近年、予防歯科の意識が高まり、子供の虫歯は減りました。しかし、今度は歯並びが悪い子供が増えているといいます。なぜ、歯並びが悪い子供が増えているのでしょうか。歯並びが悪くなるいろんな要因があることが分かってきました。
口呼吸と歯並び
近年、鼻ではなく口で呼吸する子供が増えていることが問題になっています。授業中も、テレビを見ているときも、口がポカンと開いたままの子供をよく見かけます。
成長期に口呼吸していると、歯並びが悪くなることが分かっています。口を閉じて鼻呼吸をしていると、舌の位置は自然と上の前歯の後ろに来ます。しかし、口を開けて口呼吸していると、舌が下顎の方に落ちた状態になります。口呼吸だと上顎に内向きの圧力が少しずつかかり、上顎の歯列が側面から押されてじわじわ歪んでしまうのです。その結果、前歯がうまくかみ合わなくなります。さらに、鼻の方へ圧迫する力が働くため、鼻の通りが悪くなる悪循環も起きます。
口呼吸だと乾燥した冷たい空気が口から直接取り込まれるため、口の中が乾燥し細菌が侵入しやすくなります。喉が炎症したり、口内炎ができやすくなったり、感染症にもかかりやすくなります。
口の中の炎症が免疫に作用して喘息やアトピーが起きやすくなるという報告もあります。実際、出っ歯で口が閉じにくい状態を矯正して口呼吸を鼻呼吸にしたら、喘息症状が改善したという報告もあります。
他にも、口呼吸が睡眠の質を下げ、寝汗やおねしょ、寝起きの悪さに影響していることが分かってきました。口呼吸を鼻呼吸に直すことは、歯並びだけでなく、健康のためにも大切です。
習慣や癖の影響
幼い頃から続けている何気ない習慣や癖が、長い時間をかけて少しずつ顎をゆがませたり、歯並びを悪くする原因になっていることがあります。
指しゃぶりや、頬杖などがそうです。テレビを見ながらボーっとしているとき、なんとなく指をくわえていたり、指を噛んでいると、上の前歯が上下にずれてしまうことがあります。
また、意外なところでは、うつぶせ寝や腕枕も歯並びが悪くなる原因になるそうです。毎日毎日、同じ方向から圧迫することで、少しずつ歯並びを歪ませてしまうといいますから、思い当たる方は気をつけましょう。
噛む力が弱い
口がポカンと開いている子は、口まわりの筋肉が不足しています。そういう子は、食事スタイルを見直しましょう。
食事中にくちゃくちゃ音を立てていないか、食事中に水をたくさん飲みすぎていないかチェックしましょう。口を開けて食べていたり、よく噛まずに水で流し込んでいる恐れがあります。
しっかり噛んで食べるためには、猫背になっていたり、床から足が浮いてブラブラしていてはいけません。床に足がぺたんとつくように椅子の高さを調節したり、ステップなどを床に置いて足がブラブラしないようにしましょう。
口まわりの筋肉を鍛えよう
歯並びが悪い子供の口呼吸を直すために、歯医者さんで指導している方法があります。口まわりの筋肉を鍛えるストレッチです。
一つ目は、風船をふくらませるというもの。普段口呼吸で生活している子は、風船をふくらませるのが苦手です。鼻で息を吸って、口から風船に息を吹き込む練習をします。
二つ目は、少し大きめのボタンに糸を通してたものを使った練習です。ボタンを前歯と唇の間に入れて口を閉じ、糸を引っ張ります。ボタンが外に飛び出さないようにしっかり口を閉じてください(歯で噛まないように注意)。毎日練習して、口まわりの筋肉を鍛えましょう。