「備蓄食料」「備蓄飲料」、どうしてますか?
「置く場所がないのであんまり気にしてません〜」という方もいて、もっともだと思います。特に、アパートなどに一人暮らしって、備蓄する余裕すらないんですってば。(私だけ…?)
私もかつて、職場の防災訓練でもらったアルファー米を「なんて便利なんだろう!」と感動しながら、あんまりおいしい炊き込みご飯だったので、一週間後には無くなっていました…(←ダメッ)。
玄関はどう考えても置けないし、流しの下に小さい備蓄コーナー?みたいなのを作っていましたが、「食べるか」「確認しないか」のどっちかなんですよね。アルファー米はすぐになくなりましたが、袋入りビスケットにいたっては、引っ越すまで3年以上も放置されていましたね…。
そんな矢先に東日本大震災が起こって、実家が被災しました。
けが人はなかったものの、電気もガスも水も全て止まりましたので、雪を浴槽に溜めて、溶かしてトイレを流すのに使ったり、ガソリンがある限り、近所の方と一緒に神社に水を汲みに行ったりなど(そこの神社は今でも地元住民の命をつないでくれた神社として、一層崇められています)、当時実家には赤ちゃんだった甥っ子もいましたので、特に「水」の確保が一番だったと聞きました。
もちろん、関東の方だって、帰宅できなかったり、節電や、駅での規制、子ども達の給食でおかずが減ったり、などなど、東北人ながら関東にいた私は、「みんな大変で一生懸命でいっぱいいっぱいだった」のを目の当たりにしてきました。
私もそうですが、あれ以来、「備蓄する」ということは誰しも頭に自然と浮かぶようになったのかもしれません。今回は備蓄食糧と備蓄飲料について考えてみたいと思います。
備蓄食糧はどこに収納するか
まず、「備蓄したいけど仕舞うスペースがない」という場合は多いと思います。そんな場合は、無理矢理スペースを作る前に、「もともとある場所」から考え、整理整頓してみるのが良いと思います。
食料飲料をしまって置く場所といえば、「キッチン」ですよね。キッチンに関係する収納から見直してみましょう。普段の食料を置いてある場所、例えば、
- 冷蔵庫
- 野菜のかご
- お菓子の引き出し
- インスタント食品、レトルト食品の入っている引き出し
などから考えます。さて、「普段いつも食べている量はどれくらいでしょう?」
今日一日口にしない物だってありますよね。「今すぐ食べる予定のない物=備蓄できる物(ストックできる食品)」とも言えます。つまり、「普段食べている(消費している)物」から備蓄ができるというわけです。
「普段食べている物から備蓄をする」メリットは、
- 賞味期限をいつでも確認できる
- スペースを考えなくて済む
- 食べている量を把握しやすい
という点です。
「食べている量を把握しやすい」というは結構重要で、特に、「1日・1週間」分の一人分の食料飲料を把握しておくことで、備蓄しておくと良い量も分かってきて、結果、必要以上に多く買いすぎるのも防げます。
家族分だけ、+αでスペースを足していく
でも、家族が多い場合は、「キッチンの中だけで、消費と備蓄を行う」のは無理が生じることもあります。家族の人数分だけ、必要な量は増えるからです。そこで、備蓄食糧を仕舞うスペースが必要になってきます。
ですが、「キッチンの中で、消費と備蓄を行う」流れはそのままで、+αとしてのスペースを考えましょう。つまりは、
- キッチンスペースにある食料飲料を消費、余った分はそのまま備蓄できる(ただし消費されるのも早い)
- キッチンスペースにある食料飲料が少なくなったときに補充できるように廊下の箱やストッカーに数本、数袋、出しておく
- 箱ごと、ケースごと、消費するには重たい・多すぎる量は物置などにしまっておく
(ここから2.に出すことができる)
といった、キッチンも合わせておおまかに3つくらいのスペースになるのではないかと思います。もちろん、飲料だけをまとめたりするなど、場所は3つ以上にある場合もあります。分散して仕舞う場合大切なのは、
- どこに何を仕舞ってあるか知っていること
- 種類ごとにまとめて仕舞うこと
です。
できれば、家族全員がどこに何があるかを把握しているのが望ましいでしょう。食料飲料の種類は、バラバラになって、あとで必要な時に困ることがないように、同じ物同士をまとめて、箱やかご、引き出しの段などで区切っておきましょう。
また、床下収納やトイレや洗面所の天井裏なども備蓄食料、備蓄飲料の収納として最適だそうです。確かに、ぶつかったりじゃまになったりする事がなくてオススメですね。ただ、「見えないということは忘れがち」になるので、賞味期限が1年近いものや、上記の収納スペースでいう「3.」のような大きなまとまりを仕舞うのが良いでしょう。高いところに仕舞う場合は重量オーバーに注意しましょう。
防災袋と備蓄食料・飲料
緊急用の防災袋と備蓄食料・備蓄飲料の違いって何でしょう。
防災袋にも、食料や飲料は入ってますよね。でも、備蓄食料も食料ですし…。使うシチュエーションをイメージしてみると、分かりやすいかと思います。
「防災袋」はとにかく緊急用です。
避難した先で、自分が生きていく為に必要なグッズが入っています。
一方「備蓄」は、量や重さを考えると、一刻も争う移動には向いていません。移動には向いていないかもしれませんが、時間が経って、状況が落ち着いてから、取りに来ることも可能ですし、電気ガス水が止まっても家が無事な場合は、その中で命をつなぐことができます。
この点から考えても、「置く場所」「量」なども違ってくるのが分かります。「防災袋」は玄関や、寝室など、「すぐに持ち出せる場所」が良いでしょう。尚かつ、「あまり重たい物は入れない」方がスムーズに避難できます。
消費しながら備蓄する
備蓄した食料や飲料も、最低1年に1回は総点検が必要になります。
- 何がどれくらい減っているか
- 保存場所の衛生面は大丈夫か
- 賞味期限が切れたり、傷んでいる物はないか
これらを確認します。
とはいっても、1年に1回というのは、簡単なようでなかなか忘れがちです。備蓄スペースはたいてい「見えにくい」所にしまってあったりするので、置いておけばそのままになってしまう場合もあるからです。
そうならないためには、「備蓄食料飲料もライフスタイルに取り入れてしまう」こと。上記で説明したように、備蓄食料飲料も普段使う物への補欠食料として待機させれば良いのです。
この際大切なのは、「備蓄スペースの量を確保しつつ、消費する」ということ。備蓄してある量が減ったら、そちらを補充するのも忘れないようにします。
普段のお料理に備蓄食料や備蓄飲料をプラスする
いざ備蓄したものを使おうとしたら、温めるだけ、開けるだけ、飲むだけ、などワンパターンになってしまい、心もマンネリ化してしまう…というような事が考えられます。とくに小さいお子さんがいる場合は、同じ物を食べ続けることが難しい場合もありますから、アレンジはあればあるほど貴重です。子どもだけでなく、大人側も、素材は同じでも様々な形で出てくる食事であれば、変化があって、リフレッシュにもなります。
備蓄食料や飲料を普段の料理に使うことで、
- いざという時に慌てず備蓄食料、飲料を使うことができる
- 料理のレパートリーが広がる
- 知識として蓄えておけば、他の人にも情報を共有できる
といったメリットもあります。
例えば、インスタント食品、レトルト食品。これらにパスタやご飯などを合わせても良いでしょう。
野菜ジュースは野菜や肉類を入れてミネストローネスープに。
粉物は、うどんやすいとんも作れれば、お好み焼き、パンなど自在に使えます。作り方を覚えておくといざという時に使えます。
ご飯はレンジがなくてもフライパンでも温める事ができますので、乾物や和風や中華のスープの素を入れて、チャーハンも作れます。
備蓄にオススメなものは
備蓄と聞いて、パッと浮かんでくるものは、「水」「缶詰」「ごはん」などではないでしょうか。備蓄できる食品や飲料は長持ちするものが多いですから、できるだけ種類は豊富にしておきたいものです。
例えば「缶詰」。
魚、肉の他に、フルーツや豆の缶詰などもそろえておくと良いでしょう。パンやビスケットなどの缶詰も入れておくと、なお安心です。
次にレトルト食品とインスタント食品。
レトルト食品は、カレーやパスタソース、どんぶりの具など、あらかじめ食品ストッカーのケースなどにたてて収納してきましょう。インスタント食品は、お湯をそそぐだけで食べられるので、これも多めに用意しておきます。
それから乾物。
そうめん、パスタ、わかめ、昆布、干し野菜など。ご飯代わりになる物から、なかなか取りにくい食物繊維や調味料になる物まで大切な食材です。
そしてごはんです。
パックに入っている「ごはん」とお米、両方用意します。おこわや赤飯などもありますが、まずは、白米です。普段から食べ慣れている物を用意します。これらはレンジがなくても、お湯やフライパンで温める事ができます。また、白米は変化が苦手なお子さんでも安心して食べられ、食欲がない時もスープやレトルト食品をかけたり、水を入れておかゆにできるなど、アレンジがききます。
精製したお米も1〜2リットルあると便利です。飲料と一緒に、2リットルのペットボトルに入れて置いても良いですね。一番保存が利きますし、お湯を沸かせる環境があれば、ご飯を炊くこともできます。
そして飲料水。大人が1日に必要な飲料水は約3リットルだそうです。これも季節や個人(大人、子ども、高齢者、赤ちゃん など)によって変わってくるので、一週間のうちにどれくらい家族で飲料水を使っているのか、一度確認してみると良いですね。
飲料といえば、水が定番ですが、できれば、低血糖が心配な方や、体が弱っている方の事を考えて、「スポーツドリンク」を飲料水とは別に1ケースほど用意しておくのも望ましいと思います。
備蓄する量ですが、目安としては一人当たり3〜4日分(約1週間分の量)が目安です。スペースと重量のことを考えて、備蓄スペース3〜4日分+キッチン内1〜2日分が備蓄しやすい量と考えます。
実際使う場面に遭遇したら、使う順番がある
実際使う場面に遭遇したら、食品を無理なく使うためにも、順番があります。電気が止まって困る場所、それは、「冷蔵庫」です。
冷蔵冷凍できなくなった食品はそこから賞味期限がどんどん短くなって行きますから、備蓄食料を使う前に、まずは、冷蔵庫の中の食品から食べていくようにしましょう。
冷凍食品など、自然解凍で食べられる物は良いのですが、肉魚はそうはいきません。あらかじめ普段から保冷剤を冷凍庫には多めに入れておくようにして、電気が止まったときにすこしでも、食材を長持ちさせられるようにしましょう。
野菜は食べにくい場合はちぎってインスタントのスープなどに混ぜてしまったり、野菜ジュースと混ぜて温めて、ミネストローネにするのもオススメです。
冷蔵庫、冷凍庫の中を使いつつ、備蓄した食材とも併せると、効率よく消費できます。
収納術でさらに使い安く
いざという時に迷わずすぐに使うための、収納術です。備蓄食料・飲料の収納のポイントは4つ。
- ラベルを貼って、家族全員が分かりやすく
- 同じ種類ごとにまとめて見た目で分かりやすく
- 重い物は下に軽い物は上に
- 全体量を把握する
です。
特別な物を揃える必要はありません。まずは、今の状態の整理整頓から始めましょう。
例えば、棚やラックを使う場合、下段には重たい物(缶詰やペットボトル)中〜上段に向かって軽い物(レトルト食品、ご飯類)縦型に詰めていきましょう。
ごはんならごはん同士、レトルト食品ならレトルト食品同士、同じ種類の物同士をまとめるのが原則です。飲料のペットボトルは箱やケースごとで仕舞うか、キャスター付きのケースに立てて収納すると取り出しやすく、消費しながら管理できます。
家族が多く、何箱もある場合は、ラベリングがオススメです。購入日、種類、賞味期限を書いたシールやテープを貼っておきましょう。
ちなみに我が家の場合ですが、収納場所はここ!と決めなくとも、2リットルのペットボトルに入れた水をいつも常備していたり、湧かした我が家ではポットに常に満タンにしています。使いながら足している感じですが、いざ備蓄するにしても、他の生活用品など、家の中に仕舞う場所には限度があります。
なので、新しい物を入れるよりも、今ある物を整理してみることで、「あ、こんな使い方があったんだ!」「意外ときちんと入れたら、空きスペース結構あった〜」などと発見できたりするんです。
「足りない?」心配よりも「助け合う」心配り
ニュースで災害関係を目にするたび、備蓄食料、飲料が足りないかも…。と心配になる事がありますか?
それは、ごく当然のことと思います。
普段から備えて置いたつもりでも、いざそのときになってみたら、「あれがあれば良かったのに」と思うことも多いでしょう。ということは、自分と家族が生きるために、いろいろ買って置いた方が良いのでしょうか?
ここからは、震災が起きてから、うちの母が良く言うことなんですが、
「あの時は、ご近所さんと助け合ったから大丈夫だったのよ〜、運良くガソリン入れたばっかしだったから、一緒に水汲みに行ったり、パンとかお米があるから、食べて〜なんていただいたりねぇ。余分にある物は、ご近所やきょうだい同士で分けたり配ったりしてたからねぇ。」
備蓄食料、備蓄飲料は自分と家族が生きるために必要、表向きはそうかもしれません。でも、助け合って、譲り合って…、本来は「みんなが力を併せて生きていくための備蓄」なんじゃないかと、母の話を聞いて思う筆者なのでした。
まとめ
備蓄食料・備蓄飲料はまずは、キッチンで普段使う食料や飲料の量を把握することから始めましょう。実際消費する量と、すぐには消費しない量=備蓄と考えます。
家族の人数が増えるに従って、キッチンだけでは、消費する量と備蓄の量のバランスが取れなくなってくるので、大きなまとまり、小さなまとまり、よく使うまとまりなど、分散させて置くようになると便利になってきます。
消費しながら備蓄するということは、賞味期限の確認などのメリットもありますが、一番は「実際使う場面が出てきた時によりよく備蓄食料・飲料を使うため」でもあります。
普段から備蓄食料や飲料を使って料理をするなど、レパートリーを増やしておくと良いでしょう。電気が使えなくなったときの食料の消費の仕方についても確認しておきましょう。