本文の初めに、
「これは、第二次世界大戦が終わる、ちょっと前まで、実際に東京にあった小学校と、そこに、本当に通っていた女の子のことを書いたお話です」
とあります。ここでいう「女の子」とはトットちゃん(黒柳徹子さん)のことです。
小学校一年生のトットちゃんは、問題行動が目立つということで退学になってしまいます。そこで新しく通うことになったトモエ学園は、自由でユニークな大変面白い学校です。
中でも特筆すべきはトモエ学園の校長先生(小林宗作先生)。初めてトモエ学園にやってきたトットちゃんの話を4時間も聞いてくれたり、問題を起こしがちなトットちゃんに「君は、ほんとうはいい子なんだよ。」と言い続けてくれたといいます。この校長先生の言葉は、ずっとトットちゃんの心の支えになっています。
読めば読むほど、あの戦争中にこんな自由な学校が存在したなんて驚きです。
「どんな子も、生まれたときには、いい性質を持っている。それが大きくなる間に、いろいろな、まわりの環境とか、大人たちの影響で、スポイルされてしまう。だから、早く、この『いい性質』を見つけて、それをのばしていき、個性のある人間にしていこう。」
小林先生の教育方針はこういうものでした。色々考えさせられます。
小学校の中学年から大人まで、楽しんで読める内容です。
※『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子、いわさきちひろ(絵)、講談社 青い鳥文庫、1991年