視力が悪い子供が年々増えています。スマホが普及し、子供たちが画面を近くで見る機会が増えた影響もあるとして、文部科学省は注意を呼びかけています。日常的にスマホ画面を長時間見ていると、視力低下以外にも様々な目のトラブルが起きる可能性があるそうです。
目が悪い子供が増えている
視力が1.0未満の子供の数が増加傾向です。その数は40年前では小学生で2割、中学生で4割弱、高校生で5割強ほどでした。しかし、平成30年では小学生で34.1%、中学生で56.04%、高校生で67.23%に増加しています。
最近の子供たちは、小さい頃からゲーム機やスマホ、タブレットなどを手元で見る機会が増えています。2017年の内閣府の調査によると、スマホを持っていたり、使うことがあると答えた小学生は約3割、中学生は約6割に上ります。
目のトラブルとスマホの関係
では、スマホ画面を長時間見る習慣があると、目にどんな悪影響があるのでしょうか。
本を読む場合、目と本との距離は平均30㎝程度になのに対して、スマホを見るときは目とスマホ画面との距離は平均20㎝程度と近いことが分かっています。
近くのものを見る場合、目でピントを合わせ、両目の視線を内側に向ける必要があり、目や脳に負担がかかります。本を読む場合は視線を動かしたり、ページをめくる際に視線を外したりすることで一旦目の緊張がほぐれますが、スマホの場合、画面が小さいので視線があまり動かず、近くにピントを合わせた緊張状態がずっと続くことになります。
20㎝の至近距離でものを見続けることは近視の原因になるだけではありません。近年、スマホを使いすぎることで手元にピントが合いにくくなる老眼のような症状を訴える高校生が増えています。
スマホを毎日長時間見る習慣があると、目のピント調節機能が低下し、普通は加齢によって40代以降に訪れる老眼症状が出てしまうことがあります。目が疲れたり、ものがかすんで見えにくかったり、肩こりや頭痛などの症状があったら要注意です。
また、スマホを長時間見ていると斜視の発症や悪化を招く可能性が指摘されています。近年、10代の子供の急性内斜視の患者が急増しているという報告もあり、スマホの使用との関係が今後調査される予定です。
子供は大人と違って近くを長時間見ていても疲れを感じにくく、気づいたらスマホやゲーム機で何時間も遊んでいることがあります。このような生活を続けていると、目が内側に寄ってしまう急性内斜視の発症リスクが高まると考えられています。特に、目の発達が十分ではない10歳以下の子供は要注意です。斜視が悪化すると、弱視になったり、物が二重に見える複視になる恐れもあります。
目に負担がかからない使用方法を習慣づけよう
近視の度数が強いほど、大人になって網膜の病気や緑内障のリスクが高まります。成長期に子供の目を守ることは、その子の将来のためにも大切なことです。
まず、お子さんがゲーム機やスマホを近くで見ていないか、長時間使いすぎていないかチェックしましょう。スマホは目から30㎝以上離してから使うようにし、30分に1回は休憩時間を取らせましょう。
画面の明るさは明るすぎても暗すぎても目に負担がかかります。目が疲れない明るさに調整しましょう。
近視を予防するには、バトミントンやキャッチボールなど、遠くを見て、近くを見る動作を繰り返すスポーツがおすすめです。目の周りの筋肉をほぐす効果が期待できます。