最近何を食べてもおいしく感じない、いつもと同じものを食べているのに、お醤油やソースをかけないと気が済まないなんて言う事ありませんか?
年齢を重ねると、色々な感覚が衰えてくるのはやむを得ないにしても、普段使わないウースターソースやケチャップなどを使うようになればちょっと注意が必要です。濃い味付けは、健康を害する大きな要因です。特に塩辛い物は控えなければならないのは言うまでもありません。
逆に、何も食べていないのに口の中で苦味がしたり嫌な甘みが残っていたりすることはありませんか?
このように、何だか味がおかしいと感じたら、それは味覚障害の疑いがあります。
味覚障害ってどんな症状?
極端な例では無味症のように何を食べても味を感じないこともありますが、大抵の場合は味を薄く感じてしまい濃い味のものばかりを好むようになります。また、特定の味を感じられなくなることもあります。甘味に対して鈍感になってしまう場合は、ジュースや果物が酸っぱいだけだと感じることもあります。そうなると、何にでも砂糖をかけることになってしまいます。
原因
味覚障害は大きく分けて、2つの原因が考えられます。
(1)舌や脳など味を感じる機能に問題が起きて生じる味覚障害
- 加齢によって、舌にある味覚細胞(味蕾)の数が減ったために起きる味覚障害。
- 進行が遅く現実的に症状が顕著になるのが高齢になってからなので本人も気づかない事が多い。
- 口内炎、特に舌炎の場合には味覚障害が起きますが10日程度で治ります。
- 嗅覚障害が起きると味覚にも影響が起きます。
- 腎臓尿の場合には尿毒症性神経症
- 脳卒中や頭のけがの影響で味覚を感じる部分に障害が起きることがあります。
- うつ傾向の時には、何を食べてもおいしく感じられない傾向があります。
(2)亜鉛不足が原因で起きる味覚障害
亜鉛不足による味覚障害は、比較的高い頻度で起きる障害ですが、患者が自分の食生活に紋打を感じていないので治療が遅れてしまいがちです。
- 食生活のバランスが悪く亜鉛などのミネラルが不足して起きる。
- 肝臓病の場合は肝機能低下による亜鉛不足がおきます。
- 糖尿病の場合には脾臓機能低下による亜鉛不足が起きて味覚障害になります。
- 腎臓薬、肝臓薬、抗うつ剤、睡眠導入剤など、服用している薬剤が亜鉛の吸収を阻害して味覚障害が起きることがあります。
- 食品添加物のポリリン酸(ハム、ソーセージ、かまぼこのつなぎ)、フィチン酸(酸味料)、カルボキシ、メチルセルロース(ケチャップなどの増粘剤)などはミネラル類の吸収を阻害します。
もし、普段食べているものがまずく感じる、コーヒーや紅茶など砂糖の量が増えた時には耳鼻咽喉科を受診してみましょう。
治療
病気の合併症としての味覚障害は、その病気を治療しなければなりません。また、薬剤の副作用としての味覚障害は主に亜鉛欠乏症が原因なので、薬剤の服用中止・減量をした上に亜鉛剤を服用します。
予防
味覚障害を引き起こす原因の多くは、加齢や生活習慣病です。暴飲暴食、運動不足も味覚障害の遠因になります。
- 口腔内を清潔に保ち乾燥させないように心がけます。
- 適度に、緑茶や水など口の中を賛成にしない水分を補給しましょう。
- おしゃべり、口回りの運動、耳周りから口回りのマッサージをして唾液の分泌を盛んにしましょう。
- 亜鉛を多く含む食品をたべましょう。牡蠣、かつを、豚肉、凍り豆腐、湯葉、卵などが亜鉛を多く含みます。また、亜鉛を含むサプリメントも有効です。ただし、過剰摂取すると腎臓に負担が大きくまた貧血の要因にもなります。
- 食品添加物が亜鉛不足の原因になります。毎日冷凍食品やファストフードで済ませるのはよくありません。
最後に
極端な味覚障害は気づくこと多く、治療の機会もありますが、甘さだけ感じない、辛さだけ感じない味覚障害は気づきにくく、知らず知らず調味料を増やしています。時々は、自分で味覚をチェックしてみましょう。
- 200cc(カップ一杯)の水に砂糖5gの水溶液で、はっきり甘さを感じるか?
- 同じくカップ一杯の水に食塩2.5gの溶液ではっきり辛さを感じるか?
この濃度の溶液ではっきり味を感じる事が出来なければ、味覚が鈍感になっていて砂糖や塩を使いすぎている可能性があります。