私(不注意型ADHD。いつも疲れています…)が、ADHDについて勉強したこと、考えたこと、片付けで工夫したことなどをまとめました。
文章を書くにあたって、改めて学んだことや、新しい気付き、再発見したことなどを文章に綴ると、あれもこれも…「あれもADHDの人にとって役立つんじゃないか?」「これもどうしても伝えたい!」…と、長文になってしましました。
記事の最後に、ADHDの私が実際に試してみて効果があった片付けの工夫も紹介しています。お付き合い頂ければ幸いです。
片付けられない理由
今、あなたのお家は、片付いていますか?
答えが「NO」の人!
その、片付いていないワケは?理由はなんでしょうか??
「元々、片づけが苦手で…」という人は、もしかしたらADHD(ADD)かもしれません。
片付けられない女…なんていうキャッチコピーでメディアに取り上げられる事も多くて、ADHDのことを知っている、聞いたことがあるという方も多いと思います。
「私は、片付けようと思えば片付けられるし、今は忙しくて時間がないだけ。ウチはまあ、散らかってはいるけど、ゴミ屋敷じゃないし!!ADHDではないわ」
と思った、あなた!!実は、あなたもADHDの可能性あり…なんです。あなたが
忙しくて時間がないのは、もしかしたらADHDが原因かも。
片付ける気力がなく、疲れているのはADHDのせいかも。
「片付け」だけじゃなく、忘れ物が多かったり、うっかりする事が多かったり…、トラブルメーカーだったりしませんか?
気分屋でお人好しで、神経質で大雑把、おしゃべりで、せっかちで、遅刻魔で、…思い当たるフシがある人は、これからADHDについて、詳しく勉強していきましょう!!
ADHD/ADDとは
少し真面目に、ADHDについて解説していきます。ADHDは日本名が「注意欠陥・多動性障害」から、「注意欠陥・多動症」に呼び名が変わりました。(「エーディーエッチディー」って言う事の方が多いです)
発達障害の一つとされています。多動の症状のないものを、区別してADDと呼ぶこともあります。不注意、多動性、衝動性、が主な症状です。って、ちょっとわかりにくいですよね。簡単にいうと、
- 不注意…うっかりミスが多い
- 多動性…長時間イスに座っていられない、身体のどこかを動かしている。(貧乏ゆすり等)
- 衝動性…その場の思いつきで、大事なことを決めてしまったり、無計画に行動したりする。
という感じです。大人のADHDの人は、
- 頭が悪いわけじゃないのに、うっかりミスが多くて実力を発揮できない。
- 集中できない、または一つの事にのめり込みすぎて失敗する。
- 気持ちの切り替えがうまくできない。
ということで、悩むことが多いと思います。
また、感覚(触覚、聴覚などの五感)の過敏さや鈍感さなどの症状を持っている人も多くいます。日常生活のありとあらゆる場面で、ちゃんとできない事、困る事、に出くわすのですが、その困り感が、少しの人もいれば、大きい人もいて、本当に人それぞれ、です。
忘れ物が多い、ミスが多い、気が散りやすい、刺激的なものに惹かれる、じっとしていられない、せっかち…本人の気持ちや努力だけでは、改善することが難しいのですが、周囲からは、なかなか理解されません。学校のテストなどで、簡単な計算はミスが多いのに、難解な問題は正解している—簡単な問題では集中が続かないのですが、難しい問題の方が刺激的で集中できるので、ミスをしないのです。
しかし、それを知らない教師からは「やる気が無い」とか、「反抗的」と受け取られ、誤解されることもあります。また、ある日は「できる」ことでも、ある日は「できない」…その日の体調などによって、能力に差が出たりもします。
ADHDの原因は?
ADHDの原因は脳の機能障害です。脳の前頭葉の活動が低いとか、脳の使い方が普通の人と違うとか、脳内物質がどうのとか、狩猟民族としては優秀だったとか、いろいろ言われていますが、詳しい事はまだまだ解明されていません。
育った環境もADHDの原因の一つになりますが、遺伝的要素が大きいとされ、人口の5%前後の人たちが、ADHDだといわれています。
ADHDの人って、こんな感じです
脳の機能障害、発達障害なんていわれると、一般の人たちから、かけ離れた人のような気がするかもしれません。でも、ADHDの人って「こんな人、いるいる〜!!」っていう、どこにでもいる人たちなんですよ。
あなたのまわりに、こんな人いませんか?
エネルギーいっぱい!!タイプ
いつも、いそがしそうに動き回っています。予定は未定…思いつきで行動します。段取りが悪くて効率的に動けないのですが、そこは情熱と活動量でカバー。余計なことにも首をつっこみ、あれこれおせっかいを焼くことも。おしゃべりで、うっかり失言してしまうこともありますが、表裏のない性格で、どこか憎めないタイプ。
好きなことしかできないタイプ
楽しい事が大好きで、みんなでワイワイやってるのが好き。何でもソツなくこなすように見えるのですが、面倒なこと、苦手なことは、なかなかする気になれず、つい後回しに。後回しにしちゃいけない事も、後回しにしちゃうので、それが発覚した時には、大事件に。
我が道を行くマイペースタイプ(ADD)
ぼーっとしてる、とか、天然?とかいわれるタイプ。多動の症状はなく、のんびりマイペース…に見えるのですが、実は、頭の中はいろいろな考えが駆け巡っています。頭の中が多動、と言っていいのかも。いろいろ考えているので、会話中に突然、なんの脈絡もなく「?」な発言をすることも。
アイディアはたくさん思いつくのですが、あまり実現しません。飽きっぽくて、計画通りに動くのも苦手です。
クヨクヨ思い悩む…タイプ
悪い考えや、失敗をずーっと考えてしまいます。考えが頭から離れず、嫌な気分を引きずります。心配性で、あれこれ考えすぎて、疲れています。気持ちの切り替えが苦手。自己評価も低く、自信の無さが、失敗やミスを引き起こす悪循環に陥りやすい。
ADHDチェックリスト
ADHDのタイプをざっとわけるとこんな感じですが、本当にいろいろな人がいます。大人しいタイプの人も、ごくごく普通—に見える人もいます。
あなたもADHDかも!?気になってきた人は↓のチェックリストをやってみましょう。YESの数が多いほど、ADHDの可能性、高めです。
- じっくり一つの事をするのが苦手。
- 勢いだけで行動。効率よく、計画的に動けない。
- うっかり用事を忘れたり、忘れ物をすることが、結構ある。
- 嫌な事、苦手な事は、ついつい後回し。
- ソワソワして落ち着かない事がある。
- 単純な作業をしていると、よくミスをする。
- 周りの話し声や雑音が気になって、作業に集中できない事が、よくある。
- 勘違いが多い。
- 作業に没頭しすぎて、必要な道具などを、どこに置いたのかわからなくなる。
- よく物を倒す、落とす、壊す。
- 長時間、席に座っているのが苦手。
- おしゃべりな方だと思う。
- 相手が話し終わる前に、話を始めてしまう。
- 順番を待つのがイヤ。
- その場の思いつきで、大事な事も決めてしまうことがある。
- 時間が読めない。遅刻が多い。
- ストレスに弱い方。疲れやすい。
これって、どの人にもあることでは…?と思いますよね。でも、ADHDの人は、普通の人たちが「時々」なのに対して、「頻繁に」「いつも」なんです。
- だらしがないだけ。
- うっかり、ドジな性格はウチの母さんに似たのよ。
なんて思われるかもしれませんが、性格と、ADHDの症状は区別して考えるのは難しいものなのです。個性といえば個性。ADHDの症状といえば症状。そういう風に考えられています。
また、ウチの母さんに似た、とか、親戚の×××ちゃんも同じ、だから私はADHDじゃない、というのは……うーん、どうなんでしょう。ウチの母さんも親戚の×××ちゃんも、ADHDかもしれないのです。…そうなんです。ADHDは遺伝します。家族みんながADHD、ということだってありえるのです。
そして、血縁関係にとどまらず、友人や恋人、配偶者もADHD—ということは、よくあるんですね。ADHD同士、気が合うのです。
診断は受けた方がいい?
ADHDは発達障害の一つです。障害といえば、障害なのですが、個性といえば個性…未診断の人は大勢いますし、仕事で成功している人、そんなに生きづらさを感じる事もなく、人生をエンジョイしてる人もたくさんいます。
ADHDかもしれない、という人、全員が診断を受ける必要はないと思います。
診断をうけるかどうか…ポイントは、どれだけ困っているか?です。自分をコントロールできないと感じていたり、ADHDのせいで、いろいろな事がうまくいかない、仕事が続かない、仕事中はきちんと業務をこなせるけど、家に帰ると疲れきっていて何もできない…また、自分を責めたり頑張りすぎたりする人は、うつ病等になってしまう可能性も。困っていて、どうしたらいいのかわからないと悩んでいる人は、診断を受けた方がいいでしょう。
ADHDの診断
ADHDの診断を受けるには、「精神科」を受診しなければいけません。できれば、発達障害に詳しい、専門的な医院の方がいいと思います。医師の問診と、アンケートのような用紙を渡されて、ひたすら質問に答えていきます。(忘れ物が多いか?など)また、IQテスト等を受けることもあります。これは、頭がいいかどうか?を知るためではなく、能力の凸凹を調べるためです。
得意な分野と、苦手な分野は誰にでもありますが、得意なことはものすごく良くできるのに、苦手なことは全然できない…ADHD、その他の発達障害の人たちは、得意な分野と苦手な分野のIQの差が大きいのです。IQの差が大きいほど「生きづらさ」を感じると言われています。
問診やテスト等を、総合的に医師が判断してADHDの診断が下ります。そして、日々、生活していく上での心構えや、アドバイスをもらったりします。薬を処方されることもあります。ADHDかもしれない、でも、病院に行く程でもない…という人は、「困っている事」に対して「努力して頑張る」以外の方法で対処していくようにしましょう。
自分がミスをしやすい状況になるのをできるだけ避ける、ミスをしてしまった時の対処法を考えておくなど、できる事をやっていくのです。
例えば、つぎのような2つのケースです。
会社で、席がドア付近で人の出入りが多く、作業に集中できない。—という場合
上司に相談して、席を替えてもらいましょう。自分が頑張ればいい事だから、我慢すればいいことだから…と何もしないのは、あなたにとっても、会社にとっても有益ではないですよね。効率よく仕事ができる環境を、自分で作っていく事は大切です。
仕事中、いつもボールペンを何処かに置き忘れてしまう。—という場合
もう、この際、予備のボールペンを持ち歩けるだけ持ちましょう。目印になるシールや、名前なんかもかいておけば、失くしても、そのうち自分のところに戻ってきます。少し高価なボールペンを買って、失くさないように気をつける…なんていう方法は、ADHDの人には向いてません。
ストレスを感じることが多いADHD生活
先の2つのケースのように、他人からみれば本当に小さな「困っている事」でも、ADHDの人にとっては毎度の事。ストレスもたまります。こういう小さなストレスを、ADHDの人はたくさん感じながら生活しているのです。できるだけ、「困っている事」やストレスを、少なくしていきましょう。
また、大らかな気持ちを持つことも大事です。少しミスしたくらいでは、落ち込まないくらいの強さがあると、いいですよね。ミスや失敗から学ぶことも多いはずです。ミスをした事で、仕事の流れや、システム全体が見えてくることってありますよね。ミスはたくさんしたけれど、いつの間にか誰よりも仕事を熟知して、「その道のプロ」になっていたりするかもしれません。
ADHDの人が成功するポイント
それは、自分の得意なことを極めていくこと!!です。ADHDの人たちは、普通の人とは違った感覚、思考回路で、誰もが難しいと思う事をパッとできたりすることがあるのです。ADHDの人たちの中には、「天才」と呼ばれる人もいます。
天才…とまではいかなくても、何か得意なこと、好きなことを続けていけば、思わぬところで才能を開花させることもあります。何をやってもダメ…な人なんていません。「自分は天才かもしれない」と思って、自信を持って頑張りましょう。
もしも子供がADHDと感じたら?
子供の場合、ADHDの診断は症状の程度にもよりますが、2,3歳では診断がつけられないこともあります。子供は落ち着きが無く、好奇心旺盛で、自分の好きなことしかしないのが、当たり前ですよね。しかし、
「なんだかうちの子だけ、他の子と違う気がする…」
そう感じる方は、地域の保健センターや児童相談所に相談してみましょう。発達や子育ての相談にのってくれますし、必要な場合は、医療機関も紹介してくれます。(普通の小児科ではADHDは診断できません)
まだ、診断は受けられないという年齢でも、「発達が気になる子」として、医療機関などとつながっておいた方がいい場合もあります。早期発見をして、早い時期からそれぞれの子供に合ったサポートの仕方、言葉かけの方法などで、丁寧に子育てをしていけば、その後大きく成長すると言われているからです。
また、ADHDではない子でも、ADHDの子にするように、丁寧に「子育て」をすることは、発達にいい影響を与えます。疑わしい子には、療育(専門家の適切なサポートを受けながら、遊びを通して発達を促す)を—という時代になってきていると思います。
学齢期の子供は、学校の勉強、宿題、忘れ物、友達とのトラブル、いじめ…悩みは多いですよね。担任の先生から「甘やかされてる」とか「わがまま」な子だと思われていることもあります。よりよい学校生活を送るには、先生の理解が必要です。子供の気持ちを大切にしながら、家庭でどのような工夫、サポートをしているのか、先生と話し合う機会を持てるといいですね。…とても、難しいことかもしれませんが、発達障害について理解のある先生も増えてきました。
- 「ADHDの子だから、忘れ物をしても叱らない」
ということではなく、そこから一歩進んで、
- 「ADHDの子でも、忘れ物をしない」
方法を考えて、サポートしていきましょう。ADHDだから—とあきらめるのではなく、みんなと同じゴールに、たどり着けるようにしたいですね。
ADHDの子の、サポートの仕方など
大人と同じなのですが、失敗しないように気をつける(もちろん、気をつける気持ちを持つことは大事ですが)以外の方法を、親子で話し合いながらみつけていきます。その子はなにが苦手で、なにが得意なのか、どういう方法だったら上手くいくのか…いろいろ試して、工夫していきましょう。叱ってばかりでは、その子の自己肯定感が低くなってしまうばかりです。
「自分にもできた」という成功体験を積むことで、自信がつき、「苦手なことにも挑戦しよう」「自分でやってみよう」という気持ちが芽生えてきます。また、子供の困った行動には理由があります。子供の気持ちを、ちゃんと聞いてあげましょう。子供の気持ちに共感したあとで、「こういう考え方(やり方)もあるよ」と、適切な行動、考え方などを示していきましょう。
時間はかかりますが、少しずつ、身についていきます。子供を信じて頑張りましょう。最近は書店にもADHDの子育て本がたくさん置かれるようになりました。医療機関に行くのはためらわれるという方、サポートの仕方に悩んでいる方は、そういう本を一冊読まれてみるのもいいと思います。
どうする?「片付け」問題
ADHDの人、全員が片付けられない…という訳ではないのですが、片付けに悩んでいるADHDの人は多いです。
「片付かなくても、死ぬわけじゃないし。仕事さえなんとかこなしてれば、いい。」
男性だったら、それでOKだったりしますが(パートナーからはクレームが入るかと思いますが)、女性はそうもいきません。散らかった部屋から、人間性を疑われたりします。しかし、片付けの苦手なADHDの人が、片付けられるようになった話は……残念ながらあまり聞いたことがありません…。
「自分で片付けをするのはあきらめた」という話は、よく聞きくのですが(笑)。うーん、どうしたらいいのでしょうか。タイプ別に対処法を考えてみました。参考になるかどうかは、わかりませんが…
物を捨てられない人
物に対して、とても執着(愛)してしまうタイプの人たちがいます。物が捨てられないので、片付かないんですね。これは、もう、片付けるには捨てていくしか方法がないのですが—どうしたら、捨てられるのでしょうか……正直、わかりません。一人で片付けるのは多分無理なので、業者を呼ぶなり、ちょっと強引な友人など呼ぶなりして、捨てなければならない状況に自分を追い込んでみては?
つい、漫画を読み始めちゃう人
自分を見張ってくれる人と一緒に片付けをしましょう。
気力、体力、時間の無い人
片付け本を読むと気分が上がる人は、何冊か新しい本を買って読んで、気合入れて下さい。気が変わらないうちに、片付ける日、時間を確保しましょう。そして、やはり一人で片付けるのは危険。疲れてしまったり、時間切れで中途半端な片づけで終わってしまわないように、誰かに手伝ってもらいましょう。
私の片付け工夫
私(不注意型ADHD。いつも疲れています)が実際、やってみて効果があった方法いくつか紹介します。
とりあえず、トイレor キッチンからやる—という方法。
本でこの方法を知ったのですが、片づけがしんどいな…と思う時でも始めやすかったです。狭い部屋、空間からだと手をつけやすいのだとか。片付けのエンジンがかかります。一箇所、きれいになると、他の場所もきれいにしたくなるのです。
ラベリング
物の名前を書いて、定位置をつくるという方法。見栄えの問題はありますが、わかりやすく、片付けやすいです。
使う場所の近くに道具を仕舞う。
出しやすく、仕舞いやすい。散らかりにくいと思います。
片付けの注意点
自分は片付けに立ち会わず、誰かに片付けてもらうのはやめましょうね。片付け後、あれがない、これがない、と探し物をするはめに。
「どこにやったんじゃ〜!!」と怒りさえこみあげてきます。注意しましょう。
私の個人的な主観ではあるのですが、精神的なものも、結構片付けに影響しているんじゃないかなあと思います。充実した日々を送っているときは、それなりにキレイな状態を保っているような…?
ストレスや疲れを溜めないとか、精神的に安定するということが、大切なのでは、と思います。