確に状況を表現しているので、読者が「ああ、わかる!」と手を打って納得してしまいます。
親子でこんなふうにあれこれ話し合えたら、きっと楽しいだろうなあと思います。
編集後記
ヨシタケシンスケさんは、ちょっと変わった絵本作家です。元々はイラストレーターで、絵本の色は別のデザイナーさんにつけてもらっているといいますから、随分珍しいですね。
ヨシタケシンスケさんの絵本は、普段私たちが想像もしないような新しいものの見方や発想を見せてくれるところが大きな魅力です。ユーモアあふれる絵の数々は、笑いや驚きとなって私たちを楽しませてくれます。