子供の夢遊病は意外に多く、15〜17%が夢遊病を経験すると言われています。
急に起きてうろうろ歩き回るのでびっくりしてしまいますが、家族はどんなことに気を付けるべきなのでしょうか。
今回は、夢遊病の症状や対処法について紹介します。
夢遊病の症状
夢遊病は、脳が眠っているにもかかわらず体を動かせてしまうという状態です。専門的には「睡眠時遊行症」と呼ばれ、子供には珍しくない睡眠障害の一種です。泣き叫んで怖がる「夜驚症」をともなうこともあります。
「夜驚症」が深いノンレム睡眠のときに発生するのと同様、夢遊病も深いノンレム睡眠のときに発生することが分かっています。ノンレム睡眠は子供が眠りについて3時間以内の時間帯に訪れるため、そのタイミングで夢遊病が発生することがほとんどです。「夢遊病」というと夢を見ながら歩き回っているように思われがちですが、夢を見るのは眠りが浅いレム睡眠時であるため、夢遊病発生時には基本的に夢を見ることはありません。
症状は個人差が大きく、起きてベットの周辺をうろうろ歩き回るというものから、夢遊病のまま着替えたり、外出しようとするというものまであります。深いノンレム睡眠時であるため、簡単には目を覚ましません。話しかけても反応はあいまいで、話がかみ合いません。放っておいてもほとんどの場合15分くらいでベッドに戻り、正常な睡眠に戻ります。
本人は歩き回っていても、その時の記憶はありません。朝になって子供に夢遊病の時のことを聞いても全く覚えていないことが多いです。
夢遊病の原因は?
夢遊病が起きる原因ははっきり分かっていません。ただ、子供の脳が発達途中であることが原因ではないかと言われています。睡眠から覚醒するメカニズムが未熟なため、脳のすべてが一斉に覚醒するのではなく、一部が眠ったまま動き回ってしまうのだと考えられます。
夢遊病は4〜8歳が発生のピークであり、成長とともに自然消失することがほとんどです。女の子より男の子に多く、遺伝的要因も大きいです。両親のどちらかが夢遊病である場合、子供の半分近くが同じ夢遊病になるという報告もあります。
対処法を考えよう
夢遊病は子供の脳が発達するにしたがって、成長とともに自然消失することがほとんどです。そのため、特に治療は必要ありません。疲れや睡眠不足、不安などがあると夢遊病が発生しやすくなると言われます。子供がリラックスして過ごせるように生活環境を整えてあげましょう。
夢遊病のときは深い睡眠状態であるため、動きを止めようと叱ったり、無理に目覚めさせようとしたりせず、静かに見守りましょう。子供の寝室は危なくないように片付けて、転んだりぶつけたりして怪我することがないように気を配ります。
家族ができる対策は、夜、子供をなるべく早く寝かせることです。夢遊病は子供が寝付いてから1〜2時間後に起きることがほとんどなので、早い時間ならまだ親が起きていて見守ることができます。ただ、起きて階段を降りようとする、家を出て行こうとするなど、複雑な行動ができてしまう場合は危険なので治療を検討しましょう。睡眠障害クリニックや総合病院の睡眠外来などで相談できます。
子供が修学旅行や部活動で外泊するなど、心配な場合は学校の先生に報告して、注意して見てもらうようにしましょう。状況に応じて安全に気を配ることが大切です。