ある朝目が覚めたら、眼がまるでウサギのように真っ赤になっていたら?
これは誰でもびっくりします。家族も何事かと思って大慌てしてしまいます。道を歩いていても、すれ違う人がびっくりして二度見されてしまうかもしれません。痛みやかゆみがないので、本人は鏡を見て初めて自分の目の異常に気が付きます。これを、結膜下出血といいます。
大慌てで眼科にいけば、先生も看護師もなんでもない顔で、「そのままで大丈夫ですよ。そのうち治ります。」といわれてしまいます。現実には、いくら大丈夫だといわれても、この目で人前に出るのは恥ずかしいと思ってしまいますが、残念ながらこの真赤な色を一度にサッと消す方法はありません。本当に、自然に治るまで放っておくしかないのです。蒸しタオルなどで目を温めると、早く治るといわれています。
結膜は、上まぶたの裏側にある結膜を上瞼結膜、下まぶたの裏側にある結膜を下瞼結膜といいます。上瞼結膜と下瞼結膜は折れ曲がって、上白目と下白目を覆います。瞼の動きを滑らかにし、白目を保護するための薄い膜です。結膜下出血は結膜の下に起きるため目を覆うように白目が真っ赤になりますが、直接眼の中に血液が流れ込むことはありません。そのため、視力や視野などに影響を及ぼすことはありません。ちなみに角膜には血管がないので出血は起きません。
出血の程度によって、部分的に血がにじむ程度からひどい時には、白目全体が真っ赤になることもあります。これに対して、充血は結膜下の血管が拡張するもので白目の中に血管が浮き出ます。
結膜下出血の原因
結膜下出血はどのような原因でおきるのか?といえば結膜下の毛細血管が破れるからなのですが、問題はなぜ毛細血管が破れるのかということです。実は原因もはっきりとわかっていません。
飲酒が過ぎた時に初めてそうなったり、あるいは久しぶりにコンタクトレンズを入れた時などにも起こります。眼の手術後に起きることもあります。また、くしゃみや咳など急激ないきみが原因になることもあります。ゴーグルの着用が原因になることもあります。女性は月経中に起きることもあります。加齢によって血管がもろくなっていたり血圧が高くて起きることもあります。また加齢によって結膜付近の組織がもろくなって、眼球が激しく動いたり、目をこすったりしたときに起きることもあります。物理的な刺激以外が原因の時には、原因不明と感じることも多いはずです。
結膜下出血が起きる前に目に何かが当たったり突いてしまったりした時、また、痛みやかゆみ、目やになどの症状があれば眼科医で診察すべきです。眼に外傷などがあるかもしれないからです。
生活習慣病の合併症の可能性も
結膜下出血で眼科を受診すると、ほとんどの場合には、問題がないということで自然に血が引くまで待つことになります。しかし、『眼科で問題がない』という意味は、それは『目には問題がない』ということだと認識しましょう。時には原因になる疾患が隠れている場合もあります。結膜下出血だからといって、一度も医師の診断を受けないのは危険です。
特に、短期間に再発するようなら内科医の診断を受けましょう。急性の疾患ではインフルエンザやはしかで起きることもあります。このほかにも考えられる原因疾患は、動脈硬化、高血圧、糖尿病、貧血、白血病、紫斑病などがあります。これらの病気が原因になっているときには眼底出血が起きて失明に至ることもあります。
シニアが結膜下出血になった時には眼科の診断を受けるとともに、生活習慣病との関連を確認するために内科も受診しましょう。
加齢性結膜下出血を予防する食品
基本的には加齢の速度を弱めるために、ストレスを避け暴飲暴食を避け、喫煙をしないことです。よくアンチエイジングのための成分として、ビタミン様物質であるバイオフラボノイドが挙げられます。その中でも以前はビタミンPといわれていたヘスペリジン、ルチン、エリオシトリンなどは毛細血管を強くします。これらの成分は自身が強力な抗酸化物質であるばかりでなく、強力な抗酸化物質であるビタミンCを安定させる働きもあります。
ヘスペリジンを多く含むもので有名なものは漢方薬でもある陳皮です。陳皮はミカンの皮を干したものです。ミカンの皮や筋にはへスぺリジンが多く含まれています。ルチンはそばやイチジクに多く含まれています。エリオトシトリンはレモンに多く含まれています。
みかんやそばは比較的安価でたくさん食べられる健康食です。